コラム

無限折り、領域付加、円分子法……って俺の知ってる折り紙じゃない 「超複雑系折り紙」の作り方を開成学園「折り紙研究部」に聞いてみた(2/4 ページ)

レベルが高過ぎて、もはや折り紙に見えない件。

advertisement

大澤:例えば、折り鶴は伝統的な作品ですけど、仮に「その作り方をこれから考える人」がいて、「正方形の紙のどこを羽根にしようか」「どこを頭にしようか」と悩んでいたとしましょう。

 このときに役立つ手法に「円分子法」というものがあって、頭、羽根などに割り当てたい紙の部分に円を描いていくんですね。

「これが円分子です」と見せてもらったのは「Origami Design Secrets」という分厚い英語の書籍の1ページ。折り紙は海外でも「origami」として有名で、この本の著者Robert Lang氏は、折り紙の世界に数学の考え方を取り入れた先駆者だといいます

 こうすると「ここは頭になる部分だから、他の折り線が入らないように注意しよう」、この円の半径は角が出る長さ(ここでは頭や羽根の長さ)に相当するので、「羽根を大きくしたいから、円を大きくしよう」みたいに考えることができるんですよ。

advertisement

―― 未経験者には難しい話ですが、「完成後に現れる各パーツを、折り紙のどこに配置するか」を言い換えると「角をどう配置するか」になる、というイメージでしょうか。

大澤:でも、最初は伝承作品をベースに考えるのがいいと思います。折り鶴を折っている途中に「あれ、今の形、花っぽいな」と思ったら、「じゃあ、もっとそれらしく見せるにはどうすればいいか」と、そこから作り変えてみたり。

中村:ちょっと試しにやってみると……。(約10分後)こうすると、折り鶴から恐竜にアレンジできます。

「折り鶴」改め「折り恐竜」

金子:何でそんなスラスラできるの?

大澤:あの……普通の人はこんなに早くできませんからね。

advertisement

中村:いや、子どものころ、小学校受験のために折り紙をやらされてたんだよ。で、受験は落ちたけど、なぜか折り紙は趣味として残って、もう10年くらい。それだけ経験あれば、誰でもこうなるって。

―― というか、折り紙との出会い方が特殊過ぎません?

複雑化のテクニック:無限折り、領域付加

―― 特に、複雑な折り紙を創作するときは、どんなテクニックを使っているんですか?

大澤:頻出ではないんですが、面白いのは「無限折り」ですね。「ある形から折っていくと、最初と同じ形が現れる」というもので、要は、同じ折り方がループできます。ひまわりをモチーフにしたある作品だと、この手法で花中央の種を1つ1つ作っていきます。

ループする無限折りの一例
三角形から折っていくと、また三角形が現れます
さらに折っていくと……
極小の三角形に。ちなみに、ひまわりの作品では、この無限折りよりもサイズが小さくなりにくい四角形のループが使われているそうです

中村:あと、複雑にするという意味では「領域付加」というのもあります。折り紙は大きさが違っても正方形だったら、同じものが折れるじゃないですか。

advertisement

 これをひねって考えると「いろいろ折ったとしても最終的に正方形になれば、そこから同じ形が作れる」ということになります。例えば、「折り紙の外側をアレコレ折る → 正方形になったところで折り鶴を折る」という手順にすると最初に手を加えている分、“複雑化した折り鶴”になります。

―― これまた感覚的に理解しにくそうなところですが、「正方形の折り紙のなかに、さらに小さな正方形を想定。そうすると、紙上のスペースが余るから『折れる領域が付加される』」という捉え方でしょうか。

大澤:領域付加には、蛇腹構造を使うやり方もあって。折り込んでヒダになった分、紙は小さくなりますが、そのヒダ部分を折って複雑な作品が作れます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  4. 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  5. 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  6. 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  7. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  8. 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  9. 後輩が入手した50円玉→よく見ると…… “衝撃価値”の不良品硬貨が1000万表示 「コインショップへ持っていけ!」
  10. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に