ニュース

『はらぺこあおむし』の版元、毎日新聞の風刺漫画を批判 「おそらく絵本を読んでいない」(1/2 ページ)

痛烈に批判。

advertisement

 世界中で愛されている絵本『はらぺこあおむし』の出版を手掛ける偕成社は6月7日、毎日新聞が5日掲載した風刺漫画への抗議を、今村正樹社長名義で掲載しました。

 風刺漫画は「エリック・カールさんを偲んで… はらぺこIOC」と題し、あおむしに扮するIOCのバッハ会長らが、リンゴならぬ「ゴリンの実(放映権)」を食す姿を描いたもの。イラストレーターのよこたしぎさんが、1998年から続くコーナー「経世済民術」上で発表しました。

 偕成社側は、風刺を行うこと自体は表現の自由の観点から異議を申し立てるものではないとしつつも、『はらぺこあおむし』のテーマである「あおむしのどこまでも健康的な食欲と、それに共感する子どもたち自身の『食べたい、成長したい』という欲求」が、金銭的利権への欲望を描く今回の風刺には不適当であると指摘。

advertisement

 「『偲ぶ』という言い方をしていますが、おそらく絵本そのものを読んでいない」と前置き、「もし読んだうえでこの風刺をあえて描こうとしたのだとしたら、満腹の末に美しい蝶に変身する結末をどのように考えられたのでしょうか」として、作者と掲載を許した編集者双方に対し「不勉強、センスの無さを露呈したもの」と痛烈に批判。さらに毎日新聞に対しても猛省を求めたいとしました。

 今村社長による声明文は9日になりSNS上で広く拡散されはじめ、「完璧で冷静で痛烈なコメント」「『出版社が著作物を守る』というのはまさにこういうこと」と、称賛を集めています。

 『はらぺこあおむし』の作者であるエリック・カールさんは5月23日に91歳で死去。偕成社とカールさんの親交は、同作が出版された1969年ごろから続くもの。当時、作中のしかけの製本技術が米国の出版社に無かったことから、カールさん側が偕成社に技術協力を依頼したことに端を発します。

 カールさんは2021年3月、作品の刊行45周年記念に寄せて、日本の読者に向け「この45周年は、『ユーモア』『優しさ』『成長』という『はらぺこあおむし』のテーマが普遍的であることのあかしです」とのメッセージを寄せていました。

※当初カールさんと偕成社の親交が1970年代から続いていたと記載していましたが、『はらぺこあおむし』が初めて発売されたのは1969年のため、本文を一部修正しました。また日本版の初版は1976年発売です(15時追記)

『はらぺこあおむし』は2021年に刊行45周年を迎えた(画像はAmazon.co.jpより
       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

記事ランキング

  1. 「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
  2. 川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
  3. 中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
  4. 大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
  5. 「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
  6. 猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
  7. なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
  8. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  9. 大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
  10. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」