「孤独ってこういうことかな」 芳根京子、笑顔の裏に秘めた不安と苦しみ明かす 映画「記憶屋 あなたを忘れない」での葛藤(2/2 ページ)
「真希の愛のカタチは、かっこよくて、強いなと思いました」。
山田涼介に救われた一言
―― 山田さんとは初共演ですね。どんな印象をお持ちですか?
芳根 顔合わせの時に山田さんが先に到着されてて、私が後から向かったときに、廊下がすごくいい香りだったんです。分からないですけど、多分、山田さん(笑)。なので、いい香りのする方というイメージです(笑)。
――幼なじみの役を演じるにあたって意識したことはありましたか?
芳根 私は自分からあまりアプローチできないタイプなのですが、山田さんとお会いして2日目に「タメ口でいいよ」とおっしゃってくださったことがありました。私は「無理です」とお断りしたのですが、「その方が、遼ちゃんと真希としていい関係性になると思うから」とリードしてくださって。すごくホッとしたというか、あの一言で距離が縮まった気がして、とても感謝しています。
―― 大学生役というのも恐らく初ですよね。キャンパスライフへの憧れはありましたか?
芳根 確かに大学生役は初めてかも。キャンパスライフへの憧れは、めちゃくちゃあります(笑)! 衣装合わせで、「今どきの大学生って何を着ているんだ?」という話になったときに、分からなくてすごくショックでした。
私がいる環境って、同世代の友達とも少し違いましたし、大学にも行ったことがないので、憧れはありますが、私は私の人生を歩めているし、結局のところ、ないものねだりですよね。自分で選んだ人生なので、後悔はないです。
記憶屋はすごく“人間らしい”と思った
―― 遼一は、記憶屋によって恋人・澤田杏子の記憶から存在が消されてしまいます。芳根さんは、もし自分の大切な人が自分のことだけを忘れてしまったら、その記憶を思い出させるために奔走しますか? それとも相手の幸せを願って身を引きますか?
芳根 理想は、後者です。でも、現実にもし起こったら、そういう風にはまず考えられないだろうなと。やっぱり、すごく苦しくてつらいことなので「こうしたら思い出すかもしれない」ってきっといろいろな方法を試してしまうんじゃないかな……。
でも、どこかで踏ん切りをつけなければいけないタイミングが来たときは諦めるのかな……と思いますが、すごく時間がかかるでしょうね。
―― 記憶屋が“唯一”自分の意思で消してしまった記憶がありました。その行動が罪なのかどうなのかは観客の受け止め方次第ではあると思いますが、芳根さんはどう受け止めましたか?
芳根 絶対にやっちゃいけないこと……ってすごく思いますが、記憶屋は、“人の記憶を消す”能力を全部人のために使って、その分、自分で抱えているものもすごく多い。そんな中で、自分のために力を使ってしまったのは、すごく人間らしいな、と思います。
逆に私は、全部誰かのために力を使い続ける、というのは心配になりますね(笑)。それはすごくきれいなことだとは思いますが、自分のために力を使ったことを反省し、最後にある選択をした記憶屋は、人間らしくてかっこよくて、強い。もし、同じように思っていただける人がたくさんいたら、記憶屋も救われると思います。
―― 芳根さんは消してほしい記憶がありますか?
芳根 真希は記憶を消した方がいいときもある、遼ちゃんは消さないでいた方がいい、という考えですが、私はどちらの意見も共感できます。もちろん、消した方がいい記憶があるのも分かるし、それで救われている人がいることも分かる。けれど私は、その消したい記憶を消すのではなくて、いい記憶に塗り替えられたらいいなと思います。失敗したら、次同じ失敗をしないようにしようとか。
多分、派手にやらかしたことがないからこういうことが言えるのかもしれませんが、私は記憶を消すというのはあまり前向きでない、という考えです。私の覚えている全部が大事。過去があるから今があるし、今があるから未来があると思います。
もしかしたら3年後とかに、「この記憶本当に消してほしいです!」とか言っている可能性もあるかもしれないけど(笑)。今のところは、消したい記憶はないですね。
―― 逆に、消してほしくない記憶はありますか?
芳根 かねて「京子が出ている朝ドラが見たい」と言ってくれていた母方の祖母が2014年に亡くなったとき、葬儀の翌日にNHK連続テレビ小説「花子とアン」の宮本富士子役が決まったことは私の中で大きな出来事で、今でも覚えていますし、忘れてはいけないことだなと思います。
2015年に祖父が亡くなった時も、その3日前に急きょ北海道へお見舞いに行っていたんです。そのとき病室で横になる祖父が「お前はやるべきことがあるし、行くべき場所があるから、ちゃんと東京に戻って自分のやるべきことを全うしてこい」とエールを送ってくれました。いつも私は家族からのパワーをすごくもらっているんです。
今一緒に住んでいる父方の祖母も、「あなたが頑張っていることが私の生きがい。それがうれしい」と言ってくれていて、家族のために何かをやれている自分や、そのときに喜んでくれた家族の顔は、すごく励みになります。それがパワーの源だからこそ、忘れられないし、忘れてはいけないと思います。それがなくなったら、逆に何で頑張ればいいのか分からなくなってしまう。
忘れてはいけないと自分で言っているのは、自分のためでもあります。自分が何のためにここにいるかを失わないでいられるのは、家族のおかげなんです。
―― すてきな記憶ですね。最後に、これから映画を見る人へ向け、メッセージをお願いします。
芳根 ちょうど1年前が撮影だったので、やっと見てもらえると思うとうれしいです。私はとにかく真希を大切に、丁寧に演じさせていただきました。なので、真希の苦しみや強さを分かち合って、大切に思ってくれる人が1人でもいてくれたら、真希はすごく救われるなと思います。
2回目見たときには、また違う感覚で楽しめる作品だと思いますので、大きなスクリーンでたくさん見てもらいたいです。
プレゼントキャンペーン
ねとらぼエンタの公式Twitterをフォローし、プレゼント企画を告知するツイートをRTしてくださった方の中から抽選で1名に、芳根さんのサイン入りチェキが当たるプレゼントキャンペーンを実施中。
Twitterキャンペーン応募方法
(1)ねとらぼエンタ公式Twitterアカウント(@itm_nlabenta)をフォロー
(2)告知ツイートをRTで応募完了
注意事項
- 締切期限は1月24日正午
- 当選者には編集部よりDMにてご連絡いたします。DMが解放されていない場合には当選無効となりますのでご注意ください
- いただいた個人情報はプレゼントの発送のみに使用し、送付後は速やかに処分します
- ご応募完了時点で、アイティメディアのプライバシーポリシーへご同意いただいたものと致します。応募前に必ずご確認ください
「記憶屋 あなたを忘れない」
2020年1月17日(金)公開
ストーリー
大学生の遼一は年上の恋人・杏子にプロポーズするが、その翌日から彼女と連絡が取れなくなってしまう。数日後に再会した彼女は、遼一の記憶だけを失っていた。信じられない遼一は、人の記憶を消せるという都市伝説的な存在「記憶屋」のことを知り、大学の先輩で弁護士の高原に相談して杏子の記憶喪失の原因を探り始める。
幼なじみの真希や高原の助手・七海らと調査を進めるうちに、遼一は人々の中にある忘れたい記憶やその奥にある思いや愛に触れ、多くの人が記憶屋に人生を救われていることを知る。だとしたらなぜ、杏子の中から遼一の記憶だけが消えたのか。彼らがたどり着いたその先には、運命を大きく変える真実があった。
スタッフ/キャスト
監督:平川雄一朗
原作:織守きょうや『記憶屋』(角川ホラー文庫刊)
脚本:鹿目けい子/平川雄一朗
出演者:山田涼介/芳根京子/佐々木蔵之介/蓮佛美沙子/泉里香/田中泯/杉本哲太/佐々木すみ江/櫻井淳子/戸田菜穂/ブラザートム/須藤理彩/濱田龍臣/佐生雪/稲垣来泉ほか
音楽:高見優(高ははしごだか)
関連記事
芳根京子、映画「累-かさね-」の過酷な現場に「何度か潰れちゃいそうに」
のどがつぶれ、体にはいくつものあざができたと芳根さん。なぜ実写「賭ケグルイ」の浜辺美波はあんなにも滾るのか――本人に聞いた
浜辺さんに滾りまくりです。けしからん距離感! 土屋太鳳&芳根京子の“壁ドン”キスショットに「可愛すぎて心臓もたない」の声
尊い。「いつか窪田正孝を、松田翔太を超したい」 山本舞香インタビュー、映画「東京喰種」で感じた“悔しさ”とは
「初めて共演者に対して“悔しい”と思った」と話す山本さんに聞きました。表現することが生きることそのもの――のんに聞く「この世界の片隅に」から2年後の自分
のんさんインタビュー!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.