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WACK渡辺淳之介の言葉はどのようにクリエイトされているのか 思考のプロセスを聞いてみた(1/2 ページ)

渡辺「カタカナの方が個人的にはいい」。

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 「アイナ・ジ・エンド」「セントチヒロ・チッチ」「ファーストサマーウイカ」「キャン・GP・マイカ」――一度見聞きしたら記憶に残る芸名の数々。BiSHやBiS、豆柴の大群、WAggなどを擁する音楽プロダクション「WACK」所属アーティストの名前はどれも独創的なものばかりです。

 その全ての名付け親とされているのが、WACK代表取締役の渡辺淳之介さん。その頭の中はどうなっているのでしょうか。WACKアーティストの名前にまつわるエピソードや名前の付け方に始まり、アイドルとインターネットの関係性や、コロナ禍の話などさまざまなお話を聞いてみました。


WACK代表取締役の渡辺淳之介さん(撮影:こた

感覚的にはたけし軍団に近い

―― WACKアーティストへの命名は、本人からの希望をある程度聞く、一方的に決める、だとどちらに近いのでしょうか?

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渡辺淳之介(以下、渡辺) 一応希望は聞いていますが、お任せしますという子もいれば、自分で決めてくる子もいます。最初、それこそBiSHのときは6案くらいをそれぞれに渡して決めてもらっていたんですが、最近はおかげさまでちょっと変な名前をつけてほしい子たちが集まってきているので、ぱっと思いついたもので決まることがほとんどです。最近だとほぼ100%そんな感じで決まっています。

 感覚的にはたけし軍団に近いかもしれません。たけしさんが「おまえ、なべやかん」といえばなべやかんになる、みたいな。

―― ちなみに、渡辺さんが一番気に入っている名前は?

渡辺 もう辞めちゃったんですけど、「ペリ・ウブ」は良い名前だったなと。僕がポストパンクバンドの「ペル・ウブ」が好きっていうだけの安直な理由なんですが(笑)。

―― 命名するときに何か決めごとなどはありますか? 本名を絶対使うとか。

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渡辺 本当にぱっと思いついた感じではあるんですが、名前をもじったものが多いかもしれません。とはいえ、本名を使っている子もいれば、全然使っていない子もいたりするので……ただの思いつきなことが多いです。

 ただ、1つこだわりがあるとすれば、カタカナの方が個人的にはいいなと思っています。その理由は、記号っぽさがいいなと思うのと、あとは誰でも読めること。漢字を使うときも、誰でも読める簡単なものしか使っていないです。

――気に入らないなとか、ちょっとそれ違うみたいな意見がメンバーから出ることってあるんですか?

渡辺 ありますあります! アイナ・ジ・エンドはどれも気に入らなかったみたいで、自分で決めてきました(笑)。僕は「これにしろ」という気もないので、それで大丈夫ですし、やっぱり自分の芸名なので自分で気に入らないとどうしようもないので。

 でも、いろんなアイドルやバンドの方が、自分の名前にしろ、グループ名にしろ、いろんな名前をつけているじゃないですか。多分、彼らも最初はめちゃくちゃダサかったと思うんですよ。それこそ、周りからも「変えた方がいいよ」なんて言われてたかもしれない。でも、それが中野サンプラザに行って、武道館に行って、となると勝手にかっこよくなるんです。

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 だから、有名になれば何だって大丈夫だと思っているので、名前が人気を左右するとは思っていないし、こだわりがめちゃくちゃあるわけでもないです。

―― 名前にまつわるメンバーとのエピソードで、思い出深いものがあれば教えてください。

渡辺 BiSHの「モモコグミカンパニー」って子は、最初「モモコグミ.inc」だったんです。某アイドルグループをもじったのですが、本人に拒否られてしまって。それで、「inc」が「インコーポレート」なので、じゃあ「カンパニー」かなって。

 でも、僕は彼女の名前は「モモコ薬局」にしたかったんです。それが選ばれなかったのはいま思い出しても悔しいので、かなり悔しかったんだと思います(笑)。

モモコ薬局だった世界線もあり得た……?

―― 「モモコグミカンパニー」が定着した今だとしっくりきますね。ちなみに、「モモコ薬局」のポイントはどこだったんですか?

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渡辺 やっぱり慣れなんですよね。最初は違和感があっても、受け入れられる。定着というか、刷り込み。「モモコ薬局」は完全に音です。「モモコ薬局」ってちょっと言いたくないですか?

―― 語感はすごくいいです! 芸名ってすごく不思議だなと思っていて、本名よりも芸名を名乗る期間が長い人もいれば、本名よりもなじんでいる方もいっぱいいて。渡辺さんにとって芸名とはどういうものですか?

渡辺 僕は芸名を使ったことがないので何とも言えないですが、アーティストにおいては、芸名はあった方がいいと思っています。

 アーティストって、自分の才能というか、自分の身体を張ってお金をもらうわけじゃないですか。そんな中で、別人格がいないとどうしても壊れてしまうんじゃないかと。きっと僕が想像する以上に、矢面に立っている方たちは、芸名があることで守られているんじゃないかと思っています。

―― 本名で活動していて、炎上や叩かれることですごく苦しい思いをしている方がたくさんいます。

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渡辺 そうですね。いまはネット社会なので、本名が分かっていると、消せないものがいっぱいある中で、いろんな過去のものが出てきやすくなってしまっているじゃないですか。WACKのアーティストたちも、本名や年齢は基本的に非公表にしていますが、そこもあくまでも偶像であるべきだという考えからです。

WACK渡辺さんの命名プロセスを見てみたい! 無謀にも頼んでみたら……

―― ……すごくいいお話が聞けている中で突然ぶっ込んで大変恐縮なのですが、さらに深いお話をお聞きする前に、ぜひ実際に名前を考えているところを見せていただきたいなと思って。……わたしに名前を付けていただけないでしょうか!

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