楽天でんきの「燃料費調整制度の上限価格撤廃」がTwitterで話題 電気料金が青天井になっちゃうの? 楽天に話を聞いた(1/2 ページ)
楽天に話を聞きました。
楽天でんきが、「燃料費調整制度の上限価格撤廃」を発表。一部Twitterユーザーの間で、「楽天の電気料金は青天井らしい」「今月の電気代は10万円ですみたいなことも起きるわけか」と不安の声が広がっています。編集部では楽天に話を聞きました。
まず簡単に、電気料金の「内訳」についておさらいしておきましょう。電気料金は、契約口数に応じてかかる「基本料金」、使った電力量に応じてかかる「従量料金」、燃料価格で変わる「燃料費調節額」、そして電力会社が買い取った再生可能エネルギーの費用を利用者が一部負担する「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、この4つの合計が電気料金として請求される仕組みになっています。
今回焦点になっているのは、このうちの電気を作るための燃料価格によって変動する「燃料費調節額」。楽天はこれまで、実際の燃料の(3カ月間の)平均価格が、想定していた燃料価格を超えたとしても、想定していた燃料価格の1.5倍を超えない形で「燃料費調節額」を計算するとしていましたが、今回これを改定。1.5倍の上限を撤廃し、たとえ何倍になったとしても実際の平均価格で計算することにしたということになります。
昨今、原油価格の高騰が続いていますし、新規参入の小売り電気事業者の電気料金が何倍にも膨れ上がってしまったというニュースを見た人も多いと思いますから、「上限価格撤廃」というキーワードに不安を覚える人が多いことは深く理解できるところです。
編集部で「電気料金が無制限に上がってしまう可能性があるのか?」と楽天に問い合わせたところ、以下のような回答がありました。
担当者:燃料調整単価は、平均燃料価格の上昇に応じて設定されます。燃料価格の上昇幅以上に燃料調整単価が設定されることはありません。
楽天によれば、2022年4月の燃料費調整単価について、「上限なし」で計算したとしても、「上限あり」と比べて1kWhあたり最大で0.81円程度の値上がりになっていたとのこと。(一般的な家庭の「年間電力量」は4322kWhといわれているので、年間で計算すると3500円程度の値上がり)。
原油価格は値上がり傾向とはいえ、何十倍にも値上がりする可能性は低いということと合わせ、電気料金は前述したように4つの異なる料金を合算したものであり、全体で見ると大きな割合を占めているとはいえない「燃料費調節額」が値上がりしたとしても、電気料金が数十万円に……という事態になる可能性は低いと言えます。なお、「今後、電力市場を取り巻く情勢が落ち着き次第、改めて料金の見直しを行う予定」とのこと。
なお楽天でんきでは提供していませんが、「市場連動型プラン」で電気事業者と契約している場合は気を付ける必要があります。卸電力取引所の市場価格に連動して「燃料費調節額」ではなく「従量料金」の単価が決まる連動型の場合、燃料の価格によっては数倍から数十倍にまで電気料金が膨れ上がるケースがあります。
――今回の「料金改定」「燃料費調整制度の上限価格撤廃」の背景や理由について教えてください
担当者:楽天エナジーの電力調達先の1つであるJEPX(日本卸電力取引所)の電力取引価格が恒常的に高騰しております。楽天エナジーでは、これまで経費削減の工夫や電力調達先の見直しを行うなど、お客様に対し低廉な電力供給に努めてまいりましたが、企業努力のみでは電力調達価格の高騰に対応することが極めて困難な状況に至っていることから、やむを得ず「楽天でんき」の料金改定および燃料費調整制度の上限価格撤廃を実施させていただいております。
――今回の料金改定、上限撤廃についてはユーザーへの案内はしていますか?
担当者:楽天エナジーのHPでの告知、対象のお客様へのメール、およびメールが届かないお客様へのSMS配信、マイページでの告知のほか、カスタマーセンターにおいて専用窓口を設けてお客様からの問い合わせに対応しております。
今回の「燃料費調整制度の上限価格撤廃」により、価格が青天井で増えていく……という可能性は低いものの、電気料金が上がっていく傾向にあることは確かといえそうです。なお現在、楽天でんきは新規ユーザーの申し込みを停止しています。
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