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“マックス”は死んでも“メタル”は死なず 「メタルマックス ワイルドウェスト」の開発中止と「メタルサーガ ~叛逆ノ狼火~」への期待(2/6 ページ)

30周年を迎えた直後に開発中止となった「メタルマックス」最新作をしのんで。

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 まず、SFC以降の苦難の歴史としては「リターンズ」以降の続編展開がいったん止まってしまったことがあげられるでしょう。シイタケ栽培に手を出したり、突然「販促戦隊デコレンジャー」なる戦隊ヒーローを使った販促をやり出したりという奔放さで有名な発売元・データイーストの倒産に始まり、初期のころからシリーズは苦境に立たされてばかり。ドリームキャストで発売が予定されていて、当時のゲーム雑誌でも紹介されていた新作「メタルマックス ワイルドアイズ」はアスキーだったので大丈夫かと思いきや、発売中止となりました。雑誌を読んで「ワイルドアイズ」を待っていた自分は落胆。生誕祭で貴重なプレイ映像が見られたのはうれしかったですね……。

当時開発中だった旧「メタルマックス3」(今発売されている3とは違うもの)や「ワイルドアイズ」に関する裏話も、生放送で公開されました

 シリーズの開発が止まり、メタルマックスは1度目の死を迎えました。その後、怪しげな「モリモトナオキ」と名乗る謎の人物による投資詐欺事件などにユーザーが翻弄(ほんろう)されつつも、ときは流れて2003年。ゲームボーイアドバンスで「メタルマックス2」を移植した「メタルマックス2改」がナウプロダクションから発売され、シリーズはついに復活を……遂げませんでした。出たことは出たものの、元の開発スタッフが関わっていないこともあってか移植度は微妙に。フィールドに埋蔵されているアイテムが消失するバグなどのSFC版にはなかった不具合が存在し、曲の再現度も低かったのです。不協和音みたいな音が流れると言われたほど。その後、発売予定だった「メタルマックスリターンズ改」は発売中止となりました。確か、両方買って応募するサントラのプレゼント企画もあったのですが……。

 その後、サクセスから「メタルサーガ 砂塵の鎖」が出たことで、やっとメタルシリーズが復活(当時は商標の関係でメタルマックスではなくサーガとして復活したものの、今では兄弟のような関係)。ファンにとってはデスクルスでドラム缶を押すよりも苦しい時代が続いていたのですが、一筋の光明が見えたのです。

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移植度の低さで話題となった「メタルマックス2改」(出典:Amazon.co.jp

 PS2で発売された「メタルサーガ 砂塵の鎖」は、エリア移動時のローディングの長さや装甲タイルを0にして素早くするほうが強い、といった作り込みの甘さはあったものの、シリーズの復活を予感させるには十分な完成度。自分も楽しんだので、思い入れがあるタイトルです。そこから、生みの親である宮岡寛氏とクレアテックさんが関わったニンテンドーDSソフト「メタルサーガ 鋼の季節」が発売されて、シリーズの行く先に光明が差し込みました。

 と言えればよかったのですが……。ファンの間に見えた光明は、むしろ核爆発の光でした。またシリーズが大爆発しかかっていたのです。客観的に見るとヤバい物が出てきてしまった。いや、クソゲーではなかったんですよ。「鋼の季節」は、原作者ならではのストーリーやテキスト、根本のシステムなどは「メタルマックス」として最高でした。最高だったのですが、問題は十字キーによる移動もボタンも全ての操作にタッチペンを要求するフルタッチペンオペレーション。これが、あまりにも悪辣(あくらつ)な操作性で最低だったのです。ファン視点を捨ててRPGとして見ると最悪でした。十字キーは使えず、ただただ動かしづらい。移動も遅い。ゲームの良さを打ち消してマイナスにする酷さ。ラストダンジョンの操作で発狂しそうになることでも有名ですが、まずそれ以前にそこまでたどり着くのがつらい。

 また、操作性の悪さに加えてゲームとしての不具合があり、評判の悪さからすぐに投げ売りになっていた記憶があります。最低限、十字キー操作に対応してくれていれば……。ファンとしてはしこりの残る出来だっただけに、個人的にもリメイクしてほしいタイトル。「鋼の季節」の購入特典だった「よりぬきメタルさん」の背景に、うすーく「タッチペンはそのうちなれる!」と書いてあったのを覚えていますが、慣れませんでした。慣れの問題ではないと思います。最適化されてない操作まで全部タッチペンを強制されても……。メタルマックスシリーズは、ほかとは違う独特のセンスが人を引き付けてやまないのですが、ズレたらまずいところまでズレてしまうのは昔からあったんですよね……。

今遊んでもタッチペンオペレーションが早すぎた「鋼の季節」。せめて、スマホ時代に出ていれば……。このシリーズは、いつも思い切りが良すぎます(出典:Amazon.co.jp

 RPGの操作を全てタッチ操作に置き換えたフルタッチペンオペレーションは、スマホに最適化された今のタッチ操作と違って動かしづらく、挑戦として早すぎました。当時、ペンを持つ親指が痛くなりながら遊んだのですが、操作性とバグに悩まされまくり。宮岡氏が関わっていただけに、テキストやイベントは確実に往年の「メタルマックス」らしい内容だったのですが、そこがより悔しさを増幅しています。十字キーで操作できれば……。「鋼の季節」は通常の操作が可能なバージョンさえあれば、当時の評価が大きく変わった作品でしょう。つくづく、もったいないです。

 それ以降「メタルサーガ」シリーズはコンシューマーで発売されることはありませんでした。とはいえ、メタルというIP自体はほそぼそと継続しています。フィーチャーフォン(ガラケー)アプリの「メタルサーガ 旋律の連鎖」。mixiのブラウザゲーム「メタルサーガ ニューフロンティア」と、配信型のゲームに移行しました。どれも現在ではサービスが終了していますが、これはこれで楽しめたのとシリーズが出ない無の期間をつないでくれていました。「砂塵の鎖」から続く「メタルサーガ」シリーズには感謝しかありません。「メタルサーガ」がなければ、「メタルマックス」シリーズはそのまま死んでいたかもしれないのですから。

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