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メガトロンは本当に“理想の上司”? 会社経営モノとして見る「トランスフォーマー」論、あるいはスタースクリームが重い問題マシーナリーともコラム(2/3 ページ)

メガトロンとスタースクリームの話をついに。

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メガトロンとスタースクリーム

マシーナリーとも子おすすめの「レジェンズ」版ショックウェーブ。小さめサイズながらハッタリが利いたポージングができる可動や、ほかトランスフォーマーの武器としても機能するスペースシップモードなど、机の上に転がしておくのに最適な遊びやすい逸品

しげる:しかしお前、ショックウェーブとレーザーウェーブ(※)ばっかり持ってきたな! ほんとレーザーウェーブ好きだね!

※初代アニメから登場しているデストロン(ディセプティコン)のキャラクター。海外名がショックウェーブ。日本名がレーザーウェーブ。オプティマスとコンボイみたいなもん

とも子:今日さぁ、ここに来る前にトランスフォーマーをたくさん売ってるフリーマーケット行ってきたんよ。そしたらさ、「アクションマスター」がたくさん入ってるダンボールがあったわけ。んで私「アクションマスター」のショックウェーブ持ってないからさあ。オッチャンに「この箱の中、ショックウェーブあります?」って聞いたのよ。そしたらさぁ「ショックウェーブは女の子たちに全部買われちゃったんだよ」って言われて……。

しげる:えっ! ショックウェーブって女性人気あるの!?

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とも子:ま……あるやろ。カワイイじゃん。ショックウェーブ。

しげる:まぁかわいいけども。

編集部:ていうかトランスフォーマーって女性人気あるんですか?

とも子:何言ってんだよ! めちゃめちゃあるよ!

しげる:トランスフォーマー同士のカップリング絵とかめっちゃあるからね!

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編集部:えっ……ていうか、ロボットですよね……?

とも子:ロボットっていうか超ロボット生命体だから。

しげる:宇宙人みたいなもんだから。

編集部:ハァ~。

とも子:マシーナリーとも子みたいなもんです。

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しげる:まぁ結構最初のアニメの「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」って割とコミカルなアニメなんで、トランスフォーマー同士のじゃれあいシーンとかあるんですよ。「リジェの裏切り」のリジェとクリフとかさぁ……。

「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」第13話「リジェの裏切り」より、雨降って地固まった後にジャレあい始めるリジェとクリフ

とも子:リジェが裏切ってるんじゃないかと疑ったクリフが、疑惑が晴れたあとに素直に謝れないからって寝転がってるリジェの上に覆いかぶさる回だな……。ふたりで「おしりをつねってやる!」とか言いながらくんずほぐれつしてフェードアウトする伝説のロボット愛回。

しげる:あのじゃれ合い、ホントすごいよね

とも子:そういう目線で言うとさ……やっぱりメガトロンとスタースクリームの話をしたくなっちゃうんだよ!

しげる:いいよ。しなよ。メガトロンとスタースクリームの話を!

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編集部:この連載を始めようかっていう最初の打ち合わせのときから、ずっとメガトロンとスタースクリームの話を書かせてくれって言ってましたからねこのサイボーグ。

とも子:なにから話そうかな……。あのさあ、とくに好きなのは「ナイトバードの影」なんだよ。第16話。

しげる:日本人が作った忍者ロボットが出る回ね。

とも子:忍者ロボット、ナイトバードをデストロンが洗脳して、サイバトロンへの破壊工作に使うんだけど……。ナイトバードが大活躍してサイバトロンをきりきり舞いさせるんだよ。それを見たメガトロンが上機嫌で横にいるスタスクを「お前の現役引退も決定的になったようだなスタースクリーム! 今日からナイトバードをワシの右腕にしよう」ってからかうんだよ。それを聞いたスタースクリームは間髪入れずに「このオレがクビで引退!? 許せねえ~!」って即殴りかかるんだよ。

編集部:あはははは。

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「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」第16話「ナイトバードの影」より、自分をクビにしてポッと出のロボットを右腕にしようと軽口を叩いたメガトロンに感情をぶつけるスタースクリーム

とも子:その後もナイトバードを撃ったりして作戦のジャマをしたりするんだけどさ……そのときのセリフが「なにがメガトロンの新しい右腕だ! 笑わせるな!」なんだよ……。

しげる:うわ~~!

とも子:ここでさ! 注目するべきはさ……なんか……スタースクリームの感情を追うとだよ! スタースクリームがキレた理由は単に「バカにされた」とかってだけじゃないんだよね。

しげる:違うね! それは違うね……。

とも子:これってさ……スタスクはメガトロンから「デストロンナンバーツーはスタースクリームである、と思われていない」ことにすごいショックを受けたんじゃないの!?

しげる:「私を見て」って状態だよね。

とも子:「なんで心の底ではオレのことを信頼してくれてるはずのアンタが、そんな裏切るようなことを言うんだ」ってカンジあるじゃん!

しげる:結構ねぇ、スタースクリームからメガトロンへの感情ってたまに重いよねえ。

とも子:重い!

しげる:なんだろうね? スタスクってバイオグラフィーとしては「デストロンのニューリーダーはオレだ」みたいなカンジなのに、ちょくちょく「俺はナンバーツー」「メガトロンありき」みたいなカンジ出してくるよね。

とも子:それで言うとほかに好きな回はコンバットロンが誕生する「スタースクリーム軍団」だな。この回は……冒頭でいきなり、メガトロンがなんの前触れもなくレーザーウェーブをベタ褒めしてるんだよ。「レーザーウェーブこそ理想の戦士だ!」ってね。

しげる:「レーザーウェーブならああだ! レーザーウェーブならこうだ! レーザーウェーブがご立派なのはよ~くわかりやしたよぉ!」はスタスクの名ゼリフのなかでも最高峰のものだと思う。

編集部:スタスクには冷たいのにレーザーウェーブはageるんですね。

しげる:「お前は俺よりレーザーウェーブなのか」ってカンジ出してくるよね。

とも子:それでキレたスタースクリームがすったもんだの末に対メガトロン部隊として作り上げるのがこの……オンスロートを筆頭とするコンバットロンなんだよ。

「トランスフォーマー ユナイトウォリアーズ」UW-07 ブルーティカス封入のオンスロート。オンスロートを始めとするコンバットロン部隊は、メンバー全員が軍用機へとトランスフォームし、全員が合体することで巨大戦士ブルーティカスになることもできる強力な部隊なのだ

しげる:コンバットロン強いよな~。デストロンでも上位の実力だよね? メガトロンもベタ褒めしてたし。

編集部:メガトロンけっこう褒めますね。

とも子:メガトロンはね、けっこう褒めて伸ばすタイプなんだよ。

しげる:褒める褒める。

編集部:理想の上司じゃないスか……。

とも子:いや、それは結構ファンの間でも言われるんだ! Googleでメガトロンで検索すると「理想の上司」ってサジェストされるくらいな。

確かに「理想の上司」でサジェストされるメガトロン様

しげる:反面コンボイはね、けっこう適当なところあるよね。

とも子:ただ、メガトロンもけっこうバカなところあって……。割と作ったマシンのテストを怠って自分も破滅しそうになる回とかちょくちょくあるよね。

しげる:あるねー。そういうときに限ってスタースクリームが冷静に「メガトロンさま、ちゃんとテストしないとダメですよ!」みたいなこと言うんだよね。

とも子:でもスタスクにとがめられてもメガトロンは話聞かねえで「黙れこの愚か者めが!」とかキレる。「できねえって言ってるからできねえんだよ!」とか根性論振りかざしてくるんだよな。

編集部:やっぱり嫌な上司かもしれない……。

会社組織モノとして見るトランスフォーマー

とも子:でもなんだろうね。デストロンってやっぱり愚連隊的というかさ……。基本メンバー全員粗暴でバカじゃん。そんな荒くれ者の集団が、メガトロンというカリスマ性があるリーダーに束ねられることでギリギリ保ててるんだよね。

しげる:だから相対的にメガトロンが理想の上司に見えるというところはあるな。

とも子:一方サイバトロンってさ、コンボイがいなくても結構やっていけるところあるじゃない。よくWeb上だと「コンボイはすぐ適当なこと抜かすバカ」とか揶揄(やゆ)されるけど違うんだよな。サイバトロンはメンバーみんなが自立してる組織なんだよね。

しげる:ウン。それはある。だからコンボイは無能、メガトロンこそ理想……と言われてるのは実際は逆でさ。サイバトロンは「社長なしでも回ってる会社」で、デストロンは「ワンマンカリスマ経営者がいないと回らない会社」なんだよ。

とも子:続編の「2010」がまさにそれを示しているよな。メガトロン……もといガルバトロンがいなくなってしまったデストロンは衰退の極みだった。でもサイバトロンは若きロディマスの指揮のもと、銀河中と同盟を結んで栄華を極めてたわけじゃん。だから会社組織として健全なのはやっぱりサイバトロンなんだよ。

「2010」期に発売されたオモチャを現代風にリメークした「トランスフォーマーレジェンズ」LG23 ガルバトロン。メガトロンは初代アニメと続編「2010」をつなぐ「トランスフォーマー ザ・ムービー」でガルバトロンへとパワーアップした

しげる:ウン……。俺、「トランスフォーマー」は「島耕作」もビックリな会社経営モノだと思うんだよね。「なにかしらのプロジェクトを達成するにあたってのプロセスの差」みたいなものがすごい面白いと思っていてさ。初代アニメって大抵のエピソードが「プロジェクトを達成しよう!」って内容なんですよ。

とも子:その軸として「エネルギー」があるんだよね初代は。「2010」だとちょっとブレるんだけど……。

しげる:デストロンはとにかく地球人を見下して、滅ぼうがなんだろうがエネルギーが手に入れば知ったことではない。一方サイバトロンはそれをやめろ! と阻止しに来るし、地球人と仲良くなることで平和的にエネルギーを手に入れる。その差なんだよね。

とも子:デストロン、しょっちゅうケンカしてるし、やっぱり組織としてすごく未熟だよな。スタースクリームに限らずいろんなヤツラがたまにメガトロン殺そうとしてるし。

しげる:だからやっぱり「どっちに入社するか?」って選べるときはデストロンは嫌だよな。デストロンは基本みんな仲悪いから「みんなで一致団結して目標を達成しよう!」じゃなくて「アイツの脚を引っ張ってやろう」って組織だもん。

とも子:なるほどなあ。確かに会社組織として考えるといろいろしっくり来るもんがあるな……。いまの話聞いて思ったのはさ、そういう組織としての差がすごく描かれてるから「トリプルチェンジャーの反乱」は名作なんだろうな。

編集部:どんな回なんです?

とも子:スタースクリーム、ブリッツウイング、アストロトレインの3人がメガトロンを倒してデストロンを改革しようって話。最終的にそこにデバスターも加わって、デストロン同士の醜い争いになるんだけど、それをサイバトロンは静かに観戦してるんだ。

「戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー」第38話「トリプルチェンジャーの反乱」より。延々お互いの足を引っ張り合うデストロンと、互いに協力し合うサイバトロンの対比が笑え……もとい印象的な回。メガトロンの「どいつもこいつも裏切り者ばっかりだ!」という叫びは涙なしには聞けない台詞

しげる:最終的にメガトロンが全員を倒して「今回ばっかりは大目に見てやろう!」ってみんなを許してあげるんです。

編集部:殺されかけたのに!?

しげる:それを見たサイバトロン達は「やっぱりメガトロンに収まったんだなあ。デストロンはいつも内輪もめしててしょうがないですね。でもやっぱりサイバトロンのリーダーはコンボイ司令官だぜ!」って盛り上がって終わる。

とも子: 今までは単に「トリプルチェンジャーの妙な作戦が笑える回だなあ」と思っていたんだけどそれだけじゃないね。両軍団のスタンスの違いが明確に描かれてるから面白いんだ。デストロンはなんか、アストロトレインがヘマしてるのを見たスラストが「バカだなアイツwww」とか罵ってたりするのに、サイバトロンはみんなで力を合わせてニューヨークを襲う津波を阻止している。軸がとてもしっかりした回だわ。

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