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松屋のみそ汁、一部地域で有料化! 衝撃のニュースであらためて思う、「カレーとみそ汁」の松屋らしさ(1/3 ページ)

なくなって初めてわかる味噌汁のありがたみ……。

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 松屋のみそ汁が、有料になったらしい。Twitterで見た。衝撃である。全店でみそ汁が有料になったわけではなく、8月24日時点の記事では札幌市内の11店舗で、8月23日から60円での提供になったという。ということはまだ自分の住んでいるエリアでは無料でみそ汁がついてくるわけだが、しかし「松屋のみそ汁が有料になった」というニュースは個人的にはかなり悲しいものである。

ライター:しげる

岐阜県生まれのライター。プラモデル、アメリカや日本や中国のオモチャ、制作費がたくさんかかっている映画、忍者や殺し屋や兵隊やスパイが出てくる小説、鉄砲を撃つテレビゲームなどを愛好。近所に吉野家しかないのが最近の悩み。

カレーにすらみそ汁がついてきた

 今更説明はいらないかもしれないが、今回の札幌での変更の前まで松屋のみそ汁はどのメニューにも無料で勝手にくっついてくるものだった。松屋の主力商品である牛めしなどの丼もの系メニュー、ご飯とおかずで構成された定食系メニューにみそ汁がくっついてくるのは、まだ常人の理解の範囲である。みそ汁の存在が長年疑問視されていたのは、カレー系メニューにおいてだった。

松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」

 松屋のカレー系メニューはガチ度が高いことは、よく知られた話である。創業者である瓦葺利夫会長の指示のもと松屋ではカレーの開発に力を入れており、幾多の傑作が生まれてきた。おれもレギュラーメニューではなかったころからごろごろ煮込みチキンカレーを食いまくったし、いまだに「ごろごろチキンカレー」「ゴロゴロ煮込みチキンカレー」などの表記ブレをネットで見つけると「“ごろごろ”は平仮名だし、“煮込み”も忘れちゃダメでしょうが!」と一人でキレている。それくらい、松屋のカレーメニューはうまい(ごろごろ煮込みチキンカレーについて細かく書くと原稿が倍の量になってしまうので、ここでやめておく)。

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 そんな松屋のカレーにも、もれなくみそ汁はついてきた。カレーなのに、みそ汁。食い合わせがいいかどうかで言えば、よくはない。しかし、自分は松屋のみそ汁が最も存在感を発揮し、松屋のカレーと他店のカレーとの間に圧倒的な体験の違いを生み出していたのは、あのみそ汁だったのではないかと思っている。

 

松屋らしい“雑さ”

 松屋は高級店ではない。言葉を選ばずに書けば「雑な店」である。注文は食券だし、食器も部分的にプラスチックだったりするし、店員が豚汁の具か何かをタッパーに放り込んでレンチンしているのがカウンターから丸見えだったりする。客もペチャクチャしゃべったりせず、一列に並んでモソモソと牛めしや定食やカレーを食い、食べ終わったらさっさと出る。ちょっとファミレスっぽい店舗もある吉野家やすき家と比べると、かつての牛丼屋らしいざっかけないムードがまだ多少は残っている店舗が多い気がする。

 そんな松屋でカレーにもみそ汁がついてくるのは「みそ汁がついてきたらうれしいだろう」というサービス精神、ならびにメニューごとに「つける/つけない」という差があるとオペレーションがめんどくさくなるからだと思われる。日本語話者ではないであろう人も松屋ではよく働いているし、客もとっとと食べてとっとと出るのが目的だ。そんな状況で「カレー系はみそ汁なし、他はつける」と細かく指示を出しても、幸せになる人は一人もいないだろう。だから、全メニュー一律にみそ汁がついてくる。合理的であり、そして雑である。

なぜかカレーが出てこないのに味噌汁と米だけ出てきたこともあった

 前述のように、松屋のオリジナルカレーは牛丼屋のカレーにしてはガチだ。まず辛い。瓦葺利夫会長には、「辛さで耳の裏が熱くなるほどでなければカレーとは呼べない」という持論があるという。すばらしい持論だ。辛いもの好きからすれば大したからさではないかもしれないが、全国展開している牛丼チェーンのカレーとして虚心に味わえば、かなりとがったチューニングになっていることは間違いない。しかし辛さの裏にしっかりスープと肉のうま味が存在しており、毎回食べるたびに「ああ、松屋のカレーは松屋のカレーのよさがあるなあ、これがこの値段で出せるんだからすごいよなあ」と感心する。

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 しかしそこに割り込んでくるのが、問題のみそ汁である。カレーの合間に、みそ汁を啜る。カレーの辛さで舌が敏感になっているところに熱いみそ汁が触れるので、味というよりビリビリした感触の方が強くなる。なんかもう、ちょっと痛い。なので、みそ汁によって松屋のカレーの辛さはより引き立つと言えなくもない。しかし、食べ合わせとして最高かといわれるとちっともそんなことはないわけで、これはもう本当におざなりなみそ汁としか言いようがないのである。

 

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