インタビュー

正規雇用にありつけない、給与も上がらない“臨時採用教員のツラさ” 現役教師が語る「ブラック職場としての学校」(1/3 ページ)

「どの学校にもいる」という臨時採用教員の厳しい働き方。

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 子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員であるAさん(仮名)に「1人の一般教員として感じている“学校の労働環境の問題点”」を語ってもらう連載企画となります。

臨時採用の教員がなかなか“正規教員に這い上がれない”理由

 「部活の負担が重い」とか「残業代が出ない」とか、教員の労働環境の過酷さについてはいろいろ言われてるけどさ。俺は「リンサイ」こそ真っ先に取り上げるべき問題だと思ってる。

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―― リンサイ?

 臨時採用の教員(※)のこと。教員採用試験に落ちた人でも教育委員会から「1年契約で働きませんか」と連絡が来て、教員になる場合があってね。「担任するクラスがあって、部活に関わってて、授業もやってるけど、実は臨時採用」ということもあるし、何年間も同じ学校で働いてることもある。

※臨時採用の教員:自治体のWebサイト上では「臨時的“任用”教職員」などと表記されている。だが、「臨時“採用”」という言い方も一般的に用いられているもよう。

 契約期間は3月30日までで、書面上は「365日のうち、3月31日の1日間だけ無職」ということになってる。1年未満で契約が切れてしまうものだから給料があんまり上がらない。一応、退職金が毎年出るんだけど、リンサイ2年目の人に聞いたら、確か十数万円だったかな。そんなに大きな額じゃないから、給料が上がった方が得だと思う。

 必ずしも「採用試験が通過できなかったから、教員の素質がない」というわけではなくて、良い授業をしたり、良いクラスを作ったりする人もいるよ。

―― 「教員として働く」という点では同じでも、採用試験を通過するかどうかで待遇に差が出るんだ。

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 リンサイとして働きながら教員採用試験を受け続ける人もいるんだけど、合格までに5年くらいかかるのは当たり前、3年ならそこそこ優秀という感じ。長い人だと10年ちかく頑張ってたりする。

―― 何でそんなに時間がかかるの? 教員採用試験って大学生で受かる人もいるんだよね。

 教員採用試験では教育基本法、学習指導要領の内容などが出題される筆記テストと、面接が課せられる。でも、教員って労働時間長いでしょ?

 平日は朝は早いし、家に帰れるのも22時とか。睡眠時間を考えると、自由時間は2時間くらいかな。その間にお風呂、ご飯も済まさないといけない。休日も部活で時間を取られる。試験対策したくても、勉強時間が作れないんだよ。

―― 「自己投資できるだけのゆとりがない」ってことか……。

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 一応、実務経験が何年かあると筆記テストが免除になるんだけど、面接も突破できるとは限らない。

 まず、筆記テストと似たような質問をされることがある。結局のところ、筆記テストが解けないと、それに答えられないわけ。

 あと、面接には高得点を取るためのノウハウがあるんだけど、知らないまま受けちゃう人が多い。「教員採用試験対策」みたいな講座が民間、たまに大学でも行われてるんだけどね。

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