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「公園のベンチは練習の為に設置した物ではない」 無断乗り入れしたオートバイが技練習でベンチ破損か、10年間整備を続けるボランティアに実態聞いた

10年間整備を行ってきたボランティアは「1人の誤った行いのせいで、ジャンル全体が悪く言われてしまう」と話してくれました。

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 埼玉県と東京都の都県境に広がる狭山丘陵内の公園に設置されたベンチが泥まみれになり、不自然に破損していることが分かりました。エンジン付きの車両が侵入できない場所にオフロードバイクが乗り入れ、ベンチを使って技の練習をした疑いがもたれています。狭山丘陵を整備するボランティアに実態を伺いました。

 「公園のベンチは練習の為に設置したものではないよ!」とTwitterで警鐘を鳴らしたのは、モデル・タレントとして活動するREN(小林廉)さん。自身もマウンテンバイクやオフロードバイクに乗るRENさんは、「狭山丘陵に在る公園のベンチにオフ車で乗り上げて走った痕跡が。ステアケースの練習か?ベンチの角が削り取られています。整備してるボランティアの方が困っているそうです。止めるようお願いします」と呼びかけ、バイクに乗る人達へ理解を求めました。

 投稿されていた写真には、大きな木のベンチの一部が不自然に泥をかぶったような状態で放置されているのが写っており、その角はタイヤで何度もこすったのか、木が削り取られてボロボロになっています。

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発見されたベンチ
現場に残されたタイヤ跡
幅が大きいことからオフロードバイクのタイヤではないかと見られている

 RENさんのツイートは拡散し、「これは器物破損になるのでは 残念なライダーがいますね」「秩序を持ってバイクに乗ってるバイク乗りが一様に見られるのが辛い」「どんな趣味も他人に迷惑かけたらおしまいです。どんなジャンルにもいるが、そういう奴らのせいでみんな肩身が狭くなる」とさまざまな意見が集まっています。

 RENさんによると、本件は西多摩にあるMTBプロショップ「ナカザワジム」の代表で、「西多摩マウンテンバイク友の会」の会長でもある中沢清さんが詳しく把握しているとのことで、ねとらぼ編集部は中沢さんにお話を聞かせていただくことにしました。

整備ボランティア「1人の誤った行いのせいで、ジャンル全体が悪く言われてしまう」

 中沢さんは、里地里山の再生活動や、公園や森や林の整備・清掃、道の整備、都や県が行うイベントの支援などを10年ほど続けているボランティアで、年の活動は80回を超えるベテラン。自治体関係者や公園のレンジャーらと連携して、自転車のマナーアップキャンペーンなども行ってきましたが、4月23日に狭山丘陵内にある公園の一部でベンチの角が削り取られているのを来園客が発見。中沢さんにもその連絡が入ったと言います。

――投稿されていたベンチの画像を見て驚きました。狭山丘陵にはそもそもオートバイやオフロードバイクが乗り入れられるのでしょうか。

中沢展望台などへ続く一部道路を除き、エンジン付きの車両は基本的に侵入できません。埼玉県所沢市、入間市、東京都東大和市、東村山市、武蔵村山市、西多摩郡瑞穂町の、5市1町に跨っている狭山丘陵は、全体が自然公園となっていて、その中に各自治体が管理する公園が点在しているのですが、全てにおいてバイクの練習をしていい場所というものはありません

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――ベンチ周辺の詳しい状況を教えてください。

中沢サイクリストの方から「オートバイが入ってきて練習してしまったようだ」と連絡をいただいて確認したところ、ベンチが土で汚れていて、ベンチの座面の木が削れて破損している状態でした。地面も土がまきあげられて剥げてしまっているので、かなりまずいと感じています。

 ベンチは4月26日に私の方で泥の掃き掃除をして、捨ててあったジュース缶も処分しました。

地面も削られていたという

――マウンテンバイクやオフロードバイクを楽しまれる方のマナーについて、詳しく教えてください。

中沢「若い方のマナーが良くないのでは」と思われがちですが、実際にはマナーよく楽しまれている方がほとんどだと思います。

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 ただ中には、昔マウンテンバイクやオフロードバイクを親しまれていた方が、昔の秩序のない感覚のまま趣味を再開するというケースもあり、結果的にマナーから外れた行為を行ってしまっている場合があります。

 こうしたマナー違反については、指摘を受けた際に素直に聞いてくださる方も多いのですが、「ここがダメになったら別の場所へ行って同じことをやる」というタイプの方もいるので、声かけの仕方も難しいなと感じています。

――今回の件で、マウンテンバイクやオフロードバイクに乗る方が肩身の狭い思いをするのではという声もあるようです。

中沢1人の誤った行いのせいで、そのジャンル全体が悪く言われる、というのはマイナースポーツではよくあることです。メジャースポーツにしていくためには、マナーについてしっかりと線引き区分けをしていく必要があると考えています

 オフロードバイク(オートバイ)にしても、マウンテンバイクにしても、一歩使い方を間違えると、物や人を傷つけてしまいますし、環境に深刻なダメージを与えてしまうこともあります。あらためてよく理解していただき、マナーを守って安全に楽しんでほしいと思います。

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 中沢さんによると、Stay Home(ステイホーム)の影響などもあり、自然の中での癒しを求めて、最近は普段見かけない人が公園を訪れるというケースも増えているとのこと。

 現状は不要不急の外出を控えるべきですが、自由な外出ができるようになって自然と触れ合えるようになった際には、その土地その土地のルールを守り、ローカルの方や整備してくれるボランティアの方への感謝の気持ちを忘れずにいたいですね。

画像提供:中沢清さん

(Kikka)

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