インタビュー

「出勤は朝5時半」「ベテランに口出しされないための“頑張ってますアピール”」 現役中学教員に聞く“仕事としての体育祭”(2/3 ページ)

「若手の先生に関しては周囲の目が厳しくて。特に行事に関しては」

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ほとんど休めず、屋外で動き続ける体育祭当日

―― 体育祭当日の動きはどんな感じ?

 体育祭が始まるのが8時半くらいかな。それまでにライン引きをする必要があって、担当者は6時ごろには出勤していた。あの作業、けっこう時間がかかるんだよね。メジャーを持つ人も必要で1人だとできないから、若手は半強制で手伝いに行かされていたね。

 競技が始まってからは、各教員が「招集」「スタート」などの係に分かれて、生徒ともに担当する。教員って1校あたり20人程度しかいないから、それぞれの係につく教員は2人とか。少人数で回しているので、トイレ休憩くらいしか取れない。最近は5月でもけっこう暑いし、ずっと屋外にいるのは負担感あるよね。

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―― 休憩時間を作るのは難しいの?

 別の人が代わりにやってくれるなら休めるかもしれないけど、それぞれの係で準備を重ねてきているから。

 例えば、今の中学校って、徒競走にビデオ判定が導入されてたりするんだよね。「勝敗に関して保護者からクレームを受けないように」ということなんだろう。でも、そういうことに関して教員は素人だから、「休みたいから代わって」と言われてもやり方が分からない。

 「ちょっと道具持ってきて」くらいなら他の先生に頼めるかもしれないけど、そういう“担当者にしかできない作業”があると、具合が悪くても休めないよね。

不登校、ケガのリスクもある体育祭 「簡素化する方向もナシではないんじゃないか」

 最近、小学校だと半日開催に短縮する動きが出ていてさ。「午前中にやって、お弁当を家族で食べたらおしまい」という。

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 個人的には「中学校も、そういう感じで良いんじゃないかなあ」と思うことがある。生徒の成長がよく見られるイベントだし、体育祭そのものを否定するつもりはないんだけど、「冷静に考えるとどうんだろう。多くの生徒にとっては、体育祭って苦痛なだけなんじゃないかなあ」と感じるところもあって。

―― どういうこと?

 今の中学生って昔より運動神経が良くないんだよね。例えば、“徒競走が苦手な子”は昔からいたわけだけど、今はもうクラスの3分の2とか。そんなに多いと、教員側でもフォローしきれない。「皆の足を引っ張ったらどうしよう」と、学校に来られなくなってしまう生徒もいるし。

―― 不登校などにつながるリスクもあるんだ

 それから、「事故が相次いでいる」という報道もあって、世間では組体操がよく批判されているよね。今の子どもは身体的な苦痛を耐える場面がほとんどないから、下にいる子は「ここで倒れたらヤバイ」というところで耐えられずに倒れてしまう。

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 上の段も簡単ではなくて、他の生徒の背中を登っていくのにバランス感覚が必要。木登りなどがうまい子などがやってくれるといいのだけど……そういう生徒がどれだけいるのかなあ。

―― 「そういった懸念があるなかで、どこまでやるべきなのか」ということは考えられるかもしれないね

 体育祭には“体育の授業の発表会”のような側面もあるから、そこに合わせて簡素化する方向もナシではないんじゃないかと思う。「クラス全員で、授業でやったダンスなどの発表 → 運動が得意な生徒にはリレーなどの種目をやってもらって、午前中で終了」みたいな。

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

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