平成のプリキュアは、いかに“2度の危機”から復活したのか マクロ視点から振り返る:サラリーマン、プリキュアを語る(3/5 ページ)
平成最後のプリキュア記事、気合入れて書いたら1万字を越えちゃいました。
2008年「Yes!プリキュア5GoGo!」
続く2008年「Yes!プリキュア5GoGo!」では、前作の5人に新プリキュア「ミルキィローズ」を加えての2年目。新しいプリキュア、ミルキィローズは子どもに爆発的な人気を博し、関連商品の売り上げも好調でした。
しかし後半は「こなぷん」などのメイキングトイのブームなどもあり、プリキュア関連商品の売り上げもやや落ち込みを見せる結果となりました。5GoGo以後はプリキュアシリーズでは「同じキャラクターで2年目」を行うことはなくなり、基本1年1シリーズの展開が主流となりました。
2009年「フレッシュプリキュア!」
2009年は東映アニメのプロデューサーが鷲尾天さんから梅澤淳稔さんに代わり「フレッシュプリキュア!」が開始します。
実はこの「フレッシュプリキュア!」はプリキュア史の中でも、重要なターニングポイントとなっている作品なのです。プリキュアという作品が“2月に始まり、3月にオールスターズ映画上映、5月に武器を入手、7月に新しい戦士が加入、9月に最終決戦用のアイテムを入手、10月に秋の映画公開”という、一連の流れを確立したのがこの「フレッシュプリキュア!」なのです。ドラマティックな物語が動くタイミングと関連商品の発売を密接にリンクさせる手法で売り上げを大きく伸ばし、プリキュアというコンテンツを大きく進展させました。以後のプリキュアシリーズでは、全てこの黄金パターンが採用され今に至ります。
また、内容的にも深いSF要素や、主人公の桃園ラブを始めとしたキャラクターの魅力、そのストーリー展開の重厚さが子どもはもちろんのこと、一緒に見ているお父さんお母さんに、そして大きなお友達をも熱狂させることとなりました。
特に敵幹部イースが新プリキュア、キュアパッションへと変わる第23話~第25話は、10年たった今でもプリキュアファンの間では語り草となっています。
また、2009年はサンリオが4年間放送していた「おねがいマイメロディ」シリーズから「ジュエルペット」に転換、小学館ちゃお系は3年続いた「きらりん☆レボリューション」から「極上!めちゃモテ委員長」に代わり、集英社ラインからは「夢色パティシエール」の放送が開始するなど、女の子向けアニメーションも新しい時代へと突入した年でもありました。
2010年「ハートキャッチプリキュア!」
2010年に始まった「ハートキャッチプリキュア!」は、前作の絶好調を引き継ぎ、まさにプリキュア黄金期を迎えます。コミカルなキャラクターが繰り広げるアクションとシリアスなシナリオ展開が多くの視聴者を引き付けました。雑誌など各種媒体への露出も多く、この年、プリキュアは初のNHK紅白歌合戦への出場も果たしました。
2010年は、2009年から大きな盛り上がりを見せていた他のライバル女児アニメに加え、セガが「おしゃれ魔女・ラブandベリーの再来」を狙って大きくメディア展開を開始した「ひめチェン!おとぎちっくアイドル リルぷりっ」も始まりました。この「リルぷりっ」や「めちゃモテ委員長」はアーケードカードゲームも同時展開し、こちらでもプリキュアと熾烈(しれつ)なライバル対決を繰り広げていたのです。
しかし、そんなライバルと戦いながらも、2010年度はプリキュアシリーズのトイホビー売り上げが過去最高の125億円を記録し、その強さを証明したのです。まさにプリキュア黄金期でした。
2011年「スイートプリキュア♪」
「ハートキャッチプリキュア!」の大ヒットを受けて始まった「スイートプリキュア♪」。開始当初は堅調な滑り出しでしたが、3月11日の東日本大震災の影響を大きく受けてしまいます。
封切り8日前だった「映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花」は災害を連想させるシーンを急きょカットしての上映。東映アニメーション公式サイトで被災地の子どもたちに向け応援メッセージ動画「プリキュアからみんなへの応援ムービー」が配信され、子どもたちを勇気付けました。
放送話数が予定よりも1話少なくなるなど、予定が大幅に変更されたシリーズでしたが、今でもキャラクターの人気が高く、たくさんのファンに愛されているシリーズとなりました。数字的には震災の影響で前年よりは落とすこととなりましたが、堅調な推移をみせた作品なのです。
2012年「スマイルプリキュア!」
震災の翌年、とにかく明るく楽しく、どの話からでも見られるように1話完結の話が多いシリーズとなったのが「スマイルプリキュア!」。震災翌年の子どもたちをまさに「笑顔」にしたシリーズです。変身アイテム「スマイルパクト」の人気が高く、販売5週累計で前年の2倍近い販売額とすさまじい売れ方となっていました。
前作比で190%(販売5週累計販売額)、これまでのシリーズ9作品の中でも史上最高のスタートダッシュとなった「スマイルプリキュア!」(『月刊トイジャーナル』2012年5月号 P27)
プリキュアはもちろん敵キャラにも魅力的なキャラクターが登場し、多くの視聴者を引き付けることとなり、エンディングダンスも大人気。多くの女の子がテレビの前で「イェイ!イェイ!イェイ!」を歌って踊りました。
(余談ですが、プリキュアの同人イベントやコミックマーケットの参加サークル数、大型掲示板の実況数などから見ると「大きなお友達」が最も多かったのもこのシリーズであると思われます)。
2013年「ドキドキ!プリキュア」
2013年の「ドキドキ!プリキュア」も堅調な推移を見せますが、この時期のプリキュアはある強力なライバルとの闘いが繰り広げられていました。この先のプリキュアを語る上で欠かせない「ある重要な作品」について少し説明します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.