飲み屋帰り、終電がないんです 「宇崎ちゃんは遊びたい!」7話、先輩の家に行きたい泥酔娘の猛烈アプローチ(1/2 ページ)
宇崎ちゃんのしおらしさと猛アタックで胸がキュンキュンです……。
ウザくて、かわいくて、SUGOI DEKAI! 「宇崎ちゃんは遊びたい!」(原作/アニメ)は、マイペースで一人の時間が好きな桜井真一(さくらい・しんいち)と、彼にまとわりついてくるキュートだけどちょっとウザめの後輩・宇崎 花(うざき・はな)の、ニヤニヤな距離感を楽しめるキャンパスコメディーです。
7話は桜井と宇崎ちゃんが二人でとあるお店に行く話。それ第三者的に見てデートなのでは? 鈍さが尋常じゃない桜井はどのくらい分かってないのか、あるいは分かって回避しているのか見ていきます。
「俺にはおまえが必要なんだ」
桜井「付き合ってくれ…俺にはお前が必要なんだ」
宇崎ちゃんに突然掛かってきた電話。シリアスにこんなこと言われたらまあ大抵の場合は告白だと思っても仕方ない。しかし桜井の言う「付き合う」は「猫カフェに付き合う」の意味でしたとさ。ラブコメ鈍感キャラあるあるではありますが、「宇崎ちゃん」の場合は二人の関係が非常に微妙なバランスで保たれてもう7話なので、さすがにつっこみたくなる。鈍さポイント+1です。
桜井の天然は6話の海の回でも出てきました。特にその気もないのにバイト先の先輩亜実に声をかけて、ドキッとさせた前科があります。
宇崎ちゃん普段は口が軽くて、思ったことすぐ言葉にしてしまいますが、今回は何も言わずローキック。彼女の複雑な乙女心がモロに出ている貴重なシーンです。
感謝できる男、桜井
いきなり宇崎ちゃんを傷つけた桜井ですが、猫カフェに入って満足していると、一気に彼の人の良さが現れてきます。
猫が大好きでも、普段は相性が悪く触れない桜井。猫カフェでは触り放題でニヤニヤ。宇崎ちゃんそれをみて「キモい」とアルカイックスマイル。いやいやそんなことないと思いますよ…。
ここで宇崎ちゃんによる桜井分析が入ります。「普段人間相手にはこんなテンション見せないくせに やっぱり根暗な分日ごろ抑えつけてるもんがあるんだろうなあ」
事実かどうかは、分かりません。ただ宇崎ちゃんは基本的に桜井にマウントを取り続けている意識があり、「ぼっちな先輩のことを構ってあげている」という視点が常にあります。それゆえの、慈愛に満ちた感想です。
桜井も宇崎ちゃんのことをうざがってはいるものの、なんだかんだでいつも彼女の行動に付き合っています。何より他の人には表面的な返ししかしていないものの、宇崎ちゃんにはかなり感情をあらわにしてぶつけることができている。猫に対して心を許すのと同じことが、宇崎ちゃんにもできているような気もします。ならば彼女の思惑は成功なのでは。
ここで、彼の素の優しさの部分から「宇崎にはなんかお礼しなきゃな」という発言が自然に出ました。
宇崎「二十歳の誕生日ッスから ちょーっと特別(スペシャル)めな誕生日を迎えたいなと…」
普段わがままはかなりの豪速球でぶつけるものの、こういう大事な時にしおらしくなる宇崎ちゃん、男の心をくすぐるポイントです。ところが自分から言っておいて話を聞けていないのが桜井。ここも鈍感ポイント+1です。よくないよ。
こうなると「お礼しなきゃな」の発言も天然だった可能性が出てきてしまいますが、果たして。
真剣に迷う桜井
アニメオリジナルパートとして、バイト先の喫茶店で亜実に桜井が相談するシーンが入っています。ここが桜井の本心、現在の宇崎ちゃんとの距離感が見える場面になっています。「亜実に相談する」というのはこれも6話の海で同じことをしているので、だいぶ信頼を寄せているのでしょう。
ここで桜井のシミュレーションだと「何をプレゼントしても彼女はあざ笑う」という解答が出てしまいます。マスターと亜実は「何をプレゼントしても喜ぶし、照れ隠しで笑っちゃう」というシミュレーションをします。
桜井は宇崎ちゃんが言うほどぼっちではないです。しかし一人が好きなのもあって、踏み込んだ人とのコミュニケーションをしません。だから表層的に宇崎ちゃんがいつも返してくる反撃をそのまま受け取ってしまい、身構えるクセもついています。ここは鈍感というのはかわいそう、今までの経験則通りに動いているだけです。
ただマスターと亜実は、二人のバランスをよく観察し、理解しています。桜井が苦手なのを分かって曖昧な表現で濁す宇崎ちゃんの乙女心。無自覚に「ちょっと困らせたい、悩んでほしい」というのが自然に出ている純真さ。二人の考察も「正解」かどうかは分かりませんが、鋭いことは確か。ああ尊くて飯がうまい。
宇崎ちゃんのスペシャルとは何なのか
宇崎ちゃんが誕生日記念にチョイスした贈り物は「居酒屋でおごってもらう」でした。確かに二十歳の誕生日だから「初」ではあるけど、金額の上下もあるけど、シチュエーションとして普通すぎでは?
まず「スペシャル」という言葉。これは恐らく「一般的に見る平凡との差」は指していないはず。宇崎ちゃんの中での大切なこと、という意味でしょう。今までの誕生日は描かれていませんが、少なくともそこに桜井はいませんでした。今回はいます。もし今回宇崎ちゃんが誕生日の話題を振らなかったら、桜井は誕生日のことを知らないままでした。
となると、宇崎ちゃんが誕生日に桜井と一緒にいるということ自体、自身が動かなければ叶わなかった「特別」な出来事です。
アニメではオリジナルパートが大幅に追加され、宇崎ちゃんのテンションが大幅アップ、桜井とのドタバタなやりとりが見られます。いつも通りといえばそうなんですが、彼女の「お言葉通り楽しむとしますか」のセリフがさすように、思いっきり幸せそうに羽を伸ばしています。
彼女いわゆる絡み酒。ウザさいつもの倍です。とはいえ普段は抱きつくスキンシップまではしていないはず。いろいろ当てるシーンもかわいいのですが、なによりも「においつけ」です。マーキングとしか思えないのですがいかがなものか。甘えたい、一緒にいたい、自分のものにしたい、の行動だとしたら役満です。
宇崎ちゃんは計算をして攻めるタイプの子としては今まで描かれていませんでした。しかしここにきてお酒が入ったことで、普段やらない行動が一気に噴出しています。猫カフェでのしおらしさからの、終電を逃してワイワイしちゃうこの行動、桜井でも「こいつまさか計算ずくじゃねえだろうな…」と考えてしまうほど。彼女いわく「帰らないッスよー 次は先輩の家で飲みましょうよー」。
ここで桜井が何を考えたかがかなり重要なポイントになっている気がします。しかし「面倒くさい」なのか「女性として意識している」なのかが、ここではちょっと分からない。
ダメ押しとしてこんな会話が。
桜井「あとうちは布団一組しかねえから…」
宇崎「一緒に寝ます?」
桜井「一枚ずつ分け合うんだよバカタレ」
冗談混じりの、超絶据え膳。このシーン録画してマスターと亜実さんに見せたい。もいっちょダメ押しで、桜井の部屋では宇崎ちゃんが「ちゅーしたら起きますかね…」と顔を寄せるシーンまで。
ここまで押して押して押しまくる宇崎ちゃん、今までなかったほど大胆。やはり6話で宇崎ちゃんに寝ぼけて抱きついた桜井の件が、彼女の中で距離を縮めたのか。お酒の力と一言では語れない、彼女の本音がとめどなく溢れているような…。もっともその通りに反撃されたら宇崎ちゃんも逃げそうな予感しますが。
これは桜井が鈍感とはさすがに言えない。かなり女性として意識しています。むしろ「おのおのの気持ちを確認しはじめた」「駆け引きが成立しはじめた」というところだと思います。
あらためて宇崎ちゃんの「スペシャル」ってなんだったのか。恐らく言葉でスッキリ言い表せる加減のものではないと思います。今回の一連の流れで、何かスペシャルなものはちゃんともらえたから笑顔だった、というのだけは間違いないはずです。わずかながらも一歩、前進した回でした。
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