インタビュー

校内暴力があっても労災が使えない“学校の事なかれ主義” 現役教師が語る「ブラック職場としての学校」(2/3 ページ)

生徒にケガをさせられても、校長のポケットマネーで“何も無かったことに”。

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生徒にケガをさせられても警察は呼ばない、労災も使わない

―― 「学校は外部機関を入れたがらない」という話はよく聞くけど、どうしてだと思う?

 原因は“教員のプライドの高さ”じゃないかな。昔の教員は、周りから「すごい」「立派だね」っておだてられながら育って、大きな挫折もなく大学行って……という人が多かったらしい。「自分は何でもできる」という全能感から、外部には頼らない風習が生まれたのではないか、と俺は思ってる。

 校内暴力があっても「教育の世界に警察はなじまない」「心を育むのが教員の仕事。警察に任せて行動が変わっても、"本当の意味”で心が変わったとはいえない」とか、ワケが分からない理論を振りかざしてね。

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 県内屈指の荒れた学校にいた頃の話なんだけど、俺、生徒にケガさせられたことがあるんだ。

―― 本当にあるんだ、そういうの。

 「もう警察呼びましょう」って頼んだけどダメだった。治療費も校長のポケットマネーだったよ。労災を使ってないから、記録上は一切トラブルがなかったことになってる(苦笑)。

 不登校の場合でも、まずは学校内で解決しようとしたりしてね。「週に1回会議を4時間やって、終わった頃には深夜12時」みたいなことがよくあった。

―― 効果あるの?

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 なかったよ、ムダな会議だったよ。でも、教員の世界には「生徒のためを思って、こんなに時間を割いている自分は、なんて素晴らしいんだろう」みたいな感覚を持ってる人たちがいるから。

 それで自分たちでいろいろ試しているうちに1年、2年とたって、お手上げ状態になったところで、外部の専門家(カウンセラーなど)に助けを求めて、でも、その頃にはもう専門家でも手に負えない状況で……なんて顛末になったりしてさ。「本当に生徒のためを思っているなら、早めに専門家につないだ方が良いんじゃないの」と思う。

 近年の働き方改革の影響もあると思うんだけど、こういう傾向はようやく改善されてきたところ。ここ数年、教育委員会も「積極的に外部の力を借りましょう」って言うようになったよ。

(続く)

※本企画は、1人の現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境は自治体、学校などによって異なる可能性があります。

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