二次元は現実を生き抜くための伴侶である――『テニスの王子様』に人生を救われた人の漫画が教えてくれること(2/2 ページ)
テニスの王子様たちが、いつも私を助けてくれた。
結婚
さらに時は流れ、なおこさんは結婚しました。相手は仁王雅治ではありませんでしたが、きっと仁王も認めてくれるような、すてきな人です。
これからの生活、趣味に使える時間やお金は減るかもしれません。それでも心の中の仁王くんは答えてくれます――「グッズの数やライブの回数だけが愛じゃなか」「結婚したって俺らのことを好きでいたってええ 心の隅に置いとけばええ」「好きなものを諦めることなかよ」。『テニプリ』が好きだというその気持ちは、どこまででも握りしめていけるものだと、他ならぬ『テニプリ』が教えてくれたのでした。
出産と育児
なおこさんは二〇一七年、第一子を出産しました。パートナーは電車が止まってしまったせいで病院に駆けつけられず、なおこさんは「ミュージカル テニスの王子様」の楽曲「Be Cool」を聴きながら、ひとり出産に臨むことになったといいます。
心が折れそうな痛みと不安の中、なおこさんの手を握ってくれたのも、やはり仁王くんでした。なおこさんは最初からひとりではなかったのです。出産は無事に成功しました。
子育ても、やはり一筋縄ではいかない仕事です。データテニスで他を圧倒する乾貞治と柳蓮二のように、理論的な子育てを試みても、赤ちゃんはいつも予測不能な行動をします。必死に育児をし、へとへとになってソファに倒れ込むとき、やはりなおこさんの傍らにはテニスの王子様たちが寄り添っています。
あなたと人生をともにする
「二次元は現実逃避か ちがう 二次元は現実を果敢に生き抜くための伴侶」。なおこさんはそう考えます。何度も困難を迎えた人生の中に、王子様たちはいつも寄り添ってくれました。『テニプリ』を愛する人の心の中にはすでに『テニプリ』のキャラクターがそれぞれ生きていて、常にその人の人生とともにあるのです。それはきっと疑いのないことです。
これから先もなおこさんの人生には、テニスの王子様たちとともにあるでしょう。なおこさんのエッセイ漫画は、作品を愛することが人生にもたらしてくれるものの豊かさを伝えています。
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