ハロウィーンに幽霊として帰ってきた同居人 成仏するために「言わないといけないこと」を伝える漫画が切なくも尊い
ラストを読んでから再読するとより切ない……。
ハロウィーンの夜、男性の家に「幽霊」として元同居人の女性が帰ってくる漫画が、いろいろと想像させる切ない展開で反響を呼んでいます。激しい感情とじんわりとした余韻に襲われる……。
幽霊として帰ってきた彼女はすべてを忘れていて、ただ「君に言わないといけないことがあるみたいなんだ」と彼に向かって話します。それに対し男性は、淡々とした態度で彼にとって“1年前に死んだ同居人”である彼女に接し、彼女が未練を断てば“向こう”に渡れると知って「じゃあ早く言ってくれ」と急かします。
……しかし、彼女から出た「もう買ってあるよ」という言葉を聞いた彼は“淡泊”なままではいられなかったようです。
1年前、海外へ行く彼女を家から見送った男性。忘れ物を心配しつつ、流れで彼女に「帰ったら一緒に指輪を買いに行こう」と伝えます。プロポーズともとれる言葉への返事を聞かれ、「帰ったら言う」とそのまま飛行場へ向かった彼女――その1年後、彼女は幽霊になって、ただ“彼に言わないといけないこと”として「もう買ってあるよ」と返事をするのでした。
1人になった男性の部屋には花瓶があり、そこには枯れた花がそのままで飾ってあります。そして彼は、現れた幽霊のことを恋人ではなく「同居人」と言い、彼女を早く帰らせようともしました。そこに何も説明はありませんが、大事な人を失った彼がこの1年で気持ちを整理していたこと、それでも忘れられず時間が止まっていたことなどを想像させ、彼女の1年越しの“返事”を聞いた彼の心情を思うだけで切なくなります。2人の感情を描くシーンが描かれていない、余韻の残る展開が心に来る……。
コメントでは4ページと短くも深みのある物語に「無性に心に響いた」「声を出して泣いた」と感動する声が寄せられ、3万近いリツートと10万を超えるいいねが集まる人気に。またいろいろと想像させる余地のある内容にさまざまな声が上がり、3ページ目の幽霊の彼女が笑顔から静かな表情に変わったシーンに対し、返事を聞いた男性の揺れ動く表情を見ているという意見や、彼と話しているうちに過去を思い出したという意見などが上がっています。4ページ目の回想も受け取り方によって感じ方が変わるのが興味深い。
投稿したのは漫画家のイシコ(@ishiko_03)さん。現在は『黄身が白と言った殻』を漫画配信サイト「MAGCOMI」で連載中で、コミックス第1巻が販売中。こちらでは内と外の間にある不思議な世界「エッグ」に迷い込んでしまった中学生・糸魚川 夏(いといがわ なつ)の物語が描かれています。
画像提供:イシコ(@ishiko_03)さん
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