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「過去のレガシーを受け継ぎ、新しい扉を開く」 J・A・バヨナ監督『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を語る

ついに公開の大作。監督を直撃してみました。

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 現代によみがえった恐竜たちが大暴れするアクション大作「ジュラシック・パーク」シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日から全国ロードショー)。前作で崩壊した<ジュラシック・ワールド>を有する島で火山噴火の予兆が起こり、災害から恐竜たちを救い出そうとする人間たちのドラマを描いています。

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『ジュラシック・ワールド/炎の王国』ついに公開!  (C) Universal Pictures

 新シリーズ3部作の第2章に当たる同作。前作の監督であるコリン・トレボロウはスティーヴン・スピルバーグとともに製作総指揮(および脚本)という立場となり、変わって監督の座に着いたのは、J・A・バヨナ。『怪物はささやく』『永遠のこどもたち』などで知られるバヨナ監督により、これまでにないエッセンスがシリーズにもたらされています。以下では、バヨナ監督に話を聞きました。

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「ジュラシック・ワールド/炎の王国」のJ・A・バヨナ監督(写真:奥野和彦)

「共感」「理解できないものを受け入れる」が今作のテーマ

―― 今作の監督を引き受けたいきさつを教えてください。

バヨナ フランク・マーシャルやスティーヴン・スピルバーグとは、一緒に仕事をしようと何年も前から話をしていたんだ。前作『ジュラシック・ワールド』のときも話はあり、そのときは関わることができなかったのだけれど、前作が成功した後、続編の監督をするということで合意できた。

―― トレボロウ前監督が製作総指揮と脚本で参加していますが、出来上がった台本を見たときの感想は?

バヨナ 台本の初稿ができたとき、私がまず理解したのは、火山や恐竜、大きな船など大掛かりなシーンがあるけれど、トーンとしては“夏の楽しい家族映画”であるということだね。

 また今回、大きなポイントとなるのが島をあとにすることだと考えた。このことによって問題が島だけでなく世界的な対立の問題になっていく。火山が噴火して旅が始まり、やがてみんなの問題へと発展していく。これは、マイケル・クライトンの小説の意図に忠実なもの。自分たちの理解できないものにどう共感し受け入れていくかということが、クライトンが本当に描きたかったことだと思う。

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マイケル・クライトンの小説の意図に忠実なものだと話すバヨナ監督 (C) Universal Pictures

―― 『ジュラシック・パーク』シリーズは子どもたちの活躍も見どころですが、今回はメイジー(イザベラ・サーモン)という物語の鍵を握る少女が登場していますね。

バヨナ 今作のテーマの一つに“共感”が挙げられる。恐竜に対する共感、そして、メイジーに対する共感でもあるんだ。観客は映画を見ながらメイジーと恐竜がとても似ている境遇だと気が付くと思う。どちらも同じ場所から来て、そして捨てられてしまう状態であることが見ているうちに分かっていく。この作品には「理解できないものを受け入れる」という主題もある。これらのテーマが恐竜、そしてメイジーを通して表されているんだ。

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おびえるメイジー。その左にいるのは…… (C) Universal Pictures

第一作で「ヒッチコックばりのサスペンス」に衝撃

―― 監督は『ジュラシック・パーク』シリーズのファンだったそうですね。このシリーズを通して何を感じ取っていましたか?

バヨナ シリーズ第一作目で私が最も衝撃を受けたのは、スピルバーグ監督のサスペンスを作る能力。何より、ヒッチコックばりのサスペンスがこういう大きな作品の中でできることに驚いた。今作でも、後半では場所を変えて非常に狭いところで物事が展開していく。それが面白いところだと思う。

―― 確かに、今作の後半はホラーのような展開になっていますよね。監督は過去に『永遠のこどもたち』のようなホラー作品も撮られていますが、ホラー寄りなところは意識して作ったのでしょうか?

バヨナ そうだね。後半の展開はもともと台本にあったものだけど、私自身、ホラー的な要素をもっと突き詰めたいと思っていた。この作品は全体を通してあくまで家族映画だから、そのトーンを壊さないようにしたけれど、第一作目にあったサスペンスの要素をもう一度出そうと思ったんだ。

過去を忘れ未来のために新しい扉を開く

―― ところで、監督は撮影の際に音楽をかけていたそうですね。

バヨナ 音楽はセットの中で使うことでセット全体のトーンを決める。みんなで同じものを聴くことで「こういうものなんだ」と理解しやすくなるんだ。また、音楽のおかげで俳優たちが自由になれたり、カメラの前で起こっていることに集中しやすくなるという効果もある。

―― 音楽についてもう一つお聞きしますが、前作に比べて『ジュラシック・パーク』から引き継がれてきたメインテーマが流れる回数が減り、ここぞというときに流れた感じがあります。あれは意図的なものだったのですか?

バヨナ サウンドトラックは、どこでどんな音楽を使うか音楽担当のマイケル・ジアッキノとよく話し合った。私が一番主張したのは、ノスタルジーを呼び出すためだけに音楽を使うのは絶対だめだということ。物語を進めなくてはいけないので、そこにひたるような音楽の使い方はしたくなかった。

 今作『炎の王国』のテーマがあるけれど、それを使っているのはインドラプトルとメイジーとの間のシーン。後は、以前登場した恐竜が出てくるときに、初めに出てきたときと同じジョン・ウィリアムズが作った音楽を使うところが1カ所ある。また、破壊されたパークに戻ったときは、『ジュラシック・ワールド』の最後の悲しい音楽を一回経験したことという意味で使い、クレア(ブライス・ダラス・ハワード)の独白で最初に恐竜に出会ったのはどこだったか……というところは、以前出会ったときの音楽を使った。『ジュラシック・パーク』『ジュラシック・ワールド』どちらの音楽も使用したけれど、数はかなり限定したね。

―― 今回、CGよりもアニマトロニクス(生物を模したロボットを使う特殊効果)を多用したそうですが、その理由は?

バヨナ まず、台本を読んだ段階で、今回はアニマトロニクスで遊べるところがあると分かった。恐竜たちが動かないシーンがあったのでそこでも使えると思ったし、キャストが恐竜の近くに行ったり触れたりするシーンでも俳優たちのためにもアニマトロニクスを使おうというのがあった。ただ、アニマトロニクスは複雑な動きができないので、そこはCGも使ったけれど、アニマトロニクスとCGの融合で非常に効果が出たと思う。

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(C) Universal Pictures

―― 最後に、日本での公開を楽しみにしている人たちへのメッセージをお願いします。

バヨナ 今回の作品は『ジュラシック・パーク』のレガシー(遺産)を受け継ぎながらも、過去を忘れ未来のために新しい扉を開く、今までになかった作品に仕上がっているよ。

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(写真:奥野和彦)

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