【数学のアレ、何に役立つ?】三角形の合同条件、「同じ形の三角形を見つけて、テストで5点くらいもらう」以外の使い方(2/2 ページ)
「二組の辺の長さとその間の角が……」って覚えてます?
鉄骨は、基本的には伸び縮みしません(実際にはしますが、材料力学などの複雑な議論がしたいわけではないのでここでは無視します)。つまり、鉄骨で作った三角形は、三辺の長さが決まります。そして三角形は、三辺の長さが決まると、変形できなくなります。
従って、鉄骨で作った三角形は変形しません。それで建物を支えれば、崩れにくくなるのです。こんなところに、三角形の合同条件は利用されているんですね。
二組の辺の長さとその間の角が等しい
次は「二組の辺の長さとその間の角が等しい」ですね。どんな応用が考えられるでしょうか?
三辺のときと同様に、これもまた「二本の辺とその間の角が決まると、三角形の形まで決まる(つまり、変形できない)」と考えましょう。
これを利用しているのは、三脚や傘です。傘には六本とか八本の骨があります。骨は全て長さが決まっていますね? そして傘を開いたとき、隣同士の骨は、その間の角度が決まっています。骨の根元が固定されているためです。
二本の辺とその間の角が決まっているので、三角形の形が決まります。そのため、傘は毎回同じ大きさに開き、ピンと膜が張るのです。
一組の辺とその両端の角
最後は「一組の辺とその両端の角」ですね。これはこんな場面に使えます。
例えばここに一本の木が立っていて、あなたはこの木の高さを知りたいとします。木は高く、上まで巻尺を伸ばすわけにはいかなさそうです。どうしたらよいでしょう?
こんなときは、まず木とあなたの距離を測りましょう。そして、木のてっぺんを見上げたときの目線の角度も測ります。さらに、木は地面に垂直に生えていると考えられるので、このような図が描けるはずです。
さて、この三角形の部分を抜き出してみましょう。自分、木の根元、木のてっぺんを頂点とする直角三角形ができますね。
あなたはこの三角形について一辺の長さ(自分と木の距離)、その両端の角度(木を見上げる目線の角度、木と地面の角度/垂直)を知っています。
つまり、あなたはこれと全く同じ形の三角形を(地面などに)描くことができます。そうすれば、地面に描かれた三角形の一辺を測ることで、登らずに木の高さを知ることができるのです!
……もちろん、実際には木と同じ大きさの三角形を描くのは大変です。しかし数学には、その大変さを解消してくれる道具があります。説明は省きますが、「相似」とか「三角関数」とかがそれです。
ここでは木を使って説明しましたが、この方法はビルとか山とかにも使えます。それどころか、なんと星までの距離を測るのにも使われています。
三角形の合同条件はこんな風にちょっと見方を変えてあげると、いろいろと応用が効きます。テストで同じ形の三角形を選んでいるだけだとピンとこないかもしれませんが、実は意外とデキるやつなのです。
関連記事
大人の皆さん、「平均」の意味ちゃんと分かってますか? 大学生の4人に1人が間違えた“小6レベルの算数問題”
「計算できるけど、よく分かってない人」が意外に多いかも。「人類は恐竜と同時代に生きていた?」の正答率は40% 簡単そうなのに全問正解できない「国際調査に使われた“科学クイズ”」
「地球の中心部は高温?」「「電子は原子より大きい?」など全11問。2001年時点の平均正答率は54%。ネットで有名な「宇宙ヤバイコピペ」は、だいたい科学的に正しくてヤバイ
コピペ作者の博学さもヤバイ。ゼロ単位・2年留年から始まる大学数学 元・京大生への取材から生まれた“数学科あるある”コメディー漫画「数字であそぼ。」作者インタビュー
メインキャラ、だいたい留年してません?おまわりさん、そのパンツ一丁の人は「僕達の大学の先生です」 元・京大生への取材から生まれた漫画「数字であそぼ。」作者インタビュー
濃いキャラばかりなのに、リアルと評判のコメディー作品。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.