二次元は現実を生き抜くための伴侶である――『テニスの王子様』に人生を救われた人の漫画が教えてくれること(1/2 ページ)
テニスの王子様たちが、いつも私を助けてくれた。
二次元は現実逃避ではなく、現実を生き抜くための伴侶である――。イラストレーターのなおこ(@nn__0911)さんが、自らの人生と漫画『テニスの王子様』(許斐剛、集英社)の関わりについて漫画にしています。
出会い
なおこさんと『テニプリ』の出会いは、小学5年生の時偶然手にしたジャンプでした。入院していたおじいちゃんのお見舞いのため、待合室で暇をつぶしていたなおこさんは、たまたまいとこからジャンプを借りたのです。ぱらぱらとページをめくっていると、そこには王子様が輝いていました。紙面の中に現れた王子様――主人公である越前リョーマは、『ワンピース』目当てでジャンプをめくっていたなおこさんの視線を瞬く間に奪い、『テニプリ』の世界へ誘ったのでした。
それからなおこさんはどっぷりと『テニプリ』に夢中になり、中学では『テニプリ』の話題で盛り上がれる友だちもできました。なおこさんが特に好きになったのは、立海大付属の3年生・仁王雅治です。
バスケットボール部の試合があるとき、なおこさんの心の中には応援してくれる比嘉中のメンバーがおり、大学受験の際には青学の部長・手塚国光とともに「油断せずにいこう」と気合を入れて勉強しました。なおこさんの青春の中には、常にテニスの王子様たちがいたのです。
大学生、そして就職へ
大学生になったなおこさんは、自分の力でイベントやグッズ集めを楽しめるようになりました。『テニプリ』のキャストらが一堂に会するファンイベント『テニプリフェスタ』に全通するため、チケット代や遠征費、グッズ代を懸命にアルバイトで稼ぎ、仁王推しグッズを自作して現場に通ったといいます。なおこさんの部屋は仁王のグッズやポスターでいっぱいになりました。仁王がこれを見たら「飾りすぎじゃろ」と言われるかもしれませんが、なおこさんにとってはやる気を出すために大事なことなのです。
時は流れ、なおこさんは就職を迎えました。新たな生活の舞台は、『テニプリ』世界では強豪四天宝寺中学がトップに立つ場所、大阪です。なおこさんは白石蔵ノ介や千歳千里らに背中を押され、四天宝寺中学のモットー「勝ったモン勝ち」を胸に、新生活へ旅立ちました。
仕事は、楽ではありませんでした。慣れないスーツで懸命に歩き回り、上司に注意されながら必死に食らいついていると、時間はあっという間に過ぎていきました。家に帰ると日付は超えており、何もできないほどの疲労に襲われます。
「疲れた…… 辞めたい……」。『テニプリ』でいっぱいの部屋でひとりごちていると、なおこさんの耳には氷帝の主将・跡部景吾の語りかける声が聞こえてきました。「お前はその程度の女じゃないだろ?」。心の中の跡部にそう言われると、なんだかやってやらなくてはいけないような気がしてきます。
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