【ゲームの世界史】なぜ米国のゲーマーはRTA(リアルタイムアタック)で東日本大震災の支援活動ができたのか(3/3 ページ)
国内最大規模のRTAイベント「RTA in Japan」の主催者・もかさんに「海外におけるRTAの歴史」などを伺いました。
海外のRTAプレイヤーたちが行っていた、東日本大震災のチャリティーイベント
―― RTA関係のイベントは海外の方が活発。もかさんが日本で「RTA in Japan」を立ち上げる際、参考にしたイベントは?
やっぱりGDQですね。
英語が分かる人に手伝ってもらいながら「Speed Demos Archive」に動画を投稿したことがあって、そのときにメールを返してくれたのがMike Uyamaという方。実はこの人、GDQの発起人なんですよね。「こんなメールをする人が、あんなに大きなイベントをやっている。もしかしたら、自分にもできるんじゃないか」と思って。
―― もかさんにとって、GDQは背中を押してくれる存在だったんですね
「RTA in Japan」ではいろいろなタイトルでRTAを行っていて、競技性が高いガチなものから、「なぜRTAしたんだ」というバカっぽいものまで幅広くやっているのですが、それもGDQを踏襲した結果です。
あちらもプレイヤーがコスプレしたり、ぬいぐるみを抱えながら応援している人がいたりで、ワイワイ楽しんでいるのが印象的です。
―― eスポーツでは商業化の動きが進んでいる一方、GDQを含む海外のRTAイベントはよくチャリティーとして行われています。「RTA in Japan」は今後どうする予定ですか?
僕らもチャリティーの方向で考えています。
お金の話をすると、RTAを配信するTwitchのサブスクライブだけで会場費を払っていて、何とか赤字が出なくなったな、という段階。今後、さらに規模が拡大していくと、お金が余るようになるかもしれないんですが、そのときに「自分の懐に入れていいのか」というと……という問題ですよね。チャリティーに回して、プラマイゼロで運営していきたいと思っています。
それから、2011年に東日本大震災が起こったとき、GDQは日本を助けようとオンラインのチャリティーイベントをやってくれたんです。
※Japan Relief Done Quick:2011年4月7~10日にかけて開催。東日本大震災の被害者支援のために急いで行ったこともあり、配信動画の多くはアーカイブされなかったとのこと。集まった2万5800ドルの募金は国境なき医師団に寄付されたという
―― ゲーマーとして、自分たちにできることで被災者支援してくれていた、と
当時の日本ではできなかったことなんですよ。それを海外からやってしまうなんてスゴいなあ、と思ったんですよね。
次回:【RTAの歩き方】ゲームの国際戦で高校生が海を越え、時に人力でTASを超え
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