インタビュー

Withコロナ時代でも学校の仕事はつらいよ 現役中学教員に聞く“生徒のために働けない歯がゆさ”(2/2 ページ)

再開した学校での働き方についてインタビューしました。

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新しい学習指導要領が、新型コロナで“ザル法”に?

 もう1つ、授業面の問題を言うと、以前のインタビューで「今年度、来年度から小中学校の学習指導要領が切り替わる」と話したよね。

―― 「新しい学習指導要領では、対話を通じて考えを深めるアクティブラーニングが目玉。でも、新型コロナ対応で難しくなってしまった」と言ってたね。

 そうそう。学習指導要領にのっとって教えないと履修漏れになってしまうんだけど、ついにうちの自治体では「『自分自身との対話』も広い意味で対話だよね」みたいな考え方が出てきた。かなり苦肉の策だよね。

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―― それって言い換えたら「自分の頭で考えてみよう」みたいなことでしょ? 以前からやってたんじゃないの?

 そうなんだよ。学習指導要領を踏まえた新しい授業を作らず、今まで通りにやっていても何も問題がないことになる……と言うと「なんて向上心のない、意識の低い教員なんだ!」と怒られそうだけど、そういう解釈の余地が生まれたことは確かだろう。

 要するに、新しい学習指導要領がいきなり骨抜きにされて、いわば“ザル法”になっちゃったんだよね。

口では「生徒のために」と言いながら

 最後に、「今、学校で働いていて感じる矛盾」について話したい。

 「○○ファースト」という言葉があるけど、学校って本来「生徒ファースト」であるべきだと思うんだよ。実際、教員の世界では「“生徒のために”こうしよう、ああしよう」という表現がよく使われてるから。

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 だけど、生徒ファーストで動けてないのが現実。教室の消毒をはじめとした新型コロナ対策は不十分で、実態としては「感染者が出てしまったときのためのアリバイ作り」のようなもの(関連記事)だし、授業は生徒ではなく、教科書を終わらせることが最優先で……という感じでさ。

 口では「生徒のために」と言いながら、本当は生徒のためにならない仕事をしている。そのことが分かっていても、一介の教員ではどうしようもない―― そういう歯がゆさを感じてしまうよ。

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

(続く)

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