「他の女も見たうえで1番がほしい」　言動はめちゃくちゃだけど納得感が強い、ヤバい彼女の漫画『ぼくの彼女、ヤバにゃん』

　付き合っている彼女に「あの子のこと見てたでしょ？」と言われたので否定したら「他の女も見ろよ！」と思いがけなく叱られた。理由を聞くと「ちゃんと他を見たうえで1番をくれよ」とのこと。理屈は分かるが圧がすごい。そんなヤバい彼女との日々を描くのが「ぼくの彼女、ヤバにゃん」のシリーズです。

　『ぼくの彼女、ヤバにゃん』は、独特な世界観を持つヤバにゃんと、彼氏のタマくんとの日常をつづったマンガ作品。主にInstagramなどのSNS上で連載中です。作者は、日々の理不尽な出来事を持ち前の前向きさで乗り越えるOLを描く『耐え子の日常』と同じ、そろそろ谷川さん。

　ヤバにゃんの、かわいい見た目とは裏腹の辛辣（しんらつ）な言動は、ときに真理を突いてきます。

　ヤバにゃんが彼氏のタマくんと部屋で過ごしているときのこと。ヤバにゃんが「私のこと、どれくらい好き？」とたずねてきます。ふいに愛の大きさを確かめてくるのがヤバにゃんのヤバにゃんなところ。タマくんは「世界で一番好きだよ」と即答しますが、彼女は「はあ……」とため息をつきます。

　「なんで落ち込むの？」思わず聞き返すと、ヤバにゃんは「タマくんに見えている世界なんて、たかが知れてるよね……」とのこと。そうかもしれないけどさあ！

　またあるときは、鏡を使って自撮りをしていたヤバにゃんさん。その後、スマホをいじっている様子。「何してるの？」と聞くと、「やせて見えるように加工～♪」だとか。でも、画面をのぞいてみると、文字を入力しているだけ。タマくんが思わずツッコミを入れます。

　すると、ヤバにゃんは「でもやせて見えるでしょ？」。そこには、ヤバにゃんの写真に添えられた「After」の文字が。なんということでしょう。確かにこれならいつだって以前よりはやせて見えそうです。今の自分が常に一番イケてる自分ですよね。このポジティブ思考こそ、いま求められているもの。

　ヤバにゃんは、彼氏が彼女のためにと考えた粋な演出にも手厳しいです。部屋に散らばった靴下や下着。「また脱ぎっぱなし！」とキレつつも、『ヘンゼルとグレーテル』のパンくずのように点在する洗濯物を集めていくヤバにゃん。「ちゃんと洗濯かごに入れてよ」……と、ふと見れば、テーブルの上にケーキと「いつもありがとう」の手紙が。

　へへっと得意げな顔で現れるタマくん。どうやら彼からの「サプライズ」だったもよう。タマくん……思わず言葉を失うヤバにゃんでしたが、「イラつきのほうがギリ勝ってるわ」と正直な回答。仕掛ける側が悦に入るだけのサプライズはサプライズにあらずというわけです。

　このように、ヤバさと突き抜けた率直さがあいまった言動のヤバにゃんですが、並べてみると、彼女の言動はあながち間違っているわけでもなさそう……。そう感じたら、きっとあなたの心にも「ヤバにゃん」がすみついているのでしょう。