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【直伝】流し撮りの成功率を上げる方法(2)「一脚を効果的に使う」レースフォトグラファー奥川浩彦の「サーキットへ行こう」(7)(2/4 ページ)

後編は「一脚のメリットと撮り方のコツ」を具体的に説明します。

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一脚のメリット、デメリット

 サーキット撮影で一脚を使うメリットは「ブレの軽減」と「体力温存」です。三脚ほど安定はしませんが、1本の棒でレンズを支えるだけでもブレは大幅に減ります。大砲レンズはそれなりに重いので、手持ちではフレーミングも安定しませんが、一脚がレンズを支えてくれれば、フレーミングの微調整も容易になります。

 10分~20分と撮影を続ける場合、手持ちでずっとカメラとレンズを持っていると疲れて手がプルプル震えてきます。マシンが来るたびにカメラとレンズを持ち上げるのも体力がいります。一脚を使えば、カメラが倒れないように手を添えていればいいだけなので、疲労は大きく軽減できます。

 体力の消耗を抑えることは、前回紹介したテクニックの「集中する」ことにつながり、結果として流し撮りの成功率を上げることになります。

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(参考)鈴鹿サーキットの「激感エリア」(画像:鈴鹿サーキットのWebサイト)

 一方のデメリットは、手持ち撮影と比べると動きが制限され、自由に振れないことです。

 例えば鈴鹿サーキットの2コーナーイン側の「激感エリア」で脚立に立って手持ちで撮影すれば、1コーナーから進入してくるマシンを、ブレーキング、2コーナーのクリッピング、S字への加速と、左から右へ180度くらいレンズを振って撮ることが可能です。しかし一脚を使うとこのように大きく振ることは容易でなくなります。

 通常の流し撮りでも手持ちと一脚は驚くほどカメラの振り方が違います。ずっと手持ちで流し撮りをしてきた人が一脚を使うと「うまく振れない。一脚……邪魔」と感じてしまうようです

一脚の使い方

 筆者自身、以前は流し撮りでは手持ちで、マシンを正面から撮るときは一脚を使っていました。しかし最近は望遠レンズだけでなく、24-105mmの標準ズームでも一脚を使用して撮るようになりました。一脚を使った撮影方法をシーンごとに説明しましょう。

 一脚を使用した撮影で比較的容易なのは「正面の撮影」です。真っすぐ向かってくるマシンやコーナーのクリッピングポイントを正面から高速シャッター(1/500秒~)で撮る場合は特に難しく感じることはないと思います。実際のサーキットでマシンがレンズの光軸に向かって近づいてくることはなく、マシンの動きに合わせて微調整は必要ですが、初心者でも比較的撮影しやすいです。

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鈴鹿サーキットの逆バンク

富士スピードウェイのGRスープラ(旧:レクサス)コーナー

 続いてコーナーから立ち上がるマシンを少しシャッター速度を落として撮るというシーンでは、わずかに難易度が上がります。車速にもよりますが、シャッター速度1/320秒くらいからホイールが回転し、タイヤウォールの文字が流れます。シャッター速度を1/160秒くらいに下げると路面や背景も流れるようになります。

 レンズを大きく振る必要はないので、レンズの先をマシンに合わせてスッと動かせば撮ることができます。まだ流し撮りといえるほどではありませんが、高速シャッターによる正面の写真とは少し印象の違う絵になります。少し慣れれば、ここまでならば一脚の扱いに苦労することはありません。


シャッター速度1/320秒にするとタイヤウォールの文字が流れる

シャッター速度1/160秒にすると手前のグラベルや背景が流れる

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