シュールで社会派でカルト! ジョージア・ロシア合作のアニメ映画「クー!キン・ザ・ザ」レビュー(1/3 ページ)
クー!
ジョージア・ロシア合作の風変わりなアニメ映画「クー!キン・ザ・ザ」が、5月14日より公開されている。
緊急事態宣言が延長となり、東京都および大阪府では引き続き多くの映画館が休業を余儀なくされているものの、複数のミニシアターは5月12日より営業を再開した。本作はヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺、川崎チネチッタで無事に上映がスタートとなった(以降も全国で順次公開予定)。
結論から申し上げれば、この「クー!キン・ザ・ザ」は変わったアニメ映画を期待するなら取りあえず見た方がいい、精神的にまいってしまうことも多いであろうコロナ禍では、その「ゆるさ」込みで一種の清涼剤になる映画だった。独特の魅力を、以下に記していこう。
マイペースすぎるおかしみ
この「クー!キン・ザ・ザ」は、1986年にソ連で製作され、今に至るまでカルト的な人気を誇る実写SFコメディー映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」のアニメ版リメイク作品である。
「不思議惑星キン・ザ・ザ」および「クー!キン・ザ・ザ」のあらすじを端的に言えば、「突如として謎の惑星にワープしてしてしまったため、何とかして地球へ帰還する方法を探す」というものだ。
普通であれば、いきなり見知らぬ、しかも一面砂漠しか見えない惑星にワープしてしまったら、嘆き苦しみパニックになってしまいそうなところだが……「クー!キン・ザ・ザ」の主人公2人はそうではない。特に青年のほうは、のんきに携帯で記念撮影をしたり、宇宙人との物々交換をするなど、マイペースでその場に適応していく。だいたいのシーンで「まあ何とかなるだろ」な感じのゆるさ&ローテンションなのだ。
とても必死に地球へ帰る方法を探しているようには見えず、宇宙人に次々と遭遇しても全く動じない態度そのものが、良い意味で「何だこれ?」なおかしみを呼ぶ。そんな道中のほんわかとした雰囲気こそが、むしろ魅力となっている。
そんな主人公2人が出会うのは、穴を掘って移動するロボット、6輪車に乗って移動する老夫婦、皆に恐れられる警官など、一筋縄ではいかない奇天烈な者ばかり。宇宙人たちのボケボケぶりと、それに対する冷静なツッコミが楽しく、次にどんなヘンテコな宇宙人が出てくるんだろう? ということだけでも、楽しく見られるだろう。
アニメ化でシュールさがパワーアップ
今回の「クー!キン・ザ・ザ」は、「不思議惑星キン・ザ・ザ」とは主人公2人の職業が違っていたり、携帯電話(ただし2013年製作なのでまだガラケー)が登場するなど、変更された設定もある。だが、「異星へワープしてしまったので帰る方法を探す」という基本プロットはほぼそのままだ。
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