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「5万円以下の罰金」 自転車のあおり運転も「危険行為」に、改正道交法施行令が7月2日施行 つまりどういうこと?(1/2 ページ)

自転車のあおり運転も「危険行為」になります。命令に背けば「5万円以下の罰金」が課されます。

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 自転車のあおり運転を「危険行為」と規定した、「改正道路交通法施行令」が2020年6月12日に公布されました。2020年7月2日に施行されます。


クルマに続いて、自転車のあおり運転も規定されます

 6月2日にはクルマのあおり運転を罪として規定し、罰則を設ける「改正道路交通法」が衆院本会議で可決、成立されました(関連記事)。自転車も、危険行為を繰り返す運転者は処罰の対象になります。その背景と「具体的に変わること」の詳細を解説します。


クルマのあおり運転=「妨害運転罪」とともに、自転車にも「危険運転致死傷罪の対象となる行為」が追加され、2020年7月2日施行となる(警察庁Webサイトより)

成立の背景と概要/自転車も「あおり運転は危険行為(罪)」と規定

 国は「自転車を環境に優しい交通手段であり、健康の増進や交通の混雑の緩和にも役立つ乗り物である」と認識しています。

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 2017年5月1日には自転車活用推進法が施行され、2018年6月8日には自転車の活用の推進に関して基本となる「自転車活用推進計画」が閣議決定されるなど、これまでも自転車の活用の推進に関する施策を充実させてきました。


内閣府は自転車活用を推進している(内閣府Webサイトより)

 昨今、あおり運転が大きな社会問題になりました。併せて、新型コロナウイルス流行の影響で生活様式にも大小の変化があり、自転車においても通勤手段や宅配サービスなどでより利用が広がっています。事故抑止、そして交通マナー改善をさらに促していくのが目的です。


都市圏や観光エリアでシェアサイクルなどの新たな活用シーンも増えている

危険行為を繰り返すと「講習命令」、命令に背けば「5万円以下の罰金」

 2015年6月1日、危険行為を3年間に2回以上繰り返した14歳以上の自転車運転者が対象となる「自転車運転者講習制度」が始まりました(関連記事)

 自転車が関わる事故の多くには、自転車の運転者にもルール違反が見受けられます。危険な行為を繰り返した自転車運転者に対し、将来危険な運転を繰り返さないように「受講者自らの運転行動を気付かせること」を目的に安全講習の受講を「命ずる」制度です。


自転車運転者講習の受講命令対象になる危険運転14項目。2020年7月2日から「妨害運転」も加わる(神奈川県警察Webサイトより)

 これらの危険行為にはこれまで14項目が指定されていましたが、この中に「妨害運転」(=あおり運転)も組み込まれ、7月2日から「15項目」となります。

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自転車運転者講習の受講命令の要件となる「危険行為」

  • 信号無視【道交法第7条】
  • 通行禁止違反【道交法第8条第1項】
  • 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)【道交法第9条】
  • 通行区分違反【道交法第17条第1項、第4項又は第6項】
  • 路側帯通行時の歩行者の通行妨害【道交法第17条の2第2項】
  • 遮断踏切立入り【道交法第33条第2項】
  • 交差点安全進行義務違反等【道交法第36条】
  • 交差点優先車妨害等【道交法第37条】
  • 環状交差点安全進行義務違反等【道交法第37条の2】
  • 指定場所一時不停止等【道交法第43条】
  • 歩道通行時の通行方法違反【道交法第63条の4第2項】
  • 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転【道交法63条の9第1項】
  • 酒酔い運転【道交法第65条第1項】
  • 安全運転義務違反【道交法第70条】
  • 妨害運転【2020年7月2日から】

 「危険行為で3年間に2回以上摘発」された「14歳以上の運転者」が安全講習の受講命令を受け、受講命令に従わなければ「5万円以下の罰金」が課せられます。安全講習は東京都の場合、受講時間は約3時間、受講手数料6000円です(警視庁Webサイトより 2020年6月12日現在)。

 「妨害運転」は、自動車やバイク、自転車などに対して行う、

  • 逆走して進路をふさぐ
  • 幅寄せする
  • 進路変更する
  • 不必要な急ブレーキをかける
  • ベルをしつこく鳴らす
  • 車間距離の不保持
  • 追い越し違反

 の7行為が想定されます。

 もちろんあおり運転だけが問題ではなく、「妨害運転」+「信号無視」で計2回の摘発になります。


交通法規とマナーを厳守して乗りましょう

 「車道を走っていないから関係ない」「運転免許を持っていないから関係ない」「ほかの人もやっているのに何で俺だけ」などではありません。自転車も「車両」。交通法規とルールをしっかり意識し、正しく守って乗りましょう。

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少年B


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