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押せなかったTwitterの承認リクエスト、行けなくなった花火大会 「かぐや様は告らせたい」11話(1/2 ページ)

鍵垢のフォローって緊張しませんか。

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かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ (C)赤坂アカ/集英社

 恋愛は告白した方が負け! 「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」(原作アニメは、相手から自分に告白させるためにあらゆる知力体力を用いて戦うエリートたちを描いたラブコメディー。とっても愛しくてとっても面倒くさい少年少女の、青春の無駄遣い物語。

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かぐや様は告らせたい

フォローできない症候群

 財閥の令嬢にして生徒会副会長、四宮(しのみや)かぐや。努力家の生徒会会長、白銀御行(しろがね・みゆき)。2人は自らの意地とプライドにかけて、自分からは告白しない、相手に告白させる、と心に決めて戦い続けている間柄。

 待ちに待ったはずの夏休み。生徒会みんなで楽しく過ごして、距離を縮めるつもり満々だった御行とかぐや。ところが言い出しっぺだった藤原書記(アニメ2話・原作1巻7話)のまさかの裏切り(海外旅行)で事態は急変。

 取りあえず「8月20日に花火大会に行く」という約束だけは、かろうじて死守。しかし20日まで意地を張って、全く連絡をお互い取り合わない、という悲しい日々が続きます。分かっちゃいたけど……。

かぐや様は告らせたい 乙女の大切な宝物(5巻P13)

 かぐやは、連絡を自ら取ることを一切できないままでした。夏休みが始まってなお、6月に初めてもらった御行からのメール(アニメ4話・原作2巻19話)を、保護付きにして何回も読み返しているほど。その前に藤原書記が唐突に送ってきたどうでもいい写メも、大切に保存して見直しています。

 いや待てよ。メールの保護って今どきする? ってかメール使ってる? あと最近の若い子には、「写メ」って言っても通じないって聞いたんだけど、まじですか?

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 そもそも「メールを送る」って、ものすごいカロリーのいる作業です。かぐやは、メールを自分から送るのは、相手への意識を表明する行為だと、悩んでいました。この感覚は、そんなにおかしな話じゃない。文体でどう思われるか、とか考えると疲れてしまう。便利で見やすいはずが、ストレスの元になりがち。

 今回彼女が初めて接したのがSNS。TwitterやLINEのようなサービスは、インスタントメッセージのやりとりでコミュニケーションのフットワークを一気に軽くしました。画像の送信も気軽にできるようになり、添付云々とか考えずほいっと複数人で共有できちゃう。

 メールでの連絡は結局取れなかったかぐや。でも近侍の早坂がいうTwitter(生徒会の三人と早坂は使用中)とやらを見れば、知らない御行の一面を見られるらしい、と開いてみたはいいものの。

「悪い事した!?」って先に考えるのが機械音痴あるある(5巻P34)

 ネットについて何も知らないITオンチのかぐや。地力で開けるのは検索サイトのトップページ止まりという、超アナログ人間。Twitterのルールのみならず、SNSの仕組みそのものが理解できていない。

 これは、御行の承認制の鍵アカウントが、登録したばかりのかぐやには見えていない状態。では御行のツイートを見るにはどうすればいいか?

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これが分かるかどうかで、人は分かれそうです(5巻P37)

 承認リクエストを送ればいい。

 たったこれだけのことが、できない! 相手に対して「あなたのことを知りたいので許可してください!」という表明じゃないか、と考えたかぐやに対し、早坂はバッサリ「新手のバカですか?」

 ワンクリックできるか否かの差が、ネット社会コミュニケーションの真剣なところ。早坂が言うほど、かぐやの意見はバカなわけじゃない。SNSならではの、距離感・温度感は、見えない状態で察するのが彼女には難しすぎました。

 かぐやは、SNSの広大な空間に踏み込んでなお、すぐ側にいるはずの好きな人との距離が、分からないままです。むしろネットを介したことで、さらに混乱してしまった。

 彼女のTwitterは、フォロー0人、フォロワー0人。

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 ギャグ混じりの前振りから、家に縛られるかぐやの姫君と、自転車に乗った白銀の王子を結び付ける、夏のイベントがスタートします。

囚われの姫君

悲しい構図(5巻P66)

 以前から出ていたように、かぐやは極端なまでに外に出してもらえない少女です。学校の行き帰りは小学校からずっと運転手付きの送迎。それ以外での外出はほとんどなし。

 父親は大層な人物らしいけれども、かぐやに何も声をかけない。彼女は、家族のいる環境を知りません。

幸せの総量ってあるんだろうか(5巻P70)

 「幸」と「不幸」の総計は同じくらい。であれば、私は恵まれているからしかたない、と我慢しているかぐや。「幸福の分不幸があってもしかたない」理論は、かぐやの場合苦痛を耐え忍ぶための言い訳。「寂しい」を言わせてもらえないことへの無理やりな理由付けです。原因はそこじゃない。

 ここで、藤原書記が大事な友達として出ています。今までかぐやが、無下にしまくっていた藤原書記。彼女の中にある本音が現れました。

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 花火大会の前日、かぐやと藤原書記三姉妹が初めてお買い物に行くという約束をしていました。ところが家の問題で行けなくなってしまった。藤原書記姉妹は、ちゃんとこの件を打ち合わせています。

 「延期決定!!」「こういうのは皆で行くから意味があるのです!」「よかったぁ! そうだよね!!」

 ちゃんと思ってくれる人を、「友達」だと認識するようになっているかぐや。中学生までは心を殺して、人間関係を受け入れようとしなかったけれども、今は「幸せ」がどういうものなのか、自分なりにちゃんと分かってきている。いろいろな事を好きになりたい、初めての体験をたくさんしたい、とポジティブに行動し始めています。

 だからこそ、失った時の反動が大きい。

(5巻P78)

 花火大会当日。「ごめんなさい。今日は行けなくなってしまいました。本当にごめんなさい」と、藤原書記にメールを送ります。

 理由は、人混みのある場所にかぐやを出すのは危ないから、らしい。父親からは愛してるとも、心配しているともいわれたことがないのに。

大丈夫って言葉は大概大丈夫じゃない(5巻P80)

 おそらくここまで激しい痛みを感じたことはなかったんでしょう。今までは「大丈夫」で我慢できた。でも今回は、悲しさと寂しさで気も狂わんばかり。

 ここで出てくるのが「皆に会いたい」という言葉。会長に会いたい、じゃない。

 次回、天才達の、真の恋愛頭脳戦が火蓋を切ります。

藤原書記、ラーメンを喰う

 5巻第43話「藤原千花は超食べたい」をちゃんと再現してくれたことで、アニメスタッフへの信頼と感謝がより一層深まりました。この話ぶっちゃけそこまで重要ではない。花火大会フラグではあるけど、無理に描かなくても成立する。原作の中でも異色な演出の、ただラーメンを食うだけという藤原書記らしい回をカットせずに、あえてコッテリした描写で再現してくれた。こういうのあってこその「かぐや様」。

ラーメン大好き藤原さん(5巻P52)

 世の中は、ラーメンを「喰える側」と「喰えない側」の2つに分かれる。大人たちがブルースを感じるような、薄汚れたラーメン屋。そこに夜遅く女の子1人で入って来るとなると、さすがに浮く。藤原書記は美少女ですから。

 1人ラーメンを通の視点で味わう、サラリーマン小田島三郎。横で、藤原書記はまるでスイーツを食べるかのように、ラーメンを堪能する!

 ミニラーメンにして食べるからバリカタを頼んだ、という最適解は彼女の本能なのか才能なのかは不明。まあそこはいい、大事なのは「喰う」かどうか。

 藤原書記、喰った。生のにんにくをつぶして入れて、一番おいしくて一番臭う状態で、喰った。スープの一滴も残さず、塩分過多なのに、喰った!

ああ君は美しい、若さゆえ(5巻P59)

 彼女の起こしたミラクルと、あふれ出る食への本能と、ちょっとの乙女心。藤原書記が日本のラーメンを食べ歩くスピンオフとかできませんかね。

 なお現在、ちょいエロありのドタバタギャグ「かぐや様は告らせたい 同人版」と、生徒会を妄信的に崇拝する生徒たちを描いた四コマ「かぐや様を語りたい」が、スピンオフで連載中です。

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