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ゆるふわ女子の日々を眺めながら、凄惨な中学生の悲劇を追う 2回目の「Project:;COLD」は情報量マシマシ、エモさマシマシあのキャラに花束を(2/5 ページ)

謎解きに必要な情報もノイズも、制作者の愛でいっぱい。

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「case.633」の、ゆるふわ女子集団みやまんルート

 ここで一つ押さえておかないといけないことが出てきます。最初の事件は「物語」であることを伏せていました。しかし2回目以降があるならそれは、作り手がいるフィクションであることを、参加者が意識するところからスタートすることになります。「case.613」はみやまんが身近な存在であったがゆえの切迫感がありましたが、物語だと分かってしまえばよくも悪くも「キャラクターなんだよな」と俯瞰して、没入はどうしても薄くなります。

 2回目の「case.633」はここを大きく二つの物語に分けて進行させたことで、親しみのある没入感と、ハラハラする謎解き感を成立させました。

 一つ目の筋として、卒業して1年たったみやまんが続投で登場。6人の日々を話題にした、ごくごく身近感のある、女の子たちの青春日記が描かれました。こちらのみやまん6人は「全員死亡」した世界線を回避しているので、以前事件に巻き込まれていたこと、融解班の力で救われたことを知りません。血生臭さゼロです。仲良し展開続きで、癒やし度満点、毎日ニヤニヤしながら眺めていられます。

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 ここで起きる事件というのは「みやまんのバンドを存続するか否か」とか「両親との話し合いができるかどうか」とか「名字から名前を呼ぶように変わった」とか、そういうレベルです。よかったなあ、うれしいなあ。それが一般的な子の大事件だよなあ。死ななくていいんだよ、こういうのも見たかったんだよぼくは。

 3月いっぱい、6人は一斉にTwitterを運用しました。すさまじい勢いで1日何回もツイートを行いはじめました。見るたびに全員の性格と生き方の解像度が、あがるあがる。運営側が毎日彼女たちが実際に生きているようにSNS上で実在させていた労力、すさまじいものがあります。

Twitterでウケる文章の作り方よく分かってんねえ
やってるんだね、エルデンリング。

 心底ゆるっゆるな上に「ツイのオタク」感むき出しな森いちごのアカウント(@strawberry_fore)は、今からでもさかのぼってみると面白いのでかなりオススメ。ツイートの連投を隅々まで見ても、絶対事件の謎の布石とかないですこの子。ゲームの話と、実家の喫茶店で働いている話と、「早く仕事終われ」という話ばかりです。はやりのネタも入れてくるあたりで、確実にオタクの心を貫いてきます。

日常でまず出て来ない名前
主人公感がすごい。マイペースなこともありますが、こういう子だからこそみやまんが動けたのもよくわかる一ヶ月でした

 元気すぎて周囲にバフをかけまくって巻き込んでいくタイプの爆走娘、佐久間ヒカリ(@hikari_miyaman)は、以前からマイナー料理の名前をあげて「食べたい」と言い続けていたのですが、今回は更に加速、料理写真もアップしています。この子常に動いており、四六時中なにかしら用事が詰まっていて常時真剣になにかしら考えているので、見ているとテンションがあがります。

応援したくなるタイプの、考えすぎちゃう子
いいよ!いってきて!こっちなんていいからはよ!!

 根は真面目で、ヒカリに引かれていて、ネガティブな自分を変えようと頑張っていて、ヒカリの話をよくする青島玲子(@aoshima_rokusen)。彼女が成長のため一歩踏み出そうとする様子はものすごくドラマティック。家族との思いやりあふれる生活はとてもあたたかく、文章がキレイなので読み応えが有るのですが、それを飛びこしたヒカリへのクソデカ感情が漏れすぎているので、彼女の発言はどうしてもニヤニヤしながら見てしまいます。

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 他にもツッコミ役でさっぱりした性格ながらも家族との確執を解消すべく悩んでいた岩永静(@iwanaga_sizu)、女優を目指して頑張り続け女子力も磨き続けるプロ感が伝わってくる綾城奈々乃(@kirakira_nanano)、SNS慣れしていないながらもツイートを頑張っている星野理也(@riya_hoshino)と、1カ月分のそれぞれのツイート量は膨大。かなり頻度が高いので、6人がどういう生活を送っているかほとんど丸見えです。

 個々の人生の(死なないレベルの)問題を乗り越え成長している様子がリアルタイムで見えること、ときには融解班のアンケートも影響してくること(例・岩永静が両親に会いに行くかどうかなど)もあって、みやまんの1月の行動の様子だけで、一つのリアルタイムコンテンツとして成立しています。情報はTwitterとYouTubeにすっきりまとまっているので見やすく、次に話すもう一個の惨劇の話題抜きでも十分楽しめます。いわば、片方が片方のスピンオフみたいな「接点はあるけど全部がかみ合っているわけではない」並列な作りでした。

 

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