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校内暴力があっても労災が使えない“学校の事なかれ主義” 現役教師が語る「ブラック職場としての学校」(1/3 ページ)

生徒にケガをさせられても、校長のポケットマネーで“何も無かったことに”。

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 子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員であるAさん(仮名)に「1人の一般教員として感じている“学校の労働環境の問題点”」を語ってもらう連載企画となります。

一般教員が考える“学校が事なかれ主義に陥る原因”



―― もしもモンスターペアレント対策に失敗するとどうなるの?

 教育委員会あたりに苦情がいく。生徒への暴力、わいせつ行為などは別にして、俺みたいな一般の教員が、教育委員会に呼び出されることはほとんどないんだけどね。実は“直接的に影響”があるわけじゃないんだよ。

 怒られるのは管理職で、そこから「『教育委員会が謝りに行け』って言ってるぞ」みたいなことになるんだよ。理不尽な苦情だったら突っぱねてもいいと思うんだけど、管理職も面倒なことは嫌いだから、謝って済むなら謝っちゃう。信念をもって下を守ってくれる人は、非常に少ない。

―― そこを頑張ってくれる上司だと頼もしいんだろうけど。

 管理職も、自分の行き先を考えないといけないからね。教育委員会に人事権を握られているから、関係を良好にしておかないと荒れている学校に行かされるかもしれないし。だから、事なかれ主義の人が多いよ。

 そもそも管理職には期間的な制約があって、「ここで育った生徒が未来を作るんだ」「この学校を改革しよう」みたいな熱意を持って働くメリットがあまりないと思うんだよ。

―― どういうこと?

 まず言えるのは「管理職は同じ学校にいられる期間が短い」ということ。自治体にもよるんだけど、俺のところだと数年で別の学校に異動になる。もしも全国一の学校が作れても、すぐに別の学校に行かされちゃう。それじゃあ、張り合いがないでしょ。

 それに、管理職の教員って年齢的に“上がり”が見えてるんだよ。「学校が荒れに荒れてどうしようもなくなった」というのはバッドエンドだけど、そしたら仕事を辞めちゃえばいい。50代なら同額以上の退職金がもらえる。だったら、この学校を良くしようと頑張らなくてもいいじゃない。

 校長までいけば「退職後に大学教員、天下って『なんたら協会会長』あたりの再就職先を得て、お金ガッポリ」ってルートもある。個人的な利益を考えたら、残りの在職期間はチャレンジするより、無難にやり過ごした方が得じゃない?

―― あまり考えたくない話だけどねえ……。

 でも、管理職の教員だって、俺らと同じ人間なんだよ?

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