インタビュー

新人教員のころ、理不尽な初任者指導に「いじめかと思った」 現役中学教員に聞く「ブラック職場としての学校」(1/3 ページ)

何も教えてもらえないなか、OJTという名目で教育現場へ。

advertisement

 子どもの成長を支える場でありながら、ブラック労働環境が問題視されている学校現場。ニュースなどでも盛んに取り上げられているテーマではありますが、実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

 本記事は、公立校の中学教員であるAさん(仮名)に「1人の一般教員として感じている“学校の労働環境の問題点”」を語ってもらう連載企画となります。

理不尽な初任者指導に「職場いじめかと思った」

―― 新人教育はどの職場でも行われるもの。“職員室1年目”はどうやって仕事を覚えていくの?

advertisement

 「OJTで仕事をしながら教える」ということになっていて、初任者でもドンドン仕事させて、年度が切り替わった4月1日から「今日からお前も教員だ!」みたいな感じで、1週間後にはもう担任を持たされていたりする。

 でも、ちゃんと教えてもらえるとは限らない。

 例えば、初任者の場合、ベテランの先生が指導してくれることになってるんだけど、そういう人は1人で何校も見てるから、自分のところに来てくれるの週に1~2回だけ。しかも、教科については聞けないのが普通。初任者指導の先生は自分と同じ教科ではないことのほうが多いから。

―― じゃあ、授業のことは誰に相談するの?

 同じ学校で働いてる教員。だけど、同じ教科の先生は何人もいるわけじゃないし、新人、ベテランがバランス良く配置されているとも限らない。「国語教員が2人だけで、1人は教員1年目、もう1人は教員2年目」みたいなこともある。

advertisement

―― ほぼ新人が、新人教育してるようなものじゃない

 その他のアレコレに関しても、初任者をフォローするのは基本的に現場の教員。でも、ボランティアのようなものだから、丁寧だったり、聞かないと教えてくれなかったり、機嫌が悪いとダメだったり……。対応の仕方は人それぞれだね。

―― 「新人教育がないわけではないけど、仕組みが整っていないから行き届かない場合もある」といった感じなのかな

 中には、全く教えてくれない人もいる。俺のときがそうだった。

 1年目のとき「情報教育担当」を任されて、失敗して怒られたなあ。

advertisement

―― 情報で教育だから……視聴覚室、パソコン室などの管理をする担当?

 と思うでしょ? ある日、全校集会に行ったら「おい、マイクがないぞ」「情報教育担当、誰だ!」と騒ぎになってて。「あ、それって俺の仕事なんだ」と初めて知った。というか、マイクがしまってある場所も分からない。

―― 「情報教育」から「全校集会の準備」を連想するのは、厳しいなあ……

 でも、周りは「知っててて当然だろ!」「何でこんなこともできないの?」と本気で言ってくるから、いじめかと思ったよ。

―― そんな状況で、どうやって仕事覚えるの?

advertisement

 教えてもらえないから、ミスしながら1つ1つ覚えていくしかない。でも、新しいことが起こるたびにミスするから「こいつ使えねえな」みたいな雰囲気になる。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの行動”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」【大谷翔平激動の2024年 「家族愛」にも集まった注目】
  2. 「理解できない」 大谷翔平と真美子さんの“スキンシップ”に海外驚き 「文化は100%違う」「伝説だわ」【大谷翔平激動の2024年 現地では「プレー以外のふるまい」も話題に】
  3. 友達が描いた“すっぴんで麺啜ってる私の油絵"が1000万表示 普段とのギャップに「全力の悪意と全力の愛情を感じる」
  4. 毛糸6色を使って、編んでいくと…… 初心者でも超簡単にできる“おしゃれアイテム”が「とっても可愛い」「どっぷりハマってしまいました」
  5. 60代女性「15年通った美容師に文句を言われ……」 悩める依頼者をプロが大変身させた結末に驚きと称賛「めっちゃ若返って見える!」
  6. 真っ黒な“極太毛糸”をダイナミックに編み続けたら…… 予想外の完成品に驚きの声【スコットランド】
  7. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  8. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  9. 皇后さま、「菊のティアラ」に注目集まる 天皇陛下のネクタイと合わせたコーデも……【宮内庁インスタ振り返り】
  10. 71歳母「若いころは沢山の男性の誘いを断った」 信じられない娘だったけど…… 当時の姿に仰天「マジで美しい」【フィリピン】