77歳で「細菌撲滅」を遊び続けるおばあちゃん―― 高齢ゲーマー4人に聞いた、彼らが「ゲームで遊び続ける理由」:オタクの老後(1/4 ページ)
ゲームは「老後の趣味」たり得るのか。
ゲームを趣味とするゲーマーは、何歳までゲーマーであり続けるのでしょう。「仕事や子育てで忙しい」など、ゲームで遊ばなくなるきっかけはいくつもありそうですが、あえて続けるのにはどんな理由があるのでしょうか。また、そもそもゲームは“終生の趣味”たり得るのでしょうか。
ファミリーコンピュータの発売は1983年。TVゲームに限っていえば、最初期のゲーマーがようやくおじいちゃん、おばあちゃん世代になろうとしているところです。高齢のゲーマーに、今でもゲームで遊び続けている理由を聞けば、「オタクの老後」を考える一助となるかもしれません。
今回、その手掛かりをくれそうな50歳~70歳代のゲーマー4人に話を聞きました。取材に応じてくれたのは、駈歩(かけあし)さんの祖母(77歳)、hobbitさん(69歳)、きららさん(50歳)、そして元ゲーム開発者だった安田圭吾さん(62歳)です。
取材を通して分かってきたのは、彼・彼女らがゲームそのものよりも、ゲームの向こう側にあるものを見据えているということでした。
連載「オタクの老後」
この連載はねとらぼとYahoo!ニュースの共同連携企画です。90歳の「ゲーマーおばあちゃん」が注目されるなど、昨今、高齢者でもオタク趣味を持っている人は珍しくなくなってきました。いわゆる「オタク第一世代」(1960年代)も60歳を超え、「オタク」と「老後」は今後より身近なテーマになっていくと考えられます。オタク趣味とどのようにして長く付き合っていくべきか、老後の人生を満喫するためのヒントを全4回の連載で伝えます。
10年以上、毎日「細菌撲滅」をプレイし続けるおばあちゃん
「ゲームを教えてくれた孫には感謝しています。これからも遊び続けます」と語るのは、Twitterユーザーの“駈歩”さんのおばあちゃん(77歳)。高齢のゲーマーを取材したいと呼びかけたところ、孫の駈歩さんから連絡があり、駈歩さんを通じて取材することができました。
駈歩さんのおばあちゃんは、かれこれもう10年以上「細菌撲滅」というゲームにハマり続けています。かつて大ブームとなった「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」(ニンテンドーDS)に収録されていたミニゲームで、パズルゲーム「ドクターマリオ」のルールが元になっています。
きっかけは、駈歩さんたち孫が「もっと脳トレ」とDS本体をおばあちゃんにプレゼントしたことでした。時々わいわいと遊ぶパーティゲームの遊び相手になってくれているおばあちゃんなら「脳トレ」も楽しんでくれるのでは、と考えたそうです。
結果、おばあちゃんは見事に「脳トレ」にハマり、以来ほぼ毎日同ソフトに収録された「細菌撲滅」を続けてきました。ゲーム内のカレンダーには、その日に遊んだことを示す「済」マークが並んでいます。
もともと新聞のクロスワードパズルが好きなおばあちゃん、「細菌撲滅」も家事の合間や寝る前などに遊んでいます。タッチペンの筆圧が強すぎるのか、DSの画面が見えなくなるほど傷ついたため、ゲーム機本体を2度も買い換えたそうです。
おばあちゃんにとって、ゲームはあくまでも頭の体操。脳の活性化になればと遊び続けてきたようです。
同じ目的で、おばあちゃんはゲームセンターにも月に2~3回(コロナ禍以降は月1回に)足を運んできました。ここで遊ぶのは「グランドクロス」というメダルゲーム。駈歩さんによると、こちらも10年近くハマっているようです。日中はゲームセンターにも高齢者の姿が多く、会えばあいさつをかわす人も何人かいるのだとか。
おばあちゃんはゲームを続ける理由について「一人でいても退屈しないし寂しくならない」と語ります。おばあちゃんは現在、駈歩さんのおじいさんと2人暮らし。昼間はおじいさんが畑仕事や町内会の仕事などで出かけることが多いため、そんなときの暇つぶしとしてゲームはぴったりでした。特にコロナ禍で外出しにくい昨今、「ゲームを教えてくれた孫には感謝している」とおばあちゃん。「暇を持て余すことがなくなり、人生に楽しみが増えて、それだけ人生にゆとりができた」とも語ってくれました。
ただ「細菌撲滅」とメダルゲームについては「飽きずに遊び続ける」とする一方、「新しいゲームを開拓する気はありません。この年齢になると『冒険』をする気も起きないんです」と、あくまでマイペースで遊んでいるようです。
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