男女同じデザインの“ジェンダーレスなスクール水着”はこうして生まれた 開発のきっかけや泳ぎやすさ、開発元に聞いてみた(1/3 ページ)
着用して泳いだ先生からは「全く問題はない」。
水泳用品などを手掛けるフットマークが発表した、男女でデザインが同じジェンダーレスな学校用水着「男女共用セパレーツ水着」に注目が集まっています(関連記事)。体形や肌の露出を避けたい子どもも水泳の授業が受けやすくなると歓迎する声の一方で、「泳ぎにくいのでは」と懸念する声も見られています。
さまざまな反響があった同製品について、開発のきっかけや実際に着用した人の反応などをフットマークに聞いてみました。
「トランスジェンダーの生徒が着られる水着はないか」と問い合わせ
フットマークは開発の背景として、性別問わず制服のスカート、ズボンが選べるという点では学校現場の「ジェンダーレス化」が進みつつある一方で(関連記事)、スクール水着では男女別のデザインが根強かったという現状を述べています。その上で、より直接的なきっかけもあったと語ります。
「2、3年前から『トランスジェンダーの生徒がいて、その生徒が着用できる水着はないか』という問合せが、学校水着を扱う販売店から年に3、4件ありました」(フットマーク)
当時は長袖シャツ型のウェア「シャインガード」を水着と組み合わせて肌の露出を減らせる方法を紹介することで対応していたそうですが、同時にこんな思いもあったと言います。
「学校や先生からジェンダーレスに配慮した学校の対応などを聞くたびに、専用の水着を発売したら、口には出せないけど『どんな水着を着たらよいか分からない』『周りの目線を気にして困っている』という生徒も、プールの授業を楽しみに参加してくれるんじゃないかという思いはありました」(フットマーク)
販売店からの要望に加えて、以前に実施した中学生との共同企画(関連記事)も「ジェンダーレス水着」の開発につながったようです。
「現役中学生と水着の共同企画を行った際、男子生徒たちが考案したのは上半身が長袖で、パンツは足首まで覆ったフルレングスタイプでした。男子も肌や体を見せることに抵抗があるのだと気づき、そういった声にはアンテナを張っていました」(フットマーク)
フットマーク内でジェンダーレスな水着を作りたいという声が3年前から挙がるようになり、2021年8月から開発に着手。開発で苦労した点を尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「構想自体は発売の3年前からありましたので、形にするのはスムーズでした」(フットマーク)
水着のパターン(型)は通常の水着をもとに、1枚で着ても体の線が出にくく、かつ泳ぎを妨げないよう適度にフィットする形をベテランのパタンナーに依頼。胸パッドを入れるポケットの裏地を黒くして目立たなくするなど細かな部分に配慮し、男女どちらが着ても違和感なく、必要な仕様が備わっているよう仕上げたとのことです。
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