かつてない社会現象「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」レビュー 本編の魅力をネタバレなしで紹介(2/4 ページ)
「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」のかつてない社会現象をまとめると共に、本編の魅力をネタバレなしでお届けする。
「ワンピース」「NARUTO」「僕のヒーローアカデミア」など、少年ジャンプ掲載のマンガ原作のアニメでは、劇場版のためのオリジナルストーリーとなることが多い。だが、この「無限列車編」では原作マンガにおける7~8巻に収録されたエピソードが描かれている。つまり、「鬼滅の刃」のファンにとっては「もう知っている話」でもあるのだ。
それでもファンが初日に駆け付ける理由は、もちろん「原作のあのエピソードをアニメで見たい」ということに他ならないだろう。そもそものテレビアニメ版の時点で、アクションの迫力、細かな動きの躍動感、そして実力派を超えて日本最高峰の声優陣の熱演と、「もはや劇場版」といえるクオリティーであったのだから、映画館という最高の環境で見たいと、ファンが心から願うのは当然だ。
また、「鬼滅の刃」はキャラクターそれぞれの人気も絶大であり、今回は煉獄杏寿郎という”熱血漢”な人物が中心になって活躍している。人気声優の日野聡の演技も合わせて、彼を“推し”ているファンにとっても、見たくて仕方がない内容になっていたのだろう。
もちろん、「テレビアニメ版だけ見ていて、原作マンガを読んでいない」という方もいるだろう。その層にとっては、新たにドラマティックな物語を見届ける楽しみもあるのだ。
3:「一見さんお断り」の内容に
ただ、この「ファンが見たかった内容」という特徴を言い換えれば、「一見さんお断り」ということでもある。
劇場版アニメに良くある「これまでのあらすじ」や「基本的な説明」などは用意されておらず、物語は途中から始まり、”柱”や“継子”といった固有名詞も紹介されることはない。予備知識なく、いきなり映画館に足を運ぶことはおすすめできない、というのが正直なところだ。
個人的には、少なくともテレビアニメ版を最初の数話でも良いから見ておくことをおすすめする。主人公の竈門炭治郎の壮絶な過去、彼が戦う理由を知ってこそ、彼を心から応援できるからだ。
可能であれば、テレビアニメ版で特に絶賛を浴びていた第19話「ヒノカミ」もチェックしてほしい。細やかに描かれる“神楽の舞”の見事さ、そしてエンディングの入りの演出など、“神回”と呼ぶにふさわしい内容だ。加えて、そこには今回の「無限列車編」とリンクしている要素もある。
4:「これが見たかった!」と心から思える本編
前置きが長くなったが、実際に見た「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の作品としての感想は……もう「これが見たかった!」と大納得するしかない、素晴らしい内容だった。
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