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子ども視点の「虐待体験VR動画」はどのように生まれたか プロジェクト代表者に思いを聞く

多くの反響があった動画の舞台裏とは。

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 子どもの目線で虐待をVR体験する動画のパイロット版が9月に公開され、話題になりました(関連記事)。動画再生は9万回を越え、多数の人から反響が寄せられています。動画を制作したWESTE & Co.(ウェスト アンド カンパニー)の代表、西江祐哉さんにお話を聞きました。

注目を集める虐待体験VR

VRを活用し「世の中の負を引き上げる」

WESTE & Co.は映像やVRなどデジタルコンテンツを作る会社

 映像(VR向けも含む)の企画・制作、デジタルコンテンツの企画・開発などを行うWESTE & Co.を2019年1月に立ち上げた西江さん。「世の中の負を引き上げる」――いじめや虐待など、マイナスの状態にある人を、フラットな状態に引き上げるための活動をしたいという想いもあったといいます。これまでに培った映像制作のための技術やノウハウ、人材を生かして、児童虐待撲滅のためのプロジェクトをスタートしました。

貧困や格差など、さまざまな社会問題に関心があるといいます

 西江さんは、虐待事件に対する世間の意識を向上させるには疑似体験が効果的ではないかと考え、子ども視点のVRを作ることに。2018年に横浜市で起きた幼児虐待事件の詳細を独自に調べ、それをもとに動画のストーリーを構成しました。VR体験動画を、「周囲への意識付けによって生まれる『虐待への気づき』と、実際の虐待を見た際に声をかけたり、通報したりする『勇気』が得られるコンテンツにしたい」と西江さんは話します。

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最新の映像技術を、虐待防止への意識向上につなげたい

あの「トラウマ級」の動画はどうやって生まれたのか

 実際に動画のパイロット版を見ると、母親役や父親役の表情やセリフに圧倒されます。また、父親のいら立ちに追い詰められた母親が徐々に暴力的になり、最後には積極的に虐待するようになったり、虐待者が気まぐれに優しい声をかけたり、微笑みかけたりするなどディテールの細かさも感じられました。

ピリピリと緊張感が高まっていきます

 演じているのは劇団などに所属しているプロの俳優さん。「パワーポイントで作った絵コンテを演者さんに一度だけ読み込んでもらい、あとは自由に演技をしてもらいました」(西江さん)。細かく演技をつけず、俳優さんの特徴や技量を信頼したことで、動画の「リアルな恐怖感」が生まれたそうです。

フレンドリーに話しかけてきたと思ったら……

反響とプロジェクトの今後

 虐待の様子を迫力満点に再現した動画にはたくさんの反響がありました。「VRの普及率は全体の3%と言われているので、本コンテンツをVRとして視聴した人は多くないことが予想されます」と西江さんは語っていますが、YouTubeには多くのコメントが書きこまれ、虐待防止に取り組んでいる人から「本当にうれしかった」というメールが送られてきたそうです。

 「本プロジェクトにあたっては、とても注意深く進める必要があると感じています」と西江さん。今後は賛否あった意見を取り入れつつ改良を加えていきたいと語っていました。さまざまな角度からの声を生かしながら、虐待防止につながる、さらに意義のあるコンテンツへの成長が期待されます。

パイロット版児童虐待体験VR

(谷町邦子 FacebookTwitter

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