ニュース

「VODがテレビを逆転」「TikTokで14億人がバイヤーに」 中国戦略マーケター「なつよ」さんが見た、2019年の中国で起こっていること(1/3 ページ)

淘汰されないために。

advertisement

 2018年11月。世界中を驚愕させた、ある「炎上」が起きた。

 イタリアの有名ブランド「ドルチェ&ガッバーナ」の、中国市場向けCMに端を発する、ブランド不買事件だ。

 CMへの反応に対し、デザイナーがInstagramのDMで発した「中国人への侮辱発言」が外部に流出し、中国での反ドルガバ感情はおそろしい勢いで拡大。同ブランドは中国最大のSNS・微博(weibo)上で謝罪動画をあげることになったのみならず、途方もない損失を被ることになった。

advertisement

 そんな前代未聞の大炎上のディテールと中国人の感情の背景を、誰よりも早く誰よりも丁寧に解説し、話題となったTwitterアカウントがいる。「なつよ」さんだ。

 プロフィール欄には「ラッパー」とのみ書いてある謎めいた彼女――陳暁夏代(ちんしょう・なつよ)さんの本業は、“中国戦略マーケター”。日中を行き来しながら育ったバックグラウンドを生かし、幅広い日本企業の中国進出を支援する事業を行う合同会社・digdogを経営している。

 仕事でもプライベートでも貪欲に中国トレンドを追っているなつよさんが、このたび、広告会社マッキャンエリクソン本社で行われたトークイベント「木曜日のミレニアルズ」に登壇。「中国トレンドを知れば世界が見える――君たちはどう生きるか2019」のタイトルのもと、中国トレンドを理解するためのヒントをレクチャーした。同イベントの内容を、再構成してお届けしたい。

理解のものさしは、「世代」「地域」「等級」

 中国のイメージが、「とにかく人口が多い!」「お金持ちが爆買い!」「キャッシュレスが進んでる!」というぼんやりしたものでとどまっている人は少なくないだろう。まずなつよさんが提案するのは、トレンドを理解するための「ものさし」を持つことだ。

 その1つが「世代」

advertisement

 「中国の経済状況や政策はかなりのスピードで変化しているので、世代ごとに育ち方が全然違い、性格や特性も変わってくる。中国人は漠然とお金持ちというイメージが最近ではあるかもしれませんが、それは一部の話で、60~70代の人の大半は年金でつつましく暮らしてますし、お金の稼ぎ方も人それぞれ。世代分析も5歳刻みで行われることが多いです」

 2018年トレンドをけん引しているのは、ボリュームゾーンである1990~1995年生まれの“90後”。彼らとそのすぐ下の世代の“95後”“00後”が、あらゆるエンターテインメントのファン層を担っているそうだ。

 そして世代と同じくらい重要なのが、「地域」。中国の国土は非常に広大なためエリアによって気候が全く違い、売れる化粧品や服が変わってくる。

 さらに、中国特有の要素として存在するのが「等級」。毎年政府が政治や経済における総合評価で「1級都市」「2級都市」とランクづけしているが、この等級によって、かなり市民の性質が違う。等級が高い都市の市民のほうが年収やリテラシーは高いが、等級の低い都市のほうが人口は多い。

 「例えば短尺動画アプリのTikTok(抖音)は最初は1~2級都市で使われていて、次第に3~4級都市に広がったんですけど、それに合わせてアプリのUIもだいぶ変わってきました。どこの等級の都市で流行らせたいかでプロモーションのやりかたは全然違ってくるんです。3~4級都市狙いで始めるサービスだと、ログイン回数に応じて現金をばらまくキャンペーンが人気ですね」

advertisement

 「世代」「地域」「等級」の3つを意識することで、さまざまなレポートを読み解くことができたり、中国トレンドの背景分析ができたりするようになるという。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  3. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  4. 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  5. “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
  6. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  7. 柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
  8. 「巨大なマジンガーZがお出迎え」 “5階建て15億円”のニコラスケイジの新居 “31歳年下の日本人妻”が世界初公開
  9. 「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
  10. 「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】