【動画】「あつまれ どうぶつの森」でサカナクションの「新宝島」MVを丁寧に再現！　山口一郎も「おー嬉しいー！」と反応するクオリティー

　「あつまれ どうぶつの森」の島でサカナクションの「新宝島」のMVの世界を再現した人が大きな注目を集め、サカナクションのメンバー山口一郎さんが「おー嬉しいー！」と反応するなど話題を呼んでいます。丁寧な再現はどのようにして行われたのか、作者を取材しました。

　作者はベーシストでVtuberの花奏かのん（@_kanade_kano）さん（YouTubeチャンネル）。Nintendo Switch用ゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」では、舞台が「無人島」となっていることから、地形の変更や河川の造成などが可能な「島クリエイター」機能、オリジナルのデザインを作るための「マイデザイン」機能などが用意されており、それらを使って自分好みの島を作れるのが特徴です。

　かのんさんはこうした機能に加え、楽器の演奏機能などを使ってサカナクションの名曲「新宝島」を完全再現することに挑みました。

　動画ではまず、島クリエイター機能を使って島の約半分が水辺となっている状態の中、「新宝島」という文字状の土地が浮かんでいる状態からスタート。イントロの音楽に合わせて、緑色の土地部分が少しずつ増えていくと、サカナクションのメンバーのシルエットが現れました。さらに「新宝島」の文字部分は一定間隔をあけて地面を舗装することによって、ネオンが点灯するイメージを表現し、本家のMVの雰囲気をしっかりと再現しています。もう冒頭からスゴイ。

　ほかにもサカナクションのメンバーがステップを踏む様子をマイデザイン機能で作った図案をコマ撮りで再現していることに加えて、メッセージカード機能を使ってサビの歌詞を打ち込むなど、どのシーンも非常に作りこまれているのが分かります。そんな本作ですが中でも、注目すべきは音楽。

　ゲーム内で登場する、マリンバ、サックス、バイオリン、チェロ、ウクレレ、ドラム、ギター、オカリナ、シンセサイザーにかのんさんが生演奏したベースをサンプリングして「新宝島」を弾いているのですが、ゲーム内の楽器は「Aボタン」を押したときに一音だけ音が鳴るという仕様のため、かのんさんが全ての楽器の全ての音を録音・録画し、後からサンプリングに挑戦。約5分にわたる演奏を成し遂げているのです。

　作品のフルバージョンがYouTubeに公開されたのち、Twitterへ投稿したところ、6万件以上の“いいね”が寄せられたほか、サカナクションの山口一郎さんがツイートをRTしたうえで「おー嬉しいー！」と反応するなど大反響を得たこの作品。どのようにして制作したのか、かのんさんにお話を伺いました。

花奏かのんさんに聞く、あつ森で「新宝島」の裏側

――大反響の本作品ですが、なぜ「あつまれ どうぶつの森」で新宝島を再現しようと思ったのでしょうか。　

花奏かのん：「あつまれ どうぶつの森」でアーティストの作品を再現したのは、4月10日に投稿したKing Gnuさんの「Teenager Forever」が1作目で、サカナクションさんの「新宝島」は2作目になります。そもそものきっかけは、「あつまれ どうぶつの森」をプレイしていて楽器が手に入ったときに割とリアルな音が鳴ったので、「曲が作れるのでは？」と思ったからで、曲を「新宝島」にした理由は、多くの人が聴いたことのありそうな曲で、私も好きな曲だったからです。

　最初は「あつまれ どうぶつの森」のキャラクター（プレイヤー）で新宝島ステップを再現できないかなと思ったのですがうまくいかなくて……それでも「新宝島ステップは再現したい！」と思い、マイデザインでコマ撮りをすることにしました。島の形を新宝島にしたのは、単純に面白そうだったからです。

――随所にこだわりを感じられる再現となっており、どの場面も非常に楽しめました。どれぐらいの制作時間で完成させましたか。　

花奏かのん：他の作業・活動もしつつ、1週間半くらいで完成させました。この作品だけに集中して取り組めば4、5日くらいでしょうか。大まかには、音楽を作ってから島の整理を行い映像編集に取り組みましたが、手順としては次のような形です。

• （1）「あつまれ どうぶつの森」の楽器で演奏……それぞれの楽器の音をサンプリングして音の調整。曲になるよう並べる。
• （2）ベースを録音し、（1）とMIXする。
• （3）ゲーム内で島の整理を行います。橋と坂を撤去し、家・木・花などを島の下半分に全て移動します。このときにマイデザインでコマ撮り動画も撮影し、その他のシーンも撮影しておく。
• （4）ゲーム内の作業で用意した素材を編集する。

――音楽の作業についてもう少し詳しく教えてください。　

花奏かのん：ゲーム内の楽器の音を音声編集ソフトに取り込む作業から始めるのですが、楽器から出る音は毎回ランダムなので、全部の音が出るまでひたすらAボタンを押して楽器を鳴らしました。ド#、レ#などゲームの仕様上出ない音もあるので、それはピッチ編集ソフトで作成しました。素材がそろったら、あとはひたすら原曲通りに音を並べていき、自分で弾いたエレキベースを弾いて最後にミックス作業で各楽器の音を整えれば完成です。

――一番時間のかかった作業は何になりますか。　

花奏かのん：一番時間がかかったのは島クリエイターですね……！　作業に入る前に木や花を全部移動して、一度更地にするという作業で半日。島を新宝島の形に作りかえて「サカナクション」の文字作りや「新宝島」の文字が光る演出を作るのに一日。マイデザインでサカナクションが踊るコマ撮りを作るのに半日といった感じでした。

――冒頭のコマ撮り演出、かなりこだわりを感じました。　

花奏かのん：あの部分は「新宝島」の本家MVをコマ送りで見ながらスクショしてからPhotoshopに取り込んで、人物だけなぞりながら描くという作業を行いました。イラストを「あつまれ どうぶつの森」用のドット絵に変換してくれるサイトがあるので、そちらも駆使して、島の地面に10数枚のマイデザインを並べて貼り付けるといったかたちです。アニメーションは8枚の画像を使っています。

――ほかにもこだわったポイントがあれば教えてください。　

花奏かのん：こだわりポイントは2サビの映像です！（YouTube動画だと1:58あたりからです）。本家のMVがすごく好きで、特に2サビ部分は絵を描くシーンや占い、フィッシングなど本家再現を目指して作りました。理想の家具を持っていなくて妥協した部分もあるのですが、服装や表情はなるべく合わせました。

――逆に心残りなポイントはありますか。　

花奏かのん：映像の画質に関してはちょっと心残りです。Switchの写真・動画撮影機能を使って撮ったのですが、アップにしたときの画質が大変なことになっている部分もあって、もっとキレイに撮る方法がないか考えています。

　音楽に関しては、曲の入りのフレーズを主にバイオリン、チェロといったストリングス系で演奏したのですが、動画を投稿した後で原曲をあらためて聴いたら、キラキラしたような音も入っていたので、そこをもっと再現すべきだったかなと。どの楽器でどのパートを弾くかのアレンジは悩みました。

――今回の作品の反響についてどう感じていますか。　

花奏かのん：たくさんの人から反応をいただいてびっくりしました！　見ていただけて、ただただうれしいです。特に、サカナクションの山口一郎さんご本人から反応をもらったときは、驚きとうれしさでしばらく放心状態になっていました。

　一応ベーシストVtuberとして活動しているのですが、2年前に作った自己紹介動画でも「好きなベーシストはサカナクションの草刈さん」と話していて、サカナクションは好きなバンドだったので、本当に嬉しかったです。

　今回海外の方も多数RTやコメントをくださっていたので、今後は洋楽の作品もやってみたいと思っています！　ただ島を作り変えるのに時間がかかるのでやれるかは未定です（笑）。

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　作品制作の裏側はかのんさんのYouTubeチャンネルでも公開されているので、気になる方は見てみると良さそうです。

（Kikka）