クレしん映画の新たな傑作「激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」レビュー 「オトナ帝国」「戦国大合戦」と単純比較するべきではない理由(2/4 ページ)
「映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」の素晴らしさをネタバレなしで語る。
そこからさらに4年が経ち、「激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者」を作る上で、近藤慶一プロデューサーは「ここでぶりぶりざえもんを出さなきゃいつ出すんだ!」と訴え、神谷浩史の声のぶりぶりざえもんが映画でも初登場することになった。
6作目「電撃!ブタのヒヅメ大作戦」でのぶりぶりざえもんの大活躍を知っている者にとってもうれしいことは間違いないし、その「私は常に強い者の味方だ」というセリフに代表されるずるさや情けなさも健在だ。
何より、神谷浩史の“妙に良い声”がぶりぶりざえもんに絶妙にハマっていて、そのシリアスさとのギャップのあるギャグシーンにゲラゲラ笑えるという、最高の演技を見せている。改めて、ぶりぶりざえもんが愛すべきキャラクターであることに気付けるだろう。 ちなみに、本作にはSNSやタブレット端末も登場し、ぶりぶりざえもんの「救い料100億万円、ローンも可」というおなじみのセリフにも、現代らしいとあるアップデートが加えられていた。ぜひ、聞き逃さないようにしてほしい。
3:しんのすけが単独で主役となった
近藤慶一プロデューサーは、実際に本作で原点回帰の気概を込めて、「しんのすけが単独で主役の映画を作ろう」と考えていたそうだ。
クレしん映画では、野原一家やかすかべ防衛隊というチームが全編で活躍することが多い。また、22作目「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」ではひろしが、27作目「新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~」ではみさえがほとんど主人公のようになり、そのことも新たな魅力をもたらしていた。
しかし、近藤プロデューサーは「初期作を改めて観ると、しんちゃんにはしんちゃんにしかない良さもある」と考え、しんのすけ1人を真ん中に据え、他のメインキャラクターは新たなキャラクターで動かそうと考えたという。実際に、しんのすけが今回で冒険を共にするのは、ぶりぶりざえもんとニセななことブリーフ、そして途中で出会う少年のユウマというゲストキャラクターなのである。
この作劇で思い出すのは、4作目「ヘンダーランドの大冒険」だ。しんのすけはかすかべ防衛隊の力を借りておらず、みさえもひろしもいない状態で、1人で敵地に乗り込み、トランプの魔法で呼び出したアクション仮面、カンタムロボ、ぶりぶりざえもんというヒーローたちと共に戦うのだから。
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