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日本海軍軍艦「鳥海」発見 沈没からちょうど75年、高雄型オリジナルの姿に迫る【画像37枚】(1/2 ページ)

最後まで生まれたままの姿で戦った稀有な軍艦。

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 故ポール・アレン氏が設立した沈船捜索チーム(関連記事)が、沈んでいる日本海軍軍艦「鳥海」の姿を日本時間の10月26日、米国時間の10月25日に公開しました。


1938年に有明沖で摩耶から撮影した射撃演習中の鳥海(画像:NHHC

 この米国時間の日付は、鳥海が沈没してからちょうど75年後に当たります。沈船捜索チームは鳥海を2019年5月5日に発見し、5月30日に今回公開した映像を撮影したと述べています。捜索海域の詳細は明らかにしていませんが、深さ5173メートルの海底に船体を発見しています。周囲には300メートル離れて船首部分、左舷前方に艦載機射出用のカタパルトもありました。


ソナーで捉えた海底5143メートルに横たわる鳥海。周辺にはカタパルトと船首部分が分かれて沈んでいた

最後まで生まれたままの姿で戦った稀有な日本軍艦

 重巡洋艦「鳥海」は、高雄型3番艦として1932年に就役します。他の高雄型と同様に大きな艦橋構造物(そのうち下4層分の後部は煙突の排気路が占めている)が特徴でした。これは、大掛かりになっていた射撃管制装置や魚雷発射指揮装置などをできるだけ高い場所に設置したかったことや、艦隊旗艦として艦隊司令部幕僚用の設備を設けた結果と言われています。

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鳥海の巨大な艦橋構造物がよく把握できる写真(画像:NHHC

 昭和の初期までに完成した日本海軍の所属艦艇は、その多くが近代化改装を実施しており、その姿を新造時から大きく変えています。しかしこの鳥海と、同じ高雄型の4番艦「摩耶」(関連記事)は、その機会を得ることなく、新造時の姿と能力のままで、太平洋戦争に突入します。

 摩耶は1943年に損害修理の機会に主砲を1基取り外して12.7センチ連装高角砲2基を増設し、加えて新造時の12.7センチ単装高角砲を連装高角砲に変更しますが、鳥海は太平洋戦争中もそのままの姿で戦い続けました。

 鳥海は太平洋戦争において、東南アジア攻略作戦、ベンガル湾通商破壊作戦、ミッドウェー海戦、第一次ソロモン海戦、第三次ソロモン海戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦などに参戦します。特に第一次ソロモン海戦では、第八艦隊旗艦として重巡「青葉」「衣笠」「古鷹」「加古」、軽巡「天竜」「夕張」、駆逐艦「夕凪」を率いてガダルカナル島沖合に突撃し、味方の損害なしに米豪海軍の重巡4隻を撃沈する一方的な勝利を収めます。

 最後の戦いとなったレイテ沖海戦では、1944年10月25日早朝に偶然遭遇した米海軍の護衛空母を基幹とした機動部隊との間に起きたサマール沖海戦で、敵艦上機の攻撃を受けて沈没します。鳥海の生存者は駆逐艦「藤波」に救助されます(鳥海は藤波の雷撃で自沈処分)が、その藤波もその後消息を絶ちます。米軍の記録や付近にいた日本軍の目撃証言から、藤波は10月27日に米軍機の攻撃を受けて沈没した可能性が高いとされています。藤波の乗組員、そして藤波に救助された鳥海乗組員とも生存者はいません。そのため、鳥海の沈没における詳細は今も分かっていません。


艦橋頂部にある主砲射撃指揮所

1番主砲塔の様子
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