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「19XX」はなぜ今回収録できたのか? 「カプコンアーケードスタジアム」開発者インタビュー今日書きたいことはこれくらい(2/3 ページ)

出発点はシンプルに「全部やる」だった。

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「19XX」なぜ収録できた?

しんざき:今回、今までなかなか移植されていなかったタイトルが複数収録されていますが、そのあたり意識して選定された部分ってあるんでしょうか?

松田D:特別に意識したわけではないんですが、もちろん「今まで一回も移植されていないタイトル」は訴求ポイントの一つなので、ユーザーの声も検討しながら、いろんな人に動いてもらいました。「今なら頑張れるんじゃないか」というタイトルを選んでいった結果、何とか出すことができた、という感じです。もちろんまだまだ頑張りたい部分はあるんですが、そこは「なるべく早めに」という部分との兼ね合いで、今回のラインアップになりました。

待望の初移植となる「19XX - The War Against Destiny」

しんざき:ユーザーの声を検討しながらというのは、例えば2013年の「カプコンアーケードゲーム総選挙」なんかも参考にされたり?

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松田D:カプコン30周年の企画ですよね。もちろんそこだけではないんですけど、そういうデータも集約した上で、SNSをはじめ複数のチャンネルを参考にしつつタイトルは選定しています。あと、実は弊社の品質管理部門がコアユーザーの集まりみたいな感じでして、そこの意見も参考にさせてもらいました。

しんざき:タイトル個別の話もお聞きしたいんですが、今回「19XX」が国内国外問わず初の移植になりますよね。今まで「19XX」の移植検討が行われたことはあったのでしょうか。また検討されていたとしたら、移植に至らなかった理由は何だったのでしょう。

松田D:正直「これが障害だった」とはっきりいうことはできないんですが、自分としては「今まで出ていないからこそ出したい」という思いは強かったです。

岡部P:時間がたってしまうとどうしても、当時何がダメだったのかという理由のトラッキングが困難な場合もあったりするんですよね。私たちが今回調べた範囲では「これは大丈夫だな」という感じでした。

しんざき:以前からシューティング好きの間では都市伝説みたいなものとして、「CPS2基板のシューティングは移植されにくい」みたいな話がありまして。

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岡部P:ああ、はい、確かに。

しんざき:今回だと「19XX」「プロギアの嵐」「ギガウイング」「1944」はCPS2だと思うんですが、他にも例えば「アルティメットエコロジー」とか「グレート魔法大作戦」とか。実際「CPS2基板からの移植はしにくい」ということってあったりするんでしょうか?

「プロギアの嵐」も長らく移植が待ち望まれていたタイトルの一つ

松田D:それでいうと、権利や契約関連などで“壁”があるタイトルが多く、それが理由の一つだと思います。今回もCPS2関連でクリアしなければいけない問題って多かったので、そういった面からCPS2関連の移植が少ないと思われていた部分はあるかもしれません。

しんざき:今回収録されたタイトルで、そのあたりが大変だったものってありますか?

岡部P:商標関連はいろいろありましたね。

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松田D:会社として、権利関係の確認やハンドリングが結構大変でした。契約関係もいろいろとありますね。

しんざき:ローカライズについてはどうでしょう。例えば英語版と日本語版でテイストが変わるゲームもあると思うんですが、そういったゲームはどちらに準拠していますか?

松田D:いい質問ですね。今回、ほとんどのゲームは日本語版と英語版の両方を収録していて、簡単に切り替えられるようになっています。一部、例えば海外版のタイトルにちょっと権利的に問題があったりして、片方しか入ってないのもあるんですが。

しんざき:ああ、それは「なんとかワールド」みたいなヤツですかね?

一同:(笑)。

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しんざき:「U.S. Navy」なんかも両方入っています?

松田D:「U.S. Navy」は英語版と日本語版両方入っていますね。日本語版を選択すればちゃんと日本語版グラフィックが表示されます。

しんざき:(デモ画面とか全部確認しよう……)。

松田D:そう考えると、収録ゲームは32本ですが、ある意味倍楽しめると。

岡部P:プロデューサーとしても「64本収録!」といいたいところではあるんですが(笑)。

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「U.S. Navy」(さすがに「エリア88」にはならないみたいです)

「ゲームで遊びながら隣のゲームをチラ見」もできる

しんざき:追加機能についてもお聞きしたいのですが、今回個人的には「フィルターや背景などの再現機能」がすっごく印象的でして、これはすごいこだわりだぞ、と。ああいう環境再現みたいな機能はどなたの発案なんでしょうか?

走査線はもちろん、ブラウン管モニターのゆがみも再現

松田D:基本的には私の方で、あれをやりたいこれをやりたいと考えましたが、もちろん、開発メンバーからも積極的に声をあげてもらい良い物は即採用という感じで進めました。ちなみに今回のきめ細かな巻き戻し機能はプログラマーからのアイデアです。今回こだわったことが大枠として2つありまして、一つは純粋にプレイするときの雰囲気作り。もう一つは「ゲームを選択するとき」の雰囲気作りです。画面フィルターでいえば例えば走査線ですとか、当時のブラウン管モニターを再現するために画面を湾曲させたりとか。で、さらにより当時そのままの雰囲気を感じていただけるように、画面の外側にある“筐体”も完全に3Dモデルで作っています。だから例えばゲームをプレイしているときに、ちょっと隣のゲームをチラ見するみたいなこともできたりしますね。

ゲーム選択画面。筐体がずらっと並ぶ様子はゲームセンターさながら

しんざき:本当にゲーセンさながらですね……!

松田D:そうですね、まさに「ゲーセンにいるような」ということを考えていました。ゲームを選ぶ部分にもこだわっていて、3Dの筐体をずらーっと並べて、今回収録されているタイトルのムービーを全部流していますので、実際にゲームセンターでゲームを選んでいるような感覚になれると思います。ゲーム筐体も1種類ではなく、例えばミニキュートとか、ステイタスとか、インプレスとか、「どの筐体で遊ぶか」というのもゲームごとに選べますので、自分だけのゲームセンターのような配置にして、ゲーム選び自体を楽しめるように作ったつもりです。

しんざき:どの筐体に座るか、というところから楽しめると。

松田D:そうですね、ぜひそこは迷っていただけたらと。

しんざき:既に「19XX」と「プロギアの嵐」と「ギガウイング」のどれから遊ぶか迷ってます……!

当時の筐体も3Dでしっかり再現

しんざき:この手のコレクション系ゲームとしては、スピード切り替え機能があるのも珍しいですよね。遊びやすくなる部分もあれば、難しくなる部分もあると思うんですけど。

松田D:メインのターゲットはもちろん、当時アーケードで遊んでいた人たちなんですが、それだけではなく、当時遊んでいなかった人たちにも幅広く遊んでほしいという思いがあり、ゲームスピード変更や巻き戻し機能などは、そういう人たちでも遊びやすいように、と思って追加した機能です。

岡部P:ゲームスピードについては、コントローラーの好きなボタンに機能を割り振って、ワンボタンで簡単にスピードを速くしたり、遅くしたりもできます。

ゲームスピード設定があるのは珍しい

松田D:ちなみに、ボタンを押している間だけ遅くする(速くする)といったこともできます。「この後すごい攻撃が来るな」っていうタイミングでスピードを遅くしたり、あるいは上級者向けに逆に速くしたりとか。よりマニアックにプレイできる仕掛けを入れてあります。

岡部P:やっぱり昔のゲームって難易度高いですからね。「久しぶりにやってみたら難しすぎて無理だった」ってなってしまうとすごく残念なので、あらためて遊ぶにあたって「ちょっとスローにすると最後までできるぞ」みたいなのはすごく重要なポイントだと捉えています。だからぜひ最後まで諦めず、当時の思いに浸りながら続けてもらえるといいかなーと。

しんざき:私「大魔界村」で挫折した組です……。

岡部P:行けますよ最後まで!

しんざき:今のお話を聞いて「大魔界村」と「ストライダー飛竜」はやりこもうと決めました!

岡部P:ストライダーは難しいよなー。

松田D:あれは落ちますよね。

しんざき:100回落ちます。

ミスしてもすぐに手前まで戻すことができるリワインド(巻き戻し)機能

しんざき:細かい話ですが、ボタン設定とかはどうでしょう? 「19XX」でいうと、ショットボタンに溜めがあるんで、連射ボタンと溜め用のボタンをそれぞれ使いたい、みたいなことがあるんですが。

松田D:基本的にどのタイトルも、通常のボタン(ジャンプや攻撃など)に加えて連射ボタンなんかも標準で割り振ってあります。さらにゲームごとに細かいセッティングもできるようになっているので、ボタンが足りないということはないんじゃないかと思います。

しんざき:同時押しボタンなんかも設定できたりします?

松田D:いくつかのタイトルでは欲しがる人もいるだろうと思ったので、ちゃんと仕込んでありますよ。

しんざき:素晴らしい……!! 当時ゲーセンで遊んでいないと思い付かない機能ですよね。

松田D:開発スタッフにも、アーケード世代の人間もいれば若い人もいますので、両方の視点からうまく意見を取り入れられたと思います。当時のゲームはこうでなくちゃ、という声もあれば、今のゲームだったらこういう機能もあるべきだよね、という声もあって、どちらから見てもかゆいところに手が届くようになったと思います。

しんざき:そういうのを交通整理するのは大変じゃなかったですか?

松田D:そこはまず自分として「こういう機能は外せない」というところを提案した上で、それに沿って開発がどこに落とし込めるかを考えていました。最終的に自分のフィルターを通するようにはしているので、散らからないようにはしているつもりですが、あとは実際リリースされたらユーザーの意見もぜひ聞いてみたいですね。

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