連載

雨の景色、山の呼吸。南海電鉄「天空」の思い出月刊乗り鉄話題(2020年6月版)(3/3 ページ)

50歳の電車が晴れ舞台でがんばります。そして「雨天こそ旅のリアル」です。

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2018年から2020年へ 「こうや花鉄道」は進化している

 では2018年から2020年に戻ってきましょう。いま「こうや花鉄道」はどうなっているでしょうか。

 もっとも大きな変化はケーブルカーです。2018年11月26日から2019年2月28日まで、約3カ月運休してリニューアル工事を実施し、直線を基調とした新型車両になりました。


極楽橋からケーブルカーで(2018年当時なので、こちらは旧型です)

雨雲の中を上っていく

 2019年11月には高野下駅に駅舎ホテル「NIPPONIA HOTEL 高野山 参詣鉄道 Operated by KIRINJI」がオープンしました。大正14年建築の駅舎をリフォームし、乗務員宿直室や待機所があったところがベッドルームになっています。おしゃれな内装には引退した電車のパーツを使うなど、鉄分もしっかり。川のせせらぎを聞きつつ、トレインビューを楽しめるとのこと。駅員も無人、ホテルも無人、予約したのち、暗証番号を受け取って入出します。誰にも邪魔されない空間です。

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高野山金剛峯寺。この朱色が「天空」に採用

 同じく2019年11月に九度山駅の構内におむすび専門の売店「おむすびスタンド くど」もオープンしました。薪を燃やすかまどを3台設置し、地元九度山町産のお米を炊きます。具材も和歌山産にこだわったそうです。天空が運行を再開したら、また訪ねたいところです。


帰路は特急「こうや」で難波へ

フォトギャラリー

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。ITmedia ビジネスオンラインで「週刊鉄道経済」連載。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。JR路線の完乗率は100%、日本鉄道全路線の完乗率は99.69%(2020年3月時点)


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