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Netflixがフランス映画業界に年間最低39億円出資する「歴史的協定」 映画館生き残りに希望

「Netflix問題」で対立していたカンヌ国際映画祭とも和解できるのかも?

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 2月22日、米動画配信サービス「Netflix」とフランスのBlic、Bloc、ARPに代表される映画業界は、定額制動画配信と映画館の間における協定を結んだことを発表しました。主にNetflixは期間限定の独占配信、フランス映画業界はNetflixからの出資によって合意。同国のメディアは「歴史的な協定」などと報じています。


Netflixとフランス映画界は対立していた時期も(画像はARP公式サイトから)

 今回結ばれた協定は3年契約。まずNetflixは、フランス語で制作される映画に年間最低3000万ユーロ(約39億円)の出資を保証。事前融資額のうち少なくとも17%を、予算が400万ユーロ(約5億2000万円)以下の映画制作へ割り当てます。

 さらに年間最低10作品に事前融資するとのこと。これによりフランス語で制作される映画の多様性と本数を保つことが期待できます。2022年のフランスとヨーロッパの映画への総投資額は4000万ユーロ(約52億円)にのぼる見込みとのことです。

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 フランスにおける年間売上高の4%を出資することになるNetflixは、その代わりにフランス国内で劇場公開された作品をその15カ月後から7か月間、どこよりも早く独占配信する権利を取得。これまでフランスでは法律によって劇場公開から36カ月後までストリーミング配信することはできませんでした。


これに続く国もでてくるかも(画像はARPのInstagramから)

 近年、映画を「第7芸術」と呼ぶフランスでは動画配信サービスとの攻防が続いていました。

 2017年の第70回カンヌ国際映画祭ではいわゆる「Netflix問題」が発生。劇場公開から動画配信まで36カ月待たなければならないフランスの法律に沿わず、劇場未公開でNetflix配信されたノア・バームバック監督の「マイヤーウィッツ家の人々 (改訂版)」とポン・ジュノ監督の「オクジャ/okja」が同映画祭のコンペティション部門で上映されたことにフランス映画業界から批判が噴出しました。


のちに第72回カンヌ国際映画祭で映画祭でボン・ジュノ監督はパルム・ドールを受賞、第74回同映画祭のオープニングに登場した(画像はカンヌ国際映画祭のInstagramから)

 同映画祭側は「スクリーンで観られる映画にのみ賞を与えるべき」との姿勢を崩さず、同2作品のフランス劇場公開を求めていたが受け入れられなかったとし、新しく「フランスで劇場公開されていない作品はコンペティション部門で上映することができない」というルールを設置。

 これに対しNetflixの共同CEOテッド・サランドスは米VARIETY誌の独占インタビューで「私たちは、私たちの映画がほかのすべてのフィルムメーカーと公平な立場になることを望む」とコメントし、劇場公開から動画配信リリースまで3年も待たなければならないことがNetflixの原理とかみ合わないことなど説明しました。

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 なお、ベルリン国際映画祭などいくつかの映画祭は動画配信サービスのオリジナル作品に寛容な立場を取っています。

 また、2020年には新型コロナウイルスの影響を受け、米ウォルト・ディズニーが、映画「ムーラン」の劇場公開を中止したうえで、動画配信サービス「Disney+」で配信。これは映画館の存続が危ぶまれる出来事だと多くの映画関係者が危惧し、長期間コストを掛けてプロモーションしてきた映画館側は失望と怒りをあらわにしました。

 このときフランスの映画館「Cinepal'」のオーナーであるジェラール・ルモワンは、劇場公開中止に抗議するためバットで「ムーラン」のパネルを破壊。怒りが直接的に伝わってくるような姿は国内外のメディアで報道され、話題を呼びました。

報道されたジェラール・ルモワンの抗議動画

 そのルモワンは今回の協定に関しても「これでNetflixは2023年か2024年にカンヌ国際映画祭に出品できるのか?」とツイートし少し慎重な様子。

 さまざまな思惑が飛び交うことは予想されますが、動画配信サービスと映画館の共存が期待される今回の協定がうまく進めば、同じ不安を抱える他国の映画館にとっても1つの希望となるかもしれません。

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今回の協定は喜ばしいことなのか?

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