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【好きなゲームが世間のクソゲーな人インタビュー】不条理で猥雑な「クーロンズ・ゲート」の世界に心を奪われて、もう23年たってしまいました(1/2 ページ)

「ハマった人の心には永久に残り続ける作品と思います」。

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 年末企画「自分の好きなゲームが世間ではクソゲーと言われている人インタビュー」。今回は、1997年にPS向けに発売されたアドベンチャーゲーム「クーロンズ・ゲート-九龍風水傳-」。ハマらない人にはハマらない、でもハマる人にはめちゃくちゃハマる、いわゆる“カルト的な人気作”。

企画:好きなゲームが世間のクソゲー

「これはクソゲー」「あれはクソゲー」と世間は気軽に言うけれど、遊び方も感性も人それぞれ。むしろ、そんな風に言われている作品の魅力を知っている人に話を聞いてみよう。Twitterで募集をかけたら、2~3人くらい手を上げてくださるのでは?

……と思っていたら、100人くらいから連絡が来ちゃった企画です。編集部のリソース的に可能な範囲で記事化。1日1本ペースだと公開しきるまでに数カ月かかるので1時間に1本ずつ公開します。

「クーロンズ・ゲート」(シナモン文鳥さん)

 学生時代、知り合ったばかりで仲もさほど良くなかった先輩からある日突然、声をかけられました。

 「君、ゲーム好きだって言ってたよね。俺はこのゲーム、何も理解できなかったし、EDまで到達できなかった。だから、君にこれを託す。君ならきっと理解してクリアできるはずだ」。

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 そうして手渡されたのが、「クーロンズ・ゲート」の初回限定版。ゲーム好きを公言しながらも実は情報に疎く、このゲームのことを知らなかった私は、ドキドキしながらPSにセットしました。

 このゲームの魅力は「東洋の魔窟」と呼ばれた九龍城砦(※)を描写した点にあります。ネオンで華やかに彩られながらも、路上には廃棄物が雑に置かれ、そっけない住人はそれぞれ秘密を隠し持っている……。今でこそアジアの街を舞台にした作品はありふれていますが、本作が登場した当時(1997年)は珍しかったのです。当時のゲームの舞台と言えば、宇宙か西洋的なファンタジー世界のような、美しく整然とした場所でしたから。

九龍城砦:俗に「九龍城(クーロンじょう)」と呼ばれる、かつて香港に存在した巨大なスラム街。その姿にはアヤしい魅力があり、映画などの舞台にも選ばれている

 天井を這うパイプ、汚くはがれかけたポスターまで細かく描写された世界。そして、本作の音楽監督・●島邦明さん(はいしまくにあき/●はくさかんむりに「配」)のサウンドスケープ。遊び始めてすぐこのゲームに引き込まれ、「こんな世界があったんだ、この世界をもっと知りたい……」とプレイする手が止められなくなりました。

 はっきりとした答えのないストーリーと相まって、私はあの猥雑な街の魅力に取りつかれ、現在も心とらわれたままでいます。もう23年たってしまいました。

 今でも時折、特にクリアを目指すわけでもなく、旅行気分で九龍の街々を行ったり来たり。地面や張り紙、人々を観察しているだけで楽しいですね。また、本当の香港まで行って、PSPに入れた「クーロンズ・ゲート」を遊んだりもしていました。ちなみに、一番好きな場所は大井路です!

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世間ではクソゲーと言われている理由

 前段で「はっきりとした答えのないストーリー」と申しましたが、ここに理由の一点があると思われます。また、ゲーム内容が単調なお使いであることも一因ではないかと推測しています。明快な勝ち負けやカタルシスを求める方々には向かないでしょう。

クソゲーとされる理由に納得できるか

 納得できます。このゲームはあまりにも類を見ないものだからです。

 ただ、ハマった人の心には永久に残り続ける作品と思います。私は「クーロンズ・ゲート」のEDを迎えた後も不条理の世界から去りがたくなり、攻略本『コンプリート クーロンズ・ゲート』で挙げられているゲーム制作時のイメージソースとなった映像作品や小説を読みふけっていました。

 最近は毎年のように「クーロンズ・ゲート」のニュースがあり、その時々のイベントには欠かさず参加してます。ファンの皆さまや制作陣のクーロン愛が熱いですね。もちろん、2021年秋発売予定の「クーロンズリゾーム」もとても楽しみにしております。クーロンの地下茎(リゾームは地下茎の一種のこと)は終わりなく、永遠に伸び続けることでしょう。

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