たった140円のきっぷで1000キロ以上も乗れる!? 鉄オタだけが知る年に1度だけ実現する「幻の最長ルート」とは(1/2 ページ)
JR線の一部エリアでは、ルールに従えばどんなに遠回りをしても最安の運賃で乗車できるという特例があります。最長のルートは1000キロを超え、実行できる日は年に1度だけ。
年に1度、年末年始にだけ実現する「たった140円のきっぷで、1000キロ以上も電車に乗り続けられる」という、鉄オタだけが知る「幻の日本最長ルート」をご存知ですか?
通常ならどんなに急いでも1日では乗り切れない距離ですが、12月31日の大晦日から、翌1月1日の元旦にかけて実施される「終夜運転」がすべての鍵を握ります。鉄オタだけが知る幻のルートをご紹介していきます。
そういうカラクリか! なぜ140円だけで1000キロ以上も移動できるのか
JR線の「大都市近郊区間」と呼ばれる一部の区間では、ルール通りに乗車すればどんなに遠回りをしても、運賃が最も安くなる経路で計算されるという特例が存在します。
例えば、東京駅から秋葉原駅まで乗車する場合、山手線の電車に乗車して神田を経由する最短経路で乗車する場合(2.0キロ)でも、反対方向の山手線の電車に乗車して品川、渋谷、新宿、池袋、上野を経由する遠回りの経路で乗車する場合(32.5キロ)でも、運賃は同じ140円(きっぷの場合)となります。
本来、きっぷは実際に乗車する経路で購入するのが原則です。しかし、東京や大阪など路線が複雑な地域では、近距離でも移動ルートを何通りも考えられる場合が多く、実際の経路を特定するには全ての列車内できっぷをチェックしたり、全ての乗り換え駅で改札を通らせる必要があります。
これでは、鉄道会社としても利用者としても煩雑になってしまうので、「大都市近郊区間」という特別なエリアを設定し、「このエリア内ではどの経路を通ってもOK、運賃は一番安い経路で計算します」という特例が作られました。このような「大都市近郊区間」は東京近郊のほか、大阪近郊、福岡近郊、新潟近郊、仙台近郊で設定されています。
この特例を活用した「大回り乗車」は、一番安いきっぷでどれだけ遠回りして移動できるかといった遊びとして「乗り鉄」の間で生まれたものとされています。この大回り乗車を実行するには、必ず守らなければならないルールがいくつかあります。
1.大都市近郊区間のエリア外に出てはいけない
先述の通り、出発駅と到着駅の両方が大都市近郊区間のエリア内である必要があります。また、大都市近郊区間を外れて乗車した場合も、特例は適用されません。
2.同じ駅を2度通ってはいけない
大回り乗車では同じ駅を2度通ってはいけません。来たところをそのまま戻ったり、同じ区間を何回も往復したりといったことは認められず、一筆書きのルートでなければなりません。
3.途中下車はダメ
大回り乗車中は改札の外に出られません。出発駅と到着駅で運賃を計算するという特例なので当然ではありますが、途中の駅で改札を抜けた場合は途中下車とならず、それまでの運賃が必要になります。
4.有効期間は1日
通常の乗車券は、距離に応じて有効期限も長くなります。しかし、大都市近郊区間内のきっぷの有効期限は、原則として利用開始の当日のみ有効です。
このように、大回り乗車にはさまざまなルールがあります。もし守らなかった場合は不正乗車となったり、実際に乗車した経路での運賃が必要になったり、駅員さんにも迷惑を掛けることになるので注意が必要です。
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