インタビュー

母はADHD、子は発達障害グレーゾーン 育児漫画「生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」インタビュー(1)

2019年2月に「入学準備編」が刊行された育児エッセイ漫画。著者に話を伺いました。

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 母子ともに発達障害での育児体験をつづった漫画「生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」。2019年2月に最終章となる「入学準備編」が刊行された同作について、著者・モンズースーさんにインタビューしました。漫画本編もあわせて掲載します。(聞き手:直江あき

漫画「生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」とは?

 幼いころから生きづらさを抱えていた私が生んだ子は、二人とも発達障害グレーゾーンでした。

 未来が怖い、人目が怖い、集団が怖い。絶望と希望を繰り返しながら、それでもなんとか前向きに生きていく姿に、共感と応援の声! アメブロで総合1位を獲得した実録コミックエッセイ。

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著者プロフィール:モンズースー(Twitter:@monnzusu

長男を出産後、ADHDと診断される。基本のんきで前向き。第29回コミックエッセイプチ大賞受賞後に始めたブログ「【漫画】生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」がアメブロ総合1位を記録(現在のブログは「凸凹ハウス~親子で発達障害でした~」)。2016年にデビュー作「生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした」を刊行、大きな話題を呼びロングセラーに。その後、「入園編」「入学準備編」(いずれもKADOKAWA)を刊行。

その他の一部エピソード、購入先などはWebマンガ誌「コミックエッセイ劇場」に掲載されています

―― 作品を描き始めたきっかけは?

 長男に発達障害があって療育(※)に通うようになり、仕事を続けられなくなったため、家でできる仕事を探していました。田舎なので内職とかもなくて……。そんなときに、KADOKAWAさんで「コミックエッセイプチ大賞」を募集しているのを見て、漫画を描いたんです。

※療育:障害をもつ子の社会的自立を目的とした医療、保育

 自分のことを発信するのは苦手でしたし、お金に余裕がなかったので1000円くらいの初期投資(画材代と送料)を出すのすら迷いました。でも、「ADHDは漫画家に向いてる」というような記事を読んだので思い切って挑戦してみました。そうしたところ、運良く賞をいただけました。

 その後、編集さんに勧められて、まずはブログを書くことになりました。あまり自分のことを発信したいタイプでもないですし、文章を書くのも苦手だったので、不安でした。だから、今の状況は自分でも不思議です。

―― 本書のはじめに、ブログに関して「続けることが苦手な私にやっていけるかな…」と書いていますが、見事続けられていますよね。

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 私も最初はブログがなかなか続きませんでした。始めた2015年ごろは、あまり発達障害に関する情報が知られていませんでした。報道も情報発信する人も少なかったんです。

 当初は、周りからたたかれるんじゃないかってビクビクしていました。けれどもいざ始めてみたら、ブログの内容に共感してくれる人がものすごく多かったんです。発信しても大丈夫なんだと安心しました。そうすると、頂いたコメントを読んだりするのが楽しくなってきて、続けられるようになりました。

 育児をしていると書きたいことがたくさん出てくるので、今は漫画やブログがすごく楽しいですね。

―― シリーズ初刊の作中で「物忘れが激しい」と書かれていましたが、産後のことはよく覚えていますね。何か育児メモのような記録を取っていたのでしょうか?

 いやー、取ってなかったですね。私、文章を書くのが苦手で、母子手帳も書いてないくらいなんです。特に印象的で覚えているエピソードだけ漫画にしている感じです。

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 ネガティブなことほどよく覚えていていて……。だから漫画の内容も、辛かったり悩んだりした内容が多いんだと思います。今は子どもも成長して少しは余裕も出てきましたが、赤ちゃんのころはとにかく大変で、記憶がほとんどありません。

―― 子育てに追われるなかでの漫画制作、多忙ですね。いつ描いていたんですか?

 当時は子どもが寝静まってから描いていました。私はスケジュール管理ができなくて。

 原稿を描く際も、編集さんにきちんと締め切りなどを設定してもらいますが、それに向かってコツコツ描くということどうしてもできないんです……。結局、締め切りの2週間前から徹夜で仕上げていました。

 周りからは「よく時間ありますね」などといわれることもありますが、時間を作っているというわけでも、これといった工夫をしているというわけでもなく、ただ睡眠時間を削って描いたんです。発売日を決めて締め切りを設定して、厳しくてもやるしかないと決まって追いこんでやりました。周囲に迷惑もかけつつも、なんとか本ができました。

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―― 土壇場の集中力はさすがですね。漫画自体は、小さいときから描いていたんですか?

 昔から漫画を描くのが好きで。ずっとノートに漫画ばっかり描いているダメな子でした(笑)。

 編集さんから珍しいと言われたんですけど、私、漫画のネームを作るときに文字ではなく、絵を先に描いていたんです。コマ割りや絵を描いてから、最後に文字を書く。けれども、この方法だと、ストーリー上入れるべき文字が入らなくなってしまうんです。

 この“文字が入らない事件”が多発してしまって……。描く順番が一般的ではないことを、2巻の終わりぐらいに指摘されて初めて気付きました。みんなが当たり前にできることができていないな、っていうのはたくさんあります。

―― 「漫画の描き方」のような本も読まなかったんですか。

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 子どもの頃は読みましたが、投稿するときは読みませんでした。大体何でもかんでも、見切り発車で、思い立ったらすぐやっちゃうっていうのが私の特性です。

 長男の療育に関しても、ちゅうちょするお母さんもいますが、私はモヤモヤしたままじっとしているというのがすごく苦手なので、まず行動してしまうことがあります。療育場所が見つかったのはよかったんですが、振り返ってみると先走ってしまったところもあったかなと思ったり。

(続く→後から分かった「周りが発達障害の子に合わせて」の意味

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