受刑者の減少で製品が作れない? 新宿矯正展に展示された貼り紙が「よく考えたらポジティブな理由」だと話題に
開催は8月6日16時まで。
受刑者が作った作業製品を展示即売するイベント「新宿矯正展」にて展示されていた貼り紙が、「よく考えたらポジティブな理由で笑う」とSNSで話題を呼んでいます。受刑者不足で製品が作れなくなってきたというもの。
8月6日まで新宿駅西口広場イベントコーナーで開催中の「新宿矯正展」では、木工製品や皮革製品、食品、洗剤など受刑者が作った幅広い作業製品を販売しています。そんななか、SNSで注目を集めたのが金属製品コーナーにあった「緊急告知」「最期の仕入か!?」と題された貼り紙。
緊急告知
最期の仕入か!?
7/31現在,受刑者数が減少しており,
地方刑務所が閉鎖になりだしています。
又,採算等が取れない理由から金属製品の
撤退が相次ぎ,府中刑ですら,
再入荷の目途がたっておりません。
安くて,頑丈なだけに残念ですm(__)m
今のうちに製品購入をオススメします。
つまり、受刑者の数が減っていることが理由で金属製品の作業を扱う刑務所が減っている――というお知らせなのですが、SNSでは「よく考えたらポジティブな理由で笑う」「凄く良いことじゃないかw」と話題に。ねとらぼ編集部では刑務所の実情を聞くため、府中刑務所へ取材を申し入れました。
府中刑務所が語る
――SNSを中心に新宿矯正展の貼り紙が話題になっています。
府中刑務所:話題になっている旨、確認いたしました。あの貼り紙は府中刑務所で制作したもので間違いありません。
――受刑者が減少しているという表現がありました。もう少し詳しく実情を教えてください。
府中刑務所:全国の刑務所の収容者数の推移をみてみると、ここ10年減少傾向にあるのは事実です。かつては居室あたりの定員数を上回る受刑者を収容せざるを得ない「過剰収容」状態になっていたこともありましたが、そのころとはずいぶん変わりました。現在は定員収容率100%を切ったり、空き部屋が多かったりという刑務所も存在しています。
――受刑者数が減少している背景にはどんなことが考えられますか。
府中刑務所:もちろん全国的な人口の減少という原因も考えられますが、まず基本的に刑務所へ来る人たちは刑を執行する人たちです。刑務所へ来る前には拘置所という場所で過ごしますが、この拘置所の収容人員も年々減少しているので、必然的に刑務所へ入所する人の数が減少していると考えられます。
――最近閉鎖(廃庁)になった刑務所もあるとのことですが、そこにいた人たちはどうなるのでしょうか。
府中刑務所:佐世保刑務所が2019年3月に、奈良少年刑務所が2017年3月に閉鎖(廃庁)になりました。廃庁が決まった時点で新規受け入れを停止するなどの措置をとることになっており、廃庁が決まった刑務所に収容されていた受刑者は他施設に分散する形で移送されています。
――受刑者が減少することにより「この作業をやめよう」というのは、誰がどうやって決めているのでしょうか。
府中刑務所:各刑務所が実情に応じて判断しています。ですので、貼り紙にある金属製品以外の分野についても、刑務所によっては作業を廃止にしている場合があります。
新宿矯正展は8月6日16時まで開催されています。気になる方は早めに訪問するのがよさそうです。
新宿矯正展の人気商品(編集部撮影)
(Kikka)
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