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「いかに寄り添っていけるか」 声優・石川由依、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の日本語吹き替えを語る

実写映画作品での吹き替えはこれが初となった石川さんに聞きました。

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 映画『ジュラシック』シリーズの最新作にして、叙事詩的な三部作の2作目に当たる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開中です。


『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 (C) Universal Pictures

 同作の日本語吹き替え版では、アニメ「進撃の巨人」シリーズのミカサ・アッカーマン役や「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」のヴァイオレット・エヴァーガーデン役、ゲーム「NieR:Automata」ヨルハ二号B型役などで知られる声優の石川由依さんが、古代生物専門の獣医ジア・ロドリゲス(ダニエラ・ピネダ)の吹き替えを担当。意外にも実写映画作品での吹き替えはこれが初となる石川さんは、どんな思いで今作に臨んだのでしょうか。石川さんに話を聞きました。


『進撃の巨人』ミカサ役などで知られる声優の石川由依さん。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ではジア・ロドリゲスの吹き替えを担当

―― 「ジュラシック」シリーズにはどんな印象をお持ちでしたか?

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石川 ジュラシックといえば恐竜を連想するくらいに有名な作品ですし、前作「ジュラシック・ワールド」も映画館に見にいきました。そのときはまさか次作に自分が出演することになるとは全く思っていなくて、ただただ楽しく見ていました。

 恐竜ってロマンの塊ですよね。でも、そんなロマンをよみがえらせるという行為はそれだけで終わるものじゃなくて、今作でも、恐竜を救おうとするのが人間的な選択なのか、自然に任せて絶滅を放置するのがよいのかという問題に直面して、新たな脅威へとつながっていくので、出会ってはいけなかったものが出会ってしまった結果なのかなと思うことがあります。

―― 少し話は変わりますが、先日はオーストラリアに行かれて、野生のヒガシウォータードラゴンも見たようですが、いかがでした?


石川さんがオーストラリアで遭遇した野生のヒガシウォータードラゴン(画像は石川由依オフィシャルブログから)

石川 大きな爬虫(はちゅう)類は写真や映像では見たことがありましたけど、野生の子を実際に目にしたのは初めてだったので、「こんなに普通にいるんだ!」という驚きと、今作のアフレコ収録後に行ったというのもあって、やっぱり恐竜っぽいなと(笑)。ヒガシウォータードラゴン自体は思ったより大きいですが、恐竜に比べたら小さいので、かわいいって思っちゃいました。


古代生物専門の獣医、ジア・ロドリゲス (c)Universal Pictures (c)Jaimie Trueblood

―― 恐竜はかわいい(笑)。以前石川さんは「Hawai FIVE-0」という海外ドラマでゲスト的に吹き替えをされていたと思いますが、実写映画作品での吹き替えはこれが初ですよね?

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石川 そうです。私、これまで出演させていただいたアニメやゲーム作品だと戦闘能力が高くてかっこいい立ち位置の女性キャラクターを演じることが多くて、今回のジアという役も男勝りのキャラクターなので、縁があったのかなと思います。

―― ジアも元海兵隊員ですしね。

石川 アニメの声優としては戦闘能力は高いけど少女らしさを残したようなキャラクターを演じることが多く、言葉遣いは男勝りじゃなかったりするので、そういった意味ではこれまで演じたことがないような挑戦的な役でした。

―― 確かに同僚のフランクリンをののしる石川さんの声は新鮮でした。吹き替えのキャスティングはときに作品の印象を大きく左右しますが、石川さんが今回の吹き替えで印象的だったことはありますか? 

石川 吹き替えと全然関係ないんですけど、この作品の収録があった日がちょうど誕生日で、スタッフの皆さんがお祝いしてくださったのが印象的でした。

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今作の吹き替えの収録は自身の誕生日。“ブルー”があしらわれたバースケーキでお祝いされた(画像は石川由依オフィシャルブログから)

 アニメのアテレコと違うところでいうと、一番大きいのは原音を聴きながらやることです。アニメだと、声に関していえば私たちが全部色づけしていくので、ある意味自由にできる部分はあるんですが、吹き替えは実際の演者がいらっしゃって、息づかいなども含めていかに寄り添っていけるかを意識しながらやる必要があって、そこはアニメにはないので難しかったです。私たちの声からも臨場感が伝わるといいなと思いながらやりました。


ブルーの危機を大胆な方法で救うジルの活躍にも注目  (C) Universal Pictures

―― 恐竜の獣医がシリーズに登場するのは初です。オーウェンがふ化したてのころから関わりを持つヴェロキラプトルのブルーが傷つき、その命を救おうとするジアは、その方法も含めてタフな役回りでしたね。

石川 ジアが最初に恐竜を見るシーンですごく感激していたんですよね。ジア自身も本当に直接恐竜と関わることは獣医であってもなかったんじゃないかなと思うし、本人もきっとそれまで経験したことがなかったことをやってのけたし、ましてあの大胆なアプローチ、驚きでした。


ジアの大胆な行動 (c)Universal Pictures (c)Universal Studios and Amblin Entertainment, Inc. and Legendary Pictures Productions, LLC.

―― 演技指導のようなものはありましたか?

石川 どういったキャラクター性にしていくかは最初に話し合いました。今作は三部作の2作目ということで、3作目がどうなるか私も全然知らないんですけど、心情の変化などが次につながるように芝居をつけていけたらいいなと。

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 特にジアはフランクリンとペアのような形で行動することが多くて、最初は命令口調で接していたりするのに、後半ではちょっと頼りにしているようなところがあったりして、そうした二人の関係性の変化を少し出せたらなと思いました。

―― なるほど。ジアにシンパシーを感じる部分はありましたか?

石川 ジアは思っていることをどんどん言うしすごく行動派ですけど、私はあまり喋らなかったり優柔不断な面があるので、真逆な部分の方が強かったように感じましたが、責任感の強さは共感できました。獣医ということもあって恐竜たちを生かすために頑張るんですけど、そういうシーンは私も気持ちが特に乗って「助けたいぞ!」という気持ちでやれました。


(C) Universal Pictures

―― 三部作の2作目となる今作では、人類に対する問いかけのようなメッセージ性も感じますね。

石川 そうですね。人間の夢を叶えるために恐竜を現代に蘇らせてしまったものの、かつてパークがあった島の火山活動が島に残る恐竜たちを一掃してしまうような脅威となる中、それを救うべきなのか、自然の摂理に任せるのか。あとは、インドラプトルというもはや軍事兵器化した全く新しい種を人類が生み出してしまったことなど、科学の不正使用や倫理観も含めて、簡単ではない問いかけを感じますね。でも最後の展開を見て、世界はどうなってしまうのかなと。

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―― 確かに気になる展開でしたし、ジアのその後も気になるところですね。ありがとうございます。最後に、作品のファンに一言いただけますか。

石川 ファンタジー作品が好きなんですが、これまである意味イスラ・ヌブラル島に閉じていた人間と恐竜のファンタジックな関係が島の外に広がることで、それが地続きであることを強く認識できて、かつ私たちも考えるべきテーマを内包しながら新たな脅威へとつながっていく様は、緊迫感も臨場感もあって私は前作より“ハラハラ度”が増したんじゃないかと思いました。

 私自身としても今まで演じたことのなかったようなキャラクターの挑戦だったんですが、前作にも出てきた恐竜たちを助けるために私もジアに寄り添って演じさせていただいたので、そんなところもぜひ見ていただけたらなと思います。

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