インタビュー

『大辞林』編集長に取材するから“辞書ガチ勢”集まれ~! → ガチ過ぎて、質問の意味が分からなかった話(2/3 ページ)

「松村明」が立項されないのはなぜか……って、普通の人には気になる理由が分からないのでは?

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一見便利そうな「古語であることを示すマーク」を使わない理由

ながさわ:「古風な表現、廃れた意味であることを示すマークは使わないのか」という質問。『ウィズダム』(三省堂の英和、和英辞典シリーズ)には、「(古)」「(廃)」といったマークがありますね。国語辞書ではかつて『角川国語中辞典』も(古)マークを使っていました。

編集長:基本的に『大辞林』は古語に出典付き用例をつけているので、それで表示になるだろうという考え方ですね。そもそも、どこまでが古語なのかというハッキリしない問題があるんです。言葉は連綿とつながっていて、古語、現代語ははっきり線引きできるわけではありません。今も使われている可能性がある。

 また、『大辞林』は現代語彙から順に並べていく方針なので、古くから使われていて意味の変遷がある場合は、基本的に後ろにあるのが古い語義。

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 『ウィズダム』は基本的に頻度順なので、古い意味でも盛んに使われていて前に来てしまうケースがあるのでしょう。だから、古語かどうかを記号で示す必要がある、と。学習用辞書で紙面が限られていて、出典付き用例が入れられないというのもあるかもしれない。

ながさわ:ここに関しては『ウィズダム』が学習用ということで、「断言してしまった方が分かりやすいだろう」と割り切ってるのかもしれませんね。

 ちなみに、『大辞林』の記載順の場合、現代語に新しい意味が生まれた場合はどうなりますか? 例えば、「大丈夫」だと、遠回しに断る「大丈夫です」が先頭に来ることになりそうですが。

編集長:その場合は「現代語義を意識したうえでの、ある種の頻度順」。出てきたばかりの言葉の新参者には遠慮してもらって、ちょっと後ろ。でも、おじいさんおばあさんよりは前に入ってもらう、という感じです。

辞書にも「序文」「あとがき」がある

――― そういえば、『大辞林』の序文に関する質問もありましたね。「『“これからの大型国語辞典の在り方”と向き合うことになった』という旨があるが、その結果、何をしたのか」という

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編集長:これについてはあとがきに詳しく書いてあります。序文はそんなに長くできなかったものですから、あとがきを使ってコール・アンド・レスポンス。

小説を読むときのように、巻頭から順にめくっていくと出てくる序文。調べ物をするだけだと気付かなそう
巻末に掲載されているあとがき。ざっくり言うと、序文では「現代における辞書の役割」などについてやや抽象的に記載。あとがきでは「具体的にはどう作ったのか」などが書かれています

――― 今更なんですが、「辞書に序文、あとがきがある」って教わった記憶がないような……?

ながさわ:でも、あるんです。辞書好きにとっては、ここも見どころ。

編集長:大半の人は知りません。ながさわさんみたいに知っている人のほうが珍しい(笑)。

(了)

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