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【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】ゲーム史に残るサーバートラブル、でも個人的には好きだった「ファンタシースターユニバース」(1/2 ページ)

チャットシステムが良く、「ノリが良ければどこまでも楽しめるタイプのゲーム」だったとか。

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 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回はサーバートラブル後の対応が「有料ベータテスト」などと物議を醸した「ファンタシースターユニバース」ファンの方にお話を伺いました。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2~3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「ファンタシースターユニバース」(axさん/@azurite77

 私が取り上げてほしいゲームは「ファンタシースターユニバース(以下PSU)」(PS2など)。発売後、ゲーム史に残るレベルのトラブルで大炎上。ゲームの出来も悪く、その年で一番のクソゲーと言われても仕方がない内容(※)でしたが、それでも私は好きでした。

※2006年クソゲー・オブ・ザ・イヤー(KOTY)で大賞に選ばれている

このゲームの魅力

 「PSU」の最大の魅力はチャットシステムだと思います。いわゆるオンラインゲームのテキストチャットとは違って、マンガの吹き出しのように表示されるようになっていました。

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  • Shiftキーを押しながら発言:叫び声風のトゲトゲの吹き出しになる
  • Ctrlキーを押しながら発言:思考中の吹き出しになる(心の声を表現するときのモワモワしたやつ)
  • Tabキーを押しながら発言:自キャラの顔をカットイン表示。角度や背景、表情を素早く切り替え可能
  • そして、「Shift+Tab」「Ctrl+Tab」と組み合わせることも可能

 格闘ゲームの攻撃並みにレスポンスが良く、チャット中のとっさの感情表現に優れていたと思います。

 また、複数人が同時にしゃべってハモっている状況を再現するために同じ発言の吹き出しが合体して巨大化したり、遠くにいる人の吹き出しは小さくなったりと、見た目に分かりやすく、面白みのある要素も。おかげで、普段も冒険中もチャットで盛り上がれるゲームになっていたと思います。

キャラクリエイト

 体形や顔変更、服の種類の豊富さ、それから自由にパーツを組み合わせられるロボ種族の存在など、2006年当時としてはキャラクリエイトのレベルが高いゲームでした。

 各プレイヤーが作った個性的なキャラクターたちがマンガのようにしゃべる点は、非常に愛着が持ちやすかったと思います。

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 運営がGM(ゲームマスター)キャラを用意することがあったのですが、このキャラたちは一癖も二癖もある個性の持ち主で、盛り上げるのが非常にうまかったので、出てくるととにかく人が集まりました。

 ちょっとした会話でも盛り上がれ、ノリが良ければどこまでも楽しめるタイプのゲームだったと思います。後期には、公式自ら広告で「最強のチャットゲーム」とうたっていた覚えがあります。

世間ではクソゲーと言われている理由

 私は前作「ファンタシースターオンライン(PSO)」からのファンで、「PSU」も仲間と一緒に予約して発売初期からプレイしていました。

 このゲームはオンラインプレイが前提。当然ですが多くのプレイヤーの多くは発売後、オンラインでプレイしようとしました。しかし、運営側が同時接続人数の想定を見誤っており、すぐにサーバーがパンク。全然ログインできない状態になってしまいました。

※INSIDEの記事によると「発売直後3万5千人程度のアクセスを見込んだところに5万人が集中」していたという(【CEDEC 2008】ネットワークゲームの開発と海外展開について

 オンラインで遊ぶには、当時セガがプッシュしていた「SEGAlink」にIDを登録する必要があったのですが、ここもまともにログインできず、ソフトを買ってもまともに遊べない状態に。取りあえず、ID登録が済むまでに1日以上かかっていたかと思います。

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 接続しにくい状況はなかなか改善せず、ログインできるまで連射パッドで「決定」を連打し続けて放置するユーザーが現れるようなありさまでした。

 また、発売から1週間ほどたったころでしょうか。データベースに不具合が生じたのか、「他人のキャラが選択欄に出てくる」といったトラブルも発生。「プレイヤーのデータを全リセットする」という、オンラインゲームとしては致命的な対応が取られたほか、これ以降しばらく「試験サービス」としての運用が行われました。

 このあたりまででかなりのプレイヤーが見限り、このゲームはゲーム史に残る大ゴケをしました。

 それから、アクションRPGとしての出来も良いとは言いがたく、有名タイトルに例えるなら“無双ゲーから爽快感を全部抜いた”ような感じです。ステップやガードなどの回避行動ができず、基本的にはゴリ押し。

 「アクションRPGっぽいRPG」とも言えるかもしれませんが、実際には敵の動きが早過ぎたりリーチが長過ぎたりして一方的に殴られたり、即死攻撃を連発されたりと雑な作りになっていました。

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 運営も頑張ってはいたもののトラブルが多く、NPCがなぜかねじれていく(意味が分からないかもしれませんが、本当にねじれる)という謎の不具合や、更新日なのにメンテ明けにパッチ配信がないといった予測不可能なトラブルが多かった印象です。

 こういったトラブルや全体のクオリティーによって、本当に好きな人以外にとってはただのクソゲーになってしまいました。批判点については、もう全部うなずくしかありません。でも、私にとっては、なんだかんだ言いつつも好きなゲームだったんですよ。

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