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3月14日開業、高輪ゲートウェイ駅に初導入「QR改札」って何? 何がいいの?(1/2 ページ)

「QRなんて、交通系ICより遅いだろ、邪魔そう」「いや、Suicaにできない特別なきっぷをQR化するのでは」などの声。

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 JR山手線と京浜東北線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」(関連記事)の開業日が2020年3月14日に決定。併せて、高輪ゲートウェイ駅に導入予定の「構内サービスや設備」や「実証実験計画」も発表され、「映画みたいな世界はもうすぐそこ」「壮大な社会実験の場にしているぞ」などと期待が集まっています。

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高輪ゲートウェイ駅ホーム

「QRコード改札」が登場 これは何? どんなメリットがある?

 鉄道利用者として特に気になるのが「QRコードに対応した新型自動改札機」かもしれません。

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導入予定の新型自動改札機(イメージ図)。手前がQR読み取り部で、ICカードタッチ部は少し奥に移り、やや斜め向きになるようだ。これならば車いす利用者や腕時計型利用者にも使いやすくなりそう。券投入で故障が発生しやすいきっぷ/IC兼用の従来型に対して、運用コストの低減などにもつながりそうだ

 既にSuicaなどの交通系ICカード型がガッツリ普及した鉄道の改札機に加え、「ナントカPay」のようにQRコードを読み取らせる仕組みも備えた新型自動改札機も設置し、「どう使えるか/使われるか」の実証実験を行う計画です。

 QRコード読み取り型の改札は北九州モノレールや沖縄都市モノレールなどで小規模に運用されていますが、JRではこれが初導入。旅客機の搭乗券(のバーコード)を搭乗口でピッと読み込ませる手順をイメージすると分かりやすいかもしれません。導入においてネットでは、「既に広く普及し、性能も高い交通系ICがあるのに、読み取りに時間がかかるQRコードを使うのでは遅そう、詰まりそう、むしろ退化だ」「タッチ部分が大きく変わるので間違えそう、混乱しそう」といった疑問の声が多いようです。

 しかしその一方で、「Suicaにできない特別なきっぷをQR化するのでは」「自動改札機のコストダウンにはなりそう」など、海外渡航客に向けた対応策強化とともに、紙のきっぷを置き換えるための実験でもありそうだといった意見も上がっています。

「駅お世話ロボット」や、時短が望める「無人AI店舗」1号店を常設

 高輪ゲートウェイ駅では「ロボット」をこれまでより積極的に導入します。AI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用した案内ロボット、不審物などを自動検知する警備ロボット、利用者の移動支援を行う車いす型ロボットなど用途別にさまざまなロボットを登用する計画です。

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新駅に導入予定の各種ロボット。左から案内ロボット・広告(表示)ロボット、移動支援ロボット(WHILLの自動運転車いす)
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新駅に導入予定の各種ロボット。左から自律移動式の警備ロボット、自律運転清掃ロボット

 改札内売店には無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」ができます。JR東が2017年に大宮駅で、2018年には赤羽駅で実証実験を行ったあの無人決済店舗の第1号店を、高輪ゲートウェイ駅へ「常設」する計画です。

 JR東日本管内でも既にセルフレジ形式での無人店舗はありますが、既存店は商品のバーコードをスキャンし、Suicaのタッチで決済する購入までの一連の流れを、客が店員の代わりにレジを操作をするセルフレジ型でした。

 対してTOUCH TO GOはAI画像認識技術によって、客が手にした商品を自動的に識別し、あとはピッと決済手続きをするだけで買い物完了となる仕組み。レジで「待つ/停止する」がないので「ウォークスルー型の新世代の買い物体験ができるようになる」などと開発会社は強みを謳います。店舗コストの削減だけでなく、時短効果で「客のメリット」につながるはず。利用者の多い駅改札内では特に効果が大きそうです。

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無人決済店舗「TOUCH TO GO」外観
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TOUCH TO GOは「客が買おうと手に取ったもの」を認識する画像認識AIなどの技術で無人決済を実現する


 2014年の新駅計画発表で盛り上がった「新駅名大喜利」(関連記事)に始まり、駅周辺施設の開発計画が明らかになり(関連記事)、2018年12月の衝撃的な駅名正式発表(関連記事)とともに、反対署名運動まで起こり(関連記事)、JR発足初の「山手線運休」(関連記事)などを経て、いよいよ開業する高輪ゲートウェイ駅。単なる新駅の開業にとどまらず、近未来の駅や交通の在り方を目指す実験の場としても大きな期待がかかります。

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