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“つながりたいけど”は“つながりたいから”へ 盛り上がった「さらざんまい」6話ネタバレレビュー(2/2 ページ)

そして話は新たな局面へ。

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偽物の家族として

 主人公の3人「矢逆一稀(やさかかずき)」「久慈悠(くじとおい)」「陣内燕太(じんないえんた)」は、同じ中学に通う3年生。ある日、カッパ王国第1王位継承者を自称する謎のカッパ型生命体「ケッピ」に出会い、生前の欲望を満たそうとする「カパゾンビ」と戦う事になる、というところから話が始まります。

 3人はそれぞれ大きな秘密を抱えているのですが、特に複雑な秘密を抱えていたのが一稀です。彼は自分を育ててくれた両親の実子ではないことを、10歳のときに知ってしまいます。さらに、このことをきっかけにしたけんかで弟の春河(はるか)が事故にあい、歩けなくなってしまいました。

 自分は養子なのに、両親の実子を車椅子生活にしてしまった。にもかかわらず、育ての両親も、春河も、一稀を責めることはありませんでした。一稀は罪の意識から、「自分は一生偽物の家族でいる」ことを心に誓います。

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 そして現在の一稀は、春河が好きなローカルアイドル吾妻(あづま)サラに成り済まして携帯電話で連絡を取り合い、日々サラに成りきった女装コスプレ自撮り写真を春河に送る(一稀が美形なためバレていない)というゆがんだ生活を送っていました。これも全ては、春河への罪滅ぼしのため……。

 しかし、こんなうそは、いつまでも隠し通せるものではありません。春河がサラの握手会に参加したことで、全てが白日の下に明かされてしまう……というのが第5話までの大まかな流れです。

本当の家族のように

 そして迎えた第6話。第5話でカパゾンビの討伐に失敗した3人は、カッパの姿から戻れないまま1日過ごしていました。そんななか、春河が“カワウソ帝国軍”にさらわれてしまいます。6話で突如名前が出てきたこの“帝国軍”こそが、人間を殺してカパゾンビにしているというのです。

さらわれる春河
カワウソ帝国のアジトに侵入する4人(4匹?)

 カワウソ帝国のアジトで尻子玉を抜く施設に連れて行かれてしまった春河。ケッピは一稀に呼びかけます。春河を助けたいのであれば、尻子玉を春河に移植すれば良いと。ただし、尻子玉を抜かれると人間のつながりの輪から外れ、今まで生きてきたという事実自体が全て“なかった”ことになるという、死より恐ろしい結末を迎えることになります。

 今まで「偽物の家族」として過ごしてきた一稀。自分の存在自体がなかったことに成れば、春河が事故にあうこともなくなり車椅子生活を送る必要もなくなります。自分がいなくなれば。自分さえいなければ……。一稀の答えは決まっていました。

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 そんな一稀を力ずくで止める久慈と燕太。「何で邪魔するんだよ! 僕が望んだことなんだから放っておいてよ! 僕なんかいない方が良いんだ!」と一稀は涙ながらに訴えますが、久慈の全力パンチでいさめられます。

 その時、尻子玉を抜く施設から放り出され、別の場所に連れて行かれる春河の姿が。春河の尻子玉に含まれていたのは“欲望”ではなく“愛”だっため、“欲望”を集めているカワウソ帝国にとっては不要なものだったらしく、春河は体ごとシュレッダーにかけられそうになってしまいます。

 春河を助けるため、全力で駆け出す3人。一稀の頭によぎるのは、来る直前に拾った春河の携帯電話に保存されていたメールです。そこに書かれていたのは、「サラちゃんへ。最後のメールです」と書き始められた、春河の本当の思い。事故の原因は自分にあったこと。事故以来笑わなくなった一稀に笑ってほしかったこと。サラに成り済ましてでも自分を励まそうとしてくれたのがうれしかったこと。

走る一稀。その足にはミサンガ

 その後ギリギリで春河を救い出した3人は、久々に人間の姿に戻ります。多くのものから救われた一稀の顔には、今までにない笑顔が浮かんでいました。

つながりたいから、諦めない

 1話から張り巡らされていた伏線の多くが回収されたこの6話は、ストーリーの大きなターニングポイントとなっているのは間違いありません。サブタイトルも、第1話から「つながりたいけど、○○ない」で続いてきたのが、初めて「つながりたいから、諦めない」と変化しています。

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 「さらざんまい」では、1話から「誰にも知られたくない秘密」が大きなテーマとして扱われてきました。カパゾンビの尻子玉を抜くと生前の「誰にも知られたくない秘密」を知る代わりに、3人もお互いの秘密を共有してしまいます。

 3人には、「つながりたい」と思っている人がいます。一稀は春河、同性愛者の燕太は一稀、久慈は遠くで暮らす兄。みな「つながれない」事情があり、その事情こそが「誰にも知られたくない秘密」となっていました。

 しかし、6話にしてついに、一稀は心から春河とながれた、はずです。春河は一稀がサラに成り済ましていたことも、実の兄弟ではないことも知ったうえで、なお兄を慕い受け入れました。一稀は、春河が全てを受け入れてくれていることを知りました。もう2人の間に隠し事はありません。

 ハイテンションな世界のなか中学生3人が抱える大きな秘密とジレンマを見せつけられてきた、1~5話。それが初めて1つ解消され、明るい方向に向かったのがこの第6話でした。だからこそサブタイトルが今までの法則から外れ、希望を感じさせるものになったのではないでしょうか。

 1話の時点では「一見普通そうに見えて女装自撮りが趣味の変なやつ」かのように描かれていた一稀のサラ成り済ましが、あまりにも悲しい理由から始まったものであり、最後には兄弟が救われて決着した6話はあまりにも見事というほかありません。ネット上では、「まるで最終話かのようだった」という声が多数上がっているのも納得です。

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 しかし、「さらざんまい」はまだ、折り返し地点を過ぎたところです。6話Cパートでは短い時間で新たな情報が多数もたらされ、まだまだカッパやカワウソについても不明点が多数残されています。燕太と久慈の秘密が救われる展開も残っているかもしれません。

 予告によると、7話では暗躍していた2人の警察玲央と真武の過去が明かされるということです。今から楽しみですね。

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