Twitterが実在しない選挙候補者に認証済みバッジ 休暇中の高校生が暇つぶしで作った偽アカウントだった
高校生は匿名取材で手の内を明かしました。
架空の政治家のTwitterアカウントが、認証済みバッジを獲得してしまう出来事がありました。
CNNの報道によると、偽の候補者「アンドリュー・ワルツ」のアカウントを作ったのは17歳の高校生。現在このアカウントは凍結されています。Twitterの広報担当者は「偽の候補者アカウントを作ることは利用規約に反するので、該当アカウントを永久凍結しました」と記事でコメントしています。
高校生は匿名でCNNに対し、偽アカウントが認証済みバッジを得るまでの過程を明かしています。アカウント作成にかけた時間はわずか5分程度。さらに約20分かけて架空候補者を紹介するWebサイトを作成しています。候補者の顔写真は、存在しない人の顔を人工知能で生成する「This Person Does Not Exist」から取得し、選挙候補者の情報サイト「バロット・ペディア」に簡単な紹介文章を提出しました。
Twitterはこれまで、候補者のアカウントが選挙に勝たない限り認証済みバッジを提供しないことを批判されていました。それを受けて2019年12月に利用規約を変更し、約1500人の候補者が認証バッジを新たに受け取っています。そしてその認証手続きには「バロット・ペディア」を利用しています。
「バロット・ペディア」への候補者情報提出にあたり、身分を証明する書類などを提示する必要はなかったと高校生は述べています。「バロット・ペディア」で編集長を務めるジェフ・パレー氏は、CNNに「バロット・ペディアは明らかに間違いを犯してしまった」と答えています。多くの候補者が立候補期限より前倒しにオンラインでの選挙活動を進めるため、「正式候補者」と「立候補宣言者」の情報を区別せずにTwitterへ提供していたことが原因で、偽アカウントを実在する候補者のように扱ってしまったようです。
バロット・ペディアの「アンドリュー・ワルツ」のページはまだ残っていますが、現在は実在する候補者ではなかったとのメッセージが掲載されています。同サイトはさらに経緯をまとめたページを設け、アンドリュー・ワルツの登録にあたっては調査票や選挙運動のサイト、SNSのプロフィールが提出されたと説明しています。
同サイトにアンドリュー・ワルツが登録されたのは2019年12月。2020年2月27日にこの候補は実在しないと記者から知らされ、翌28日には登録を削除するとともに、再発防止のための新ポリシーも施行したと述べています。29日には、新ポリシーを満たしていない候補者を複数特定したことも報告しています。
高校生は、偽のアカウント作成を試みた理由について、2016年の大統領選挙におけるロシアの干渉を挙げています。「ロシアゲート」とも呼ばれるSNSを利用したプロパガンダについて歴史の授業で学び、「クリスマス休暇で退屈していたし、誤った情報について報道が熱心に取り上げていた」と行動の着想を明かしました。
なおこの生徒が作成した架空候補者のWebサイトでは、現在「この候補者は存在しません」と大きく表示し、真実を語ったCNNの取材記事へ誘導しています。
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